上 下
91 / 145
第二章 騎士学園編

091「決勝トーナメント一回戦(1)」

しおりを挟む


「お待たせしました! これより決勝トーナメントを始めます! きゃぴきゃぴーん!」
「ワァァァァーーーーーーーーー!!!!!!!!」

 司会のフェリシア・ジャスミンが『きゃぴきゃぴーん』と決勝トーナメント開催のアナウンスをすると、観客のテンションが上がった。

 いよいよ、決勝トーナメント——カイトの初戦が始まる。

「今回の一回生のクラス編成トーナメントは、過去類を見ないほどの盛り上がりを見せています! それもそのはず! 今年の一回生は才能に恵まれた生徒たちが集まっており『動天世代アストロ・エイジ』と呼ばれておりますが、その声に見合うだけの、いやそれ以上の試合を予選から見せてくれました。そして、そんなハイレベルの予選を勝ち上がってきたのが、ここにいる12名となります!」
「「「「「ウォォォォーーーー!!!!!!」」」」」

 フェリシアのマイクパフォーマンスに会場はさらにヒートアップする。いや、普通にうまいな、こいつ。ちなみに俺たち決勝トーナメント出場者12名は、舞台の上で横一列に並んでいる。

「決勝トーナメント一回戦は全部で六試合! ということで、ここからは決勝トーナメント一回戦の対戦順に紹介していきたいと思います! まずは、決勝トーナメント一回戦第一試合は⋯⋯⋯⋯イグナス・カスティーノ選手VSカート・マロン選手!」
「ワァァァァーーーーーーーーー!!!!!!!!」

 名前を呼ばれたイグナスとカートが一歩前に出ると、観客から大きな声援が上がった。ていうか、いきなり初戦で二人がぶつかるのか。

 特訓場ではカートは最後まで俺の魔力コントロール習得に苦戦していたみたいだが、魔力コントロールを身につけた後はいろいろな戦い方を考えては試していたから、イグナスとの試合ではやってきそうだな。楽しみだ。

「続けて、第二試合はザック・カーマイン選手VSウキョウ・ヤガミ選手! えー⋯⋯ウキョウ選手は平民ではなく、ヤマト皇国の上級貴族にあたる方ということで改めて家名を入れた名前でのご紹介となります!」

 ザッきゅん!

 うーむ、しかし、相手はあのヤマト皇国の王太子⋯⋯次期すめらぎと一緒にいる連れの男か。さっきの試合を見るだけでも相当な実力者であることは間違いない。なんせ、次期すめらぎの護衛になるほどの人物なのだから。

 前の試合のダメージがある上にこいつが相手とは⋯⋯ザックにはかなり荷が重いのは間違いないだろう。でも、ザックは今回の特訓でイグナスの次に成長したと言っても過言ではない。

 だから、もしかするとザックなら⋯⋯⋯⋯見逃せないぜ。

「第三試合。ガス・ジャガー選手VSレイア・クラリオン選手!」
「ウワァァァァァァーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

 第三試合の対戦カードに一際・・観客が沸いた。まあ当然だろう。なんせ『優勝候補』VS『第二王女』の対決なのだから。

 ガスは魔力コントロールを習得してから、かなり熱心に魔法攻撃を実戦勉強していた。というのも、それはイグナスやザックの急成長を見ての危機感によるものだ。

 また、ガスは見た目、言動そのままの『負けず嫌いの性格』だ。特にイグナスに関しては『ライバル関係』ということもあり人一倍意識していた為、結果的にガスはイグナスやザックに負けず劣らず、急成長を遂げた一人でもある。

 しかし、レイア姫はこれまでの試合を見てる限り、全然本気を出していないのはわかるので、この二人が本気を出して戦ったらどっちが勝つかはまるで予想がつかない。

「第四試合は、リュウメイ・ヤマト選手VSディーノ・バレンチノ。ヤマト皇国王太子様と上級貴族の名門バレンチノ家の実力者の対決となります」

 ヤマト皇国王太子リュウメイ・ヤマトか。確か前の試合で見せたヤマト皇国独自の武闘術『龍拳』はまだよくわからないが、ディーノにとってはかなり厳しい戦いになりそうだ。

 まあ、ディーノはかなりの慎重派だし、頭も切れるからすでに『龍拳』に対しての対策も準備しているだろうから、この試合も見ものだな。

「続いて、第五試合は⋯⋯ドレイク・ガリウス選手VSサラ・ウィンバード選手。サラ選手もまたリーガライド獣国の上級貴族にあたる生徒ですので、家名入りでの紹介となります」

 ドレイク・ガリウス⋯⋯十歳にして武闘術クラス『拳闘士』。さらに、豊富な魔力量を使っての身体強化ビルドで繰り出す武闘術の威力は『拳闘士クラス』を超えている実力者だ。

 ザックとの対決では引き分けとなったが、しかし、あの試合はザックが習得した俺の魔力コントロール操作で機転を利かしての引き分けだったに過ぎず、実際、地力ではドレイク・ガリウスのほうが上じゃないかと思う。実際、レイア姫も「実力的にはガス・ジャガーと同等レベル」と言ってたしな。

 となれば、ドレイク・ガリウスは優勝候補の一角と言ってもおかしくないレベルだから一回戦は突破するだろうと思う。思うのだが、しかし、その対戦相手のサラ・ウィンバードが何とも不気味だ。

 何と言っても、彼女の魔法属性は『光属性』と双璧をなす特殊な属性『闇属性』は、かなり脅威なのは前の試合で皆が理解している。なんせ『自分の存在認識を阻害させる魔法』だからな。

 あんな、闇属性の魔法を防ぐことは可能なのだろうか? 授業で習っていないからわからないが、その辺の対策をドレイクがどうするのか、お手並み拝見といったところだな。

「そして、そしてーー! 決勝トーナメント一回戦最後の第六試合は、カイト・シュタイナー選手VSリリアナ・ハルカラニ選手。遂にクラリオン王国騎士学園史上初の『学園長推薦シード』で決勝トーナメントからの参加となるカイト・シュタイナー選手が登場! 対するは、名門ハルカラニ家三女リリアナ・ハルカラニ選手です!」
「「「「「ウォォォォーーーーー!!!!!!!!!」」」」」
「あれが、学園長お気に入りのカイト・シュタイナーか」
「ふむ。見た感じは⋯⋯⋯⋯大したことなさそうだな」
「ほう? あれがカイト・シュタイナー。中々、良い面構えじゃねーか」
「⋯⋯カイト・シュタイナー」

 観客がまたも大きな歓声を上げたが、それだけでなく、観覧席で見ている『クラリオン王国の主要人物たち』からもかなり注目を集めていた。

「では早速、決勝トーナメント第一試合を始めたいと思います!」

——決勝トーナメント第一試合『イグナス・カスティーノVSカート・マロン』
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

異世界でも男装標準装備~性別迷子とか普通だけど~

結城 朱煉
ファンタジー
日常から男装している木原祐樹(25歳)は 気が付くと真っ白い空間にいた 自称神という男性によると 部下によるミスが原因だった 元の世界に戻れないので 異世界に行って生きる事を決めました! 異世界に行って、自由気ままに、生きていきます ~☆~☆~☆~☆~☆ 誤字脱字など、気を付けていますが、ありましたら教えて頂けると助かります! また、感想を頂けると大喜びします 気が向いたら書き込んでやって下さい ~☆~☆~☆~☆~☆ カクヨム・小説家になろうでも公開しています もしもシリーズ作りました<異世界でも男装標準装備~もしもシリーズ~> もし、よろしければ読んであげて下さい

ゴーレム使いの成り上がり

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移してしまった白久(しろく) 大成(たいせい)。 ゴーレムを作るスキルと操るスキルがある事が判明した。 元の世界の知識を使いながら、成り上がりに挑戦する。 ハーレム展開にはしません。 前半は成り上がり。 後半はものづくりの色が濃いです。 カクヨム、アルファポリスに掲載しています。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

異世界帰りの英雄は理不尽な現代でそこそこ無双する〜やりすぎはいかんよ、やりすぎは〜

mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
<初投稿4日目からは『お昼12:00頃』の毎日配信となります> 「異世界から元の世界に戻るとレベルはリセットされる」⋯⋯そう女神に告げられるも「それでも元の世界で自分の人生を取り戻したい」と言って一から出直すつもりで元の世界に戻った結城タケル。  死ぬ前の時間軸——5年前の高校2年生の、あの事故現場に戻ったタケル。そこはダンジョンのある現代。タケルはダンジョン探索者《シーカー》になるべくダンジョン養成講座を受け、初心者養成ダンジョンに入る。  レベル1ではスライム1匹にさえ苦戦するという貧弱さであるにも関わらず、最悪なことに2匹のゴブリンに遭遇するタケル。  絶望の中、タケルは「どうにかしなければ⋯⋯」と必死の中、ステータスをおもむろに開く。それはただの悪あがきのようなものだったが、 「え?、何だ⋯⋯これ?」  これは、異世界に転移し魔王を倒した勇者が、ダンジョンのある現代に戻っていろいろとやらかしていく物語である。

勇者召喚に巻き込まれたおっさんはウォッシュの魔法(必須:ウィッシュのポーズ)しか使えません。~大川大地と女子高校生と行く気ままな放浪生活~

北きつね
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれた”おっさん”は、すぐにステータスを偽装した。  ろくでもない目的で、勇者召喚をしたのだと考えたからだ。  一緒に召喚された、女子高校生と城を抜け出して、王都を脱出する方法を考える。  ダメだ大人と、理不尽ないじめを受けていた女子高校生は、巻き込まれた勇者召喚で知り合った。二人と名字と名前を持つ猫(聖獣)とのスローライフは、いろいろな人を巻き込んでにぎやかになっていく。  おっさんは、日本に居た時と同じ仕事を行い始める。  女子高校生は、隠したスキルを使って、おっさんの仕事を手伝う(手伝っているつもり)。 注)作者が楽しむ為に書いています。   誤字脱字が多いです。誤字脱字は、見つけ次第直していきますが、更新はまとめて行います。

喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜

田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。 謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった! 異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?  地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。 冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……

処理中です...