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第二章 騎士学園編
091「決勝トーナメント一回戦(1)」
しおりを挟む「お待たせしました! これより決勝トーナメントを始めます! きゃぴきゃぴーん!」
「ワァァァァーーーーーーーーー!!!!!!!!」
司会のフェリシア・ジャスミンが『きゃぴきゃぴーん』と決勝トーナメント開催のアナウンスをすると、観客のテンションが上がった。
いよいよ、決勝トーナメント——カイトの初戦が始まる。
「今回の一回生のクラス編成トーナメントは、過去類を見ないほどの盛り上がりを見せています! それもそのはず! 今年の一回生は才能に恵まれた生徒たちが集まっており『動天世代』と呼ばれておりますが、その声に見合うだけの、いやそれ以上の試合を予選から見せてくれました。そして、そんなハイレベルの予選を勝ち上がってきたのが、ここにいる12名となります!」
「「「「「ウォォォォーーーー!!!!!!」」」」」
フェリシアのマイクパフォーマンスに会場はさらにヒートアップする。いや、普通にうまいな、こいつ。ちなみに俺たち決勝トーナメント出場者12名は、舞台の上で横一列に並んでいる。
「決勝トーナメント一回戦は全部で六試合! ということで、ここからは決勝トーナメント一回戦の対戦順に紹介していきたいと思います! まずは、決勝トーナメント一回戦第一試合は⋯⋯⋯⋯イグナス・カスティーノ選手VSカート・マロン選手!」
「ワァァァァーーーーーーーーー!!!!!!!!」
名前を呼ばれたイグナスとカートが一歩前に出ると、観客から大きな声援が上がった。ていうか、いきなり初戦で二人がぶつかるのか。
特訓場ではカートは最後まで俺の魔力コントロール習得に苦戦していたみたいだが、魔力コントロールを身につけた後はいろいろな戦い方を考えては試していたから、イグナスとの試合ではやってきそうだな。楽しみだ。
「続けて、第二試合はザック・カーマイン選手VSウキョウ・ヤガミ選手! えー⋯⋯ウキョウ選手は平民ではなく、ヤマト皇国の上級貴族にあたる方ということで改めて家名を入れた名前でのご紹介となります!」
ザッきゅん!
うーむ、しかし、相手はあのヤマト皇国の王太子⋯⋯次期皇と一緒にいる連れの男か。さっきの試合を見るだけでも相当な実力者であることは間違いない。なんせ、次期皇の護衛になるほどの人物なのだから。
前の試合のダメージがある上にこいつが相手とは⋯⋯ザックにはかなり荷が重いのは間違いないだろう。でも、ザックは今回の特訓でイグナスの次に成長したと言っても過言ではない。
だから、もしかするとザックなら⋯⋯⋯⋯見逃せないぜ。
「第三試合。ガス・ジャガー選手VSレイア・クラリオン選手!」
「ウワァァァァァァーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
第三試合の対戦カードに一際観客が沸いた。まあ当然だろう。なんせ『優勝候補』VS『第二王女』の対決なのだから。
ガスは魔力コントロールを習得してから、かなり熱心に魔法攻撃を実戦勉強していた。というのも、それはイグナスやザックの急成長を見ての危機感によるものだ。
また、ガスは見た目、言動そのままの『負けず嫌いの性格』だ。特にイグナスに関しては『ライバル関係』ということもあり人一倍意識していた為、結果的にガスはイグナスやザックに負けず劣らず、急成長を遂げた一人でもある。
しかし、レイア姫はこれまでの試合を見てる限り、全然本気を出していないのはわかるので、この二人が本気を出して戦ったらどっちが勝つかはまるで予想がつかない。
「第四試合は、リュウメイ・ヤマト選手VSディーノ・バレンチノ。ヤマト皇国王太子様と上級貴族の名門バレンチノ家の実力者の対決となります」
ヤマト皇国王太子リュウメイ・ヤマトか。確か前の試合で見せたヤマト皇国独自の武闘術『龍拳』はまだよくわからないが、ディーノにとってはかなり厳しい戦いになりそうだ。
まあ、ディーノはかなりの慎重派だし、頭も切れるからすでに『龍拳』に対しての対策も準備しているだろうから、この試合も見ものだな。
「続いて、第五試合は⋯⋯ドレイク・ガリウス選手VSサラ・ウィンバード選手。サラ選手もまたリーガライド獣国の上級貴族にあたる生徒ですので、家名入りでの紹介となります」
ドレイク・ガリウス⋯⋯十歳にして武闘術クラス『拳闘士』。さらに、豊富な魔力量を使っての身体強化で繰り出す武闘術の威力は『拳闘士クラス』を超えている実力者だ。
ザックとの対決では引き分けとなったが、しかし、あの試合はザックが習得した俺の魔力コントロール操作で機転を利かしての引き分けだったに過ぎず、実際、地力ではドレイク・ガリウスのほうが上じゃないかと思う。実際、レイア姫も「実力的にはガス・ジャガーと同等レベル」と言ってたしな。
となれば、ドレイク・ガリウスは優勝候補の一角と言ってもおかしくないレベルだから一回戦は突破するだろうと思う。思うのだが、しかし、その対戦相手のサラ・ウィンバードが何とも不気味だ。
何と言っても、彼女の魔法属性は『光属性』と双璧をなす特殊な属性『闇属性』は、かなり脅威なのは前の試合で皆が理解している。なんせ『自分の存在認識を阻害させる魔法』だからな。
あんな、闇属性の魔法を防ぐことは可能なのだろうか? 授業で習っていないからわからないが、その辺の対策をドレイクがどうするのか、お手並み拝見といったところだな。
「そして、そしてーー! 決勝トーナメント一回戦最後の第六試合は、カイト・シュタイナー選手VSリリアナ・ハルカラニ選手。遂にクラリオン王国騎士学園史上初の『学園長推薦シード』で決勝トーナメントからの参加となるカイト・シュタイナー選手が登場! 対するは、名門ハルカラニ家三女リリアナ・ハルカラニ選手です!」
「「「「「ウォォォォーーーーー!!!!!!!!!」」」」」
「あれが、学園長お気に入りのカイト・シュタイナーか」
「ふむ。見た感じは⋯⋯⋯⋯大したことなさそうだな」
「ほう? あれがカイト・シュタイナー。中々、良い面構えじゃねーか」
「⋯⋯カイト・シュタイナー」
観客がまたも大きな歓声を上げたが、それだけでなく、観覧席で見ている『クラリオン王国の主要人物たち』からもかなり注目を集めていた。
「では早速、決勝トーナメント第一試合を始めたいと思います!」
——決勝トーナメント第一試合『イグナス・カスティーノVSカート・マロン』
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