「自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています-」

mitsuzoエンターテインメンツ

文字の大きさ
上 下
96 / 145
第二章 騎士学園編

096「決勝トーナメント一回戦(6)」

しおりを挟む


「続いて、第四試合をはじめます! リュウメイ・ヤマト選手、ディーノ・バレンチノ選手の入場です!」
「「「「「ワァァァァァ!!!!」」」」」

 フェリシアのアナウンスが響き渡ると、リュウメイ・ヤマトとディーノ・バレンチノーのが舞台に登場。観客が大きな声援を送る。

「初めまして。わたくしクラリオン王国バレンチノ家のディーノ・バレンチノと申します。ヤマト皇国の王太子であるリュウメイ・ヤマト様と拳を交えること光栄に思います」
「そんな、固くならないでください。私もあなたたちと同じクラリオン王国の一回生の生徒ですから」
「勿体無いお言葉です。全力でぶつからせていただきます」
「うむ、こちらこそよろしく」

 二人が試合前に軽く挨拶を交わす。普段から貴族の振る舞いを徹底しているディーノらしい挨拶だ。

「それでは第四試合、はじめぇぇぇーーーーーー!!!!」

 ゴーーーン。

「⋯⋯」
「⋯⋯」

 前の試合とは打って変わって、二人は相手の様子を伺うところから始まった。

「⋯⋯なるほど。隙がないですね」
「ありがとうございます」

 二人は会話しながら、しかし、ゆっくりと自身の間合いをはかっている。

「「身体強化ビルド」」

 二人が同時に身体強化ビルドをかけた瞬間、いち早く動いたのは——ディーノ。

「水属性中級魔法『豪流瀑布ウォーター・フロー』!」

 ディーノが素早く『豪流瀑布ウォーター・フロー』を展開。手のひらから、かなりの勢いの水流が解き放たれる。しかし、

「龍拳・三位階『龍流流転りゅうりゅうるてん』」
「何っ!?」

 トン⋯⋯、ススーーーーーー⋯⋯。

 リュウメイは、なんとディーノの魔法攻撃さえも先ほどと同様、手のひらで受けつつ、体を数回転させ、威力を増した『豪流瀑布ウォーター・フロー』をディーノへと反転させた。

「うぐ⋯⋯っ!?」

 ディーノは威力が増した自分の魔法をまともに食らい、そのまま壁へと叩きつけられた。

「なっ!? あ、あれはさっき王太子が見せた『龍拳』! 野郎⋯⋯魔法も受け流して反転させることができるのかよ!!!!」
「ディーノさん!」

 観戦しているカートは物理攻撃だけでなく魔法攻撃さえも反転させるリュウメイの龍拳にショックを受け、ザックは威力が増した自分の魔法攻撃をまともに食らったディーノを心配して声を上げる。

 しかし、二人の心配を余所にディーノはすぐに立ち上がり舞台へと戻った。

「⋯⋯なるほど。ボクの龍拳を試したんだね?」
「ま、そんなところです」
「「「「「ワァァァァァァァーーーーーー!!!!」」」」」

 観客が予選で見せたリュウメイの龍拳の威力を知っていた為、皆、ディーノが負けたと思っていたがすぐに立ち上がったのを見て、大きな歓声を上げた。

「やるな、バレンチノ家の⋯⋯」
「あれ、次男のディーノ・バレンチノですね。それにしても、彼があれほどの実力者だとは⋯⋯⋯⋯驚きですね」

 ディーノを見て感心したのは、ジャガー家当主ランドルフ・ジャガーとエミリオ・ジャガー。

「⋯⋯ふむ。ガスはもちろん、カートもこのディーノもだが、なぜこいつらは入学してまだ一ヶ月そこらしか経っていないのに、ここまで魔力量が急成長しているんだ? カスティーノ家の小僧もそうだったが⋯⋯⋯⋯一体、誰の仕業だ?」

 ランドルフがディーンを含め、ガスやカートのあまりの急成長に怪訝な顔を示す。

「少し調べたけど、まだよくわからないかな。でも、ただ気になる『噂』が一つあるんだよね」
「なんだ?」
「ガスたちやカスティーノの子もだけど、どうやら二週間前の合同魔法授業の後から強くなった、という話を聞いたんだよね」
「合同魔法授業の後? なんだ、そりゃ? 普通、合同魔法授業の後には特には何も特別授業とか特訓なんてないだろ?!」

 ランドルフがエミリオを思わず恫喝する。周囲はその声にビクッとしたが、エミリオは特に動じることもなく、飄々と話を進める。

「そう。だから、彼らの魔力量が急激に増大したのは教師が教えたとか、そういうことではないみたい⋯⋯」
「そりゃ、そうだろ! そんな優秀な教師がいるならジャガー家うちに引っ張ってるわ!」
「うん。でね、ここからは、あくまで俺の予測でしかないんだけど⋯⋯」
「いい。教えろ」
「あまりにも突拍子もない予測だけど、もしかするとガスたちを強くしたのは⋯⋯⋯⋯生徒・・の仕業じゃないかなってね」
「何っ!?」
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

同性愛者であると言った兄の為(?)の家族会議

海林檎
BL
兄が同性愛者だと家族の前でカミングアウトした。 家族会議の内容がおかしい

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

異世界転生漫遊記

しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は 体を壊し亡くなってしまった。 それを哀れんだ神の手によって 主人公は異世界に転生することに 前世の失敗を繰り返さないように 今度は自由に楽しく生きていこうと 決める 主人公が転生した世界は 魔物が闊歩する世界! それを知った主人公は幼い頃から 努力し続け、剣と魔法を習得する! 初めての作品です! よろしくお願いします! 感想よろしくお願いします!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

処理中です...