100 / 145
第二章 騎士学園編
100「決勝トーナメント一回戦(10)」
しおりを挟む【祝・100話】
おはこんばんちわ!
mitsuzoです。
「自重知らず⋯⋯」が、遂に100話を迎えました。
100話まで長いようであっという間でした。
これからも頑張って『週3更新』で進んで行きたいと思います。
引き続き、応援のほどよろしくお願いいたします。
********************
「皆さま、お待たせしました! 次の一回戦最後の試合は、大会史上初めてとなる『学園長推薦シード』に選ばれたカイト・シュタイナー選手と、名門ハルカラニ家のリリアナ・ハルカラニ選手の対戦となります!」
「「「「「ウォォォォォーーーーーーーーーーっ!!!!!!」」」」」
舞台にカイトとリリアナが揃って登場。観客も「待っていました!」とばかりに大きな歓声を上げ、二人を出迎える。そして、この試合は観客だけでなく、一回生以外の生徒たちもまた注目していた。
「エリナ様。あれが、カイト・シュタイナーです」
「ふむ、特に強者の気配は感じられないな。本当に彼がガス・ジャガーを倒したり、超級魔法が使えるというのか?」
「そう⋯⋯ですね。こうして初めて生でカイト・シュタイナーを見ましたが⋯⋯⋯⋯普通ですね」
三回生序列1位にして生徒会長のエリナ・クインズベルと、序列2位の副会長のセリーヌ・ジュリアーノ。
「いよいよですわね、マリアンヌ。カイト・シュタイナーの試合⋯⋯」
「ええ、そうですわね、フロレンシアお姉様」
「まさか、リリアナがカイト・シュタイナーと対戦することになるとは驚きですが、これはこれでちょうどいいですわね」
「リリアナは実力的には一回生の中でもトップクラスであることは間違いないですから、カイト・シュタイナーの実力を確かめるにはちょうど良いかと。それに、我々、ハルカラニ家の相伝魔法もありますし⋯⋯」
「まあ、相伝魔法を使わせるだけの実力がそもそもカイト・シュタイナーにあるかどうか⋯⋯まずは、そこからですわ」
「はい、お姉様」
ハルカラニ家三姉妹。長女フロレンシア・ハルカラニ、次女マリアンヌ・ハルカラニ。
「バーバラ様、いかがでしょう?! 私としては正直、ただの生徒にしか見えません! 覇気もないですし、本当にただの一般生徒にしか⋯⋯」
「そうですか。イーナにはそう見えていますか」
「⋯⋯え?」
「フフ。つまり、イーナはこのカイト・シュタイナーの実力はただの普通生徒レベルで、あの噂のような実力は到底無いと言いたいのですね?」
「はい! 正直、二回生『序列1位』のバーバラ・タンゼント様が気にかける生徒ではないと思います!」
「なるほど。つまりイーナは、そんな大したことない生徒に『大会初の推薦シード』を与えた学園長の目は節穴だと言いたいのですね?」
「⋯⋯あ」
イーナがバーバラの指摘にハッとした顔を見せる。
「まあ、おそらくこの会場にいるほとんどの者たちは、カイト・シュタイナーに対し、イーナと同じ印象を持ったでしょうね⋯⋯くくく」
バーバラが一度、笑みをこぼす。
「いいですか、イーナ。この話の大事なポイントは『見た目、実力が大したことない』という点です」
「は?」
「ハンニバル・シーザー学園長⋯⋯クラリオン王国騎士団元団長であり、且つクラリオン王国騎士団『最強時代の騎士団長』。『悪虐』という二つ名で恐れられていたそんな彼が『特別と認めるほどの男』⋯⋯それがカイト・シュタイナーです。そんな彼を見て『大したことない』と感じるということは、それは彼の強さを検知できていないということ。つまり⋯⋯⋯⋯それだけ圧倒的な実力差があることを意味します」
「っ!?」
「フフ⋯⋯まったく、とんだ化け物ですよ、彼」
「なっ!? バ、バーバラ様が⋯⋯化け物と⋯⋯?」
「⋯⋯初めてですよ。学生でここまでの強者に出会ったのは。ええ、ええ、楽しみです。本当に、本当に⋯⋯楽しみです」
ニチャァ。
二回生序列1位のバーバラ・タンゼントと、その従者イーナ・マキアート。
また、それ以外の上級生の実力者たちもカイト・シュタイナーの実力を確かめるべく、会場に集まっていた。一回生のクラス編成トーナメントごときに上級生がわざわざ足を運ぶというのは異例中の異例であり、まして序列上位の上級生が見に来るなど初めてのことだった。
********************
「遂に出てきましたわね、カイト・シュタイナー」
「よ、よろしくお願いします」
いつもの『カマトトキャラ』で対応するカイト。
「あなたって本当に強いんですの?」
「え?」
「正直、私はあなたを疑っておりますわ。実際、こうして対峙してみても⋯⋯⋯⋯あなたからはまったく脅威を感じませんもの」
「あ、いや~、タハハ⋯⋯」
「タハハ、じゃないですわ。はぁ、ガス・ジャガーを倒したときはすごいと思いましたのに⋯⋯とんだ買い被りでしたわ」
カイトが情けない苦笑いを浮かべると、大きなため息を吐いて落胆するリリアナ。すると、そんなリリアナからカイトに提案してくる。
「いいですか、カイト・シュタイナー。学園長があなたを過大評価して『学園長推薦シード』としたようですが、あなたがその評価に釣り合わない実力だとわかった以上、私はあなたに棄権することを提案いたします」
「棄権⋯⋯ですか?」
「ええ。試合が始まってしまえば私はあなたを倒さなければいけません。もちろん手加減はしますが、それでも、あなたに痛い思いをさせてしまいます。私、そういうの嫌いなんです。実力差がある者に対し、拳を振るうなんて⋯⋯」
「⋯⋯リリアナ様」
「だから、カイト・シュタイナー、棄権しなさい。恥はかくかもしれませんが痛い思いをしなくて済みます。大丈夫、私があなたの味方になって擁護しますから、安心して棄権なさい」
「優しいんですね、リリアナ様」
「名門ハルカラニ家の者ですよ、私は。これくらいの配慮、当然です!」
リリアナが両手を腰に当ててドヤーとする。
「ははは。俺、あんたのこと気に入ったよ」
「⋯⋯俺?」
「⋯⋯失礼。ご配慮ありがとうございます。ですが、僕は棄権しません。リリアナ様、ぜひ、お手合わせをお願いします」
「⋯⋯そうですか。それがあなたの答えですか、カイト・シュタイナー⋯⋯。わかりました。あなたのその気概に免じて、この勝負受けてたちましょう!」
リリアナがカイトに握手を求め、それに応じるカイト。そんな二人のやり取りを眺める同級生や上級生、そして観客が心の中で呟く。
(((((見せてもらおうか、カイト・シュタイナー。その実力とやらを⋯⋯?)))))
「それでは! 一回戦最終の第六試合。試合開始ぃぃーーー--っ!!!!」
1
お気に入りに追加
429
あなたにおすすめの小説
現実だと思っていたら、異世界だった件
ながれ
ファンタジー
スメラギ ヤスト 17歳 ♂
はどこにでもいる普通の高校生だった。
いつものように学校に通い、学食を食べた後に居眠りしていると、
不意に全然知らない場所で目覚めることになった。
そこで知ったのは、自分が今まで生活していた現実が、
実は現実じゃなかったという新事実!
しかし目覚めた現実世界では人間が今にも滅びそうな状況だった。
スキル「魔物作成」を使いこなし、宿敵クレインに立ち向かう。
細々としかし力強く生きている人々と、ちょっと変わった倫理観。
思春期の少年は戸惑いながらも成長していく。
チート狩り
京谷 榊
ファンタジー
世界、宇宙そのほとんどが解明されていないこの世の中で。魔術、魔法、特殊能力、人外種族、異世界その全てが詰まった広大な宇宙に、ある信念を持った謎だらけの主人公が仲間を連れて行き着く先とは…。
それは、この宇宙にある全ての謎が解き明かされるアドベンチャー物語。
転生貴族の異世界無双生活
guju
ファンタジー
神の手違いで死んでしまったと、突如知らされる主人公。
彼は、神から貰った力で生きていくものの、そうそう幸せは続かない。
その世界でできる色々な出来事が、主人公をどう変えて行くのか!
ハーレム弱めです。
異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが……
なろう、カクヨムでも投稿しています。
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
チートを極めた空間魔術師 ~空間魔法でチートライフ~
てばくん
ファンタジー
ひょんなことから神様の部屋へと呼び出された新海 勇人(しんかい はやと)。
そこで空間魔法のロマンに惹かれて雑魚職の空間魔術師となる。
転生間際に盗んだ神の本と、神からの経験値チートで魔力オバケになる。
そんな冴えない主人公のお話。
-お気に入り登録、感想お願いします!!全てモチベーションになります-
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる