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第三章 騎士学園/騒乱編
135「困惑と興奮と条件と」
しおりを挟む「はい! えーとぉ~⋯⋯⋯⋯俺のこの『カイト式魔力コントロール』をまだ習得していないAクラスの生徒全員に教えようと思っています」
「「「「「えええええええええええええ~~~~~~~~~っ!!!!!!!!」」」」」
今日一番の絶叫、いただきました。
「カイト式魔力コントロール⋯⋯じゃとっ!? 何じゃ、それはっ!!」
特に、学園長がいの一番に食いつきました(釣れた、釣れた)。
「えっとぉ~⋯⋯実は俺の魔力コントロールなんですけど、とりあえず『我流』でやっているんですが⋯⋯」
「が、我流⋯⋯じゃと!?」
「はい。で、やり方ですが⋯⋯」
と、俺は学園長に『カイト式魔力コントロール』のことを一通り説明した。
「た、体内の魔力を⋯⋯『一本の筋』とイメージ⋯⋯そして、それを⋯⋯『循環させる』じゃとっ!」
「はい。魔力を一本の筋としてイメージ、且つそれを体内で循環するイメージが完全にできたら、それを『常時循環状態』でいられるようにします。それができたら、今度はその循環スピードを加速させるイメージを行い、それができたら習得です。習得後の魔力量の伸びや魔力増幅スピードなどは魔力コントロールの巧さとかセンスなどで個人差が出ると思いますが、いずれにしても魔力量自体がそれなりに増加することは間違いないです」
「し、信じられん⋯⋯っ?! これまでの常識であれば『持って生まれた魔力量が上限』で、それ以上増えることはないのだが⋯⋯。し、しかし、実際、この『カイト式魔力コントロール』を習得したことで、そこにいるイグナス君、ザック君、ガス君、ディーノ君、カート君たちは魔力量が大幅に増加したんじゃな?」
「はい。特にイグナスに限っては『カイト式魔力コントロール』で基本魔力がかなり増加しましたし、『魔力循環スピード』は特にズバ抜けているので『瞬間的な魔力増加』はかなりのものですね」
「な、なるほど⋯⋯。道理でトーナメントであれだけの活躍ができたわけなんじゃな⋯⋯。入学前、イグナス君は上級貴族でありながら魔力が著しく低いということは聞いていたが、そんなイグナス君があれだけの膨大な魔力を身につけたのは、この⋯⋯⋯⋯カイト君の『カイト式魔力コントロール』によるものじゃったんじゃな?」
「そうです」
「ふむ。それに、それ以外のカイト君の近しい者たちが全員決勝トーナメントに残ったのも、このカラクリじゃったわけか。⋯⋯特に、ザック君なんて『下級貴族』にも関わらず、魔力量は上級貴族の中でも上位に位置する魔力量を保持しているようじゃしな」
「はい。ちなみに、この『カイト式魔力コントロール』ですが、実は⋯⋯⋯⋯『魔力量が少ない者ほど効果が大きい』ということもわかっています」
「な、何じゃと!」
「なので現状、『カイト式魔力コントロール』で大幅に魔力量が増えたのはイグナスとザックです」
「な、なんとっ?! ん? ちょ、ちょっと待て! カ、カイト君⋯⋯となると、それはつまり⋯⋯⋯⋯下級貴族、いやもっと言えば平民たちが『カイト式魔力コントロール』を習得すれば効果は大きい⋯⋯⋯⋯お主、そう言っておるのかっ?!」
「そうです。理論上、本来魔力量の低い平民がもし習得できたら、魔力量は大幅に増加すると思いますよ?」
「「「「「な⋯⋯っ?!」」」」」」
俺の言葉に、学園長だけでなくその場にいる全員が固まった。
そりゃ、そうだろう。なんせ平民でも『カイト式魔力コントロール』を習得したら『大幅な増加が見込める』という話なのだから。⋯⋯もはや『オカルト話』に聞こえるだろう。
しかし、この話がオカルトじゃないことは、俺が学園長相手に圧倒したことや、イグナスの魔力量の増加、そして俺たちのトーナメントでの活躍で証明しているのである。
「あ、でも一応⋯⋯⋯⋯平民や下級貴族の多くは『魔力コントロールが未熟』だと聞いているので、そう誰でも簡単に『カイト式魔力コントロール』を習得するのは難しいかと思いますよ。むしろ、その点で見れば、魔力コントロールの長けている上級貴族の方のほうが習得は早いかと⋯⋯。ただ、その分上級貴族の方の『魔力の増加量』は平民や下級貴族よりも少ないでしょう。ただ、『最終的な魔力量の上限』は、おそらく、元々魔力量が豊富な上級貴族のほうが上になるんじゃないかな、と個人的には思いますけどね。⋯⋯まあ、例外もあると思いますが」
「なるほど⋯⋯。つまり、『習得初め』は平民や下級貴族といった『魔力量が少なかった者』が大幅に魔力量を増加させるが、『カイト式魔力コントロール』をさらに磨いていけば『最終的な魔力量』は上級貴族らが高い、ということか」
「そういうことです。ちなみに『習得初め』の上級貴族は魔力量の増加は低いといっても、最低現状よりも魔力量は二倍以上には増えます」
「なっ!? さ、最低でも⋯⋯二倍も魔力量が増える⋯⋯じゃとっ?!」
「はい。みんながそうでしたので間違いないかと」
淡々と説明するカイトに、皆が唖然呆然としている。
「わ、わかった。とりあえず、カイト君は、その『カイト式魔力コントロール』をまだ習得していないAクラスの生徒に教えたいと⋯⋯それを望んでおるのじゃな?」
「はい。そうすれば戦力やできることが大幅にアップしますので!」
「わかった。じゃが、それには1つ⋯⋯⋯⋯条件がある」
「条件?」
「あー⋯⋯コホン、その、なんだ⋯⋯その~~~~⋯⋯ワシにも教えてくれんかの⋯⋯『カイト式魔力コントロール』」
学園長が上目遣いで俺に懇願した。⋯⋯いや、気持ち悪っ!?
「え⋯⋯? あ、あ~⋯⋯⋯⋯な、なるほど。もちろんです!」
「そうかっ! よし! ならいいぞっ! 皆に存分に教えたまえっ!」
学園長がニカッと今日一番の笑みを更新した。すると、
「「「「だったら、私たちもお願いしますっ!!!!」」」」
と、アルフレッド、ケビン、レコ、それになんか寡黙な人っぽい『ゼノ・アマルフィさん』も一緒になって『カイト式魔力コントロール習得』の希望を言ってきた。
「も、もちろんです⋯⋯」
まー、俺的にも自分の味方となる人たちには教えるつもりだったので、すぐに了承した。
こうして、俺はグラン・キャンバス大渓谷から戻った後、予定になかった『Aクラス以外の人間』たちも教えることになったので、前にみんなに『カイト式魔力コントロール』を教えるときに使っていた『魔力循環のハウツーマンガ』を一冊しかなかったので五冊ほど用意した。
もちろん、この世界に『コピー機』なんぞないので、もちろん、すべて『手描き&手作り』だ。⋯⋯しかも驚くなかれ、一日で!
結果⋯⋯⋯⋯軽く死ねました。
「あ~~~~! 何か『コピー機みたいな魔道具』作れないかな~~~っ!!!!!(怒)」
その後、これがきっかけで俺は『コピー機みたいな魔道具』を作ることに成功し、世に送り出すことになるのだが、それはまた⋯⋯⋯⋯もう少し先の話。
********************
——次の日の放課後
学園長が「人目につかないところで行いたい」ということだったので、前に俺たちが使っていた『森の秘密特訓場』へ昨日のメンバーを引き連れていき、以前、使用した俺の力作『魔力循環のハウツーマンガ』をみんなに一度見てもらい、その後、一人一人にレクチャー。
そんな感じで『カイト式魔力コントロールのレクチャー』を約一ヶ月行った結果、参加した全員が習得することができた。
一ヶ月足らずで『全員習得』できるとは「さすが、魔力コントロールに長けている実力者だけはあるな⋯⋯」と改めて感心した。
さて、この『カイト式魔力コントロールのレクチャー』は一ヶ月ほど要したが、この一ヶ月のレクチャーと同時進行で、俺たちAクラスは『学園騎士団任務』のほうもこなしていた。
ていうか、その任務には『大規模洗脳魔法の使役者発見』と『洗脳魔法無効化が可能な魔法の開発』だったので、俺以外の皆には『大規模洗脳魔法の使役者』の捜索をしてもらい、俺はこれまでやったことのない『魔法の開発』に着手していた。
そして、結果⋯⋯⋯⋯ま、その辺の話は次話ということで!
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