16 / 125
第一章
016「壊して治して壊して治して⋯⋯以下略」
しおりを挟む「うぅぅううぅぅううう⋯⋯」
「痛ぇ⋯⋯痛ぇ~よ~」
「あ⋯⋯ぐぅ⋯⋯ひっくひっく⋯⋯」
あの後、残りの腕や足をポキポキ折ってあげた。すると取り巻きビッグ3は嗚咽をあげたり、痛みを訴えたり、ただずっとすすり泣いたりと、見るからに肉体と精神に大きなショックを受け震え怯えていた——完全な戦意喪失である。あと、三人目の奴もちゃんとお漏らしていた。
しかし、ボスの佐川は、
「て、てめぇ、何でこんなことすんだよっ!?」
一人、戦意喪失することなく、俺を見ながら悪態を吐いていた。
「う~ん、まーいろいろあったじゃない?」
「ふ、ふざけんじゃねぇぇ!」
佐川が酷い形相でこちらを睨みまくり、しかも、
「て、てめぇ、絶対にタダじゃおかねーぞ!」
何とこの状況でもさらに凄んできた。さすがは、腐っても『高校生探索者』だなと俺は感心する。
——しかし
「タダじゃおかない? おい⋯⋯それ、こっちのセリフなんだけど?」
「何⋯⋯うっ!?」
俺は今朝取り巻きたちに放った『威圧』よりだいぶ強いやつを佐川に放つ。すると、
ガクガクガクガクガクガクガクガク⋯⋯!!!!!
佐川が体を激しく揺れ震え出す。
「な、ななな、何だよ、これ⋯⋯? 何だよ、これぇぇぇ!!!!!」
どうやら佐川は、自分が俺に怯え震えている現実に直視できず混乱しているようだ。
「いやいやいや、この程度の『威圧』で何震え上がってんの? そんなんだと、これからやることやったら佐川お前⋯⋯壊れるよ?」
俺はさらに強い『威圧』を放ち、佐川に恐怖を与える。
「ひぃぃぃぃぃっ?!」
「ひぃぃぃぃぃっ?!⋯⋯じゃねーから? お前やお前の取り巻きが俺にやったこと覚えてねーの? ずいぶん酷いことしたこと覚えてねーの?」
「い、いいい、いや、その⋯⋯」
「い、いいい、いや、その⋯⋯じゃねーんだよ? お前らは俺に無慈悲にリンチしたよな? 何度も何度も何時間も何日も。俺が毎回泣いて命乞いしても『ぎゃははは』って笑いながらリンチ続けたよな? 酷い時は1週間毎日1時間俺をリンチし続けたこともあったっけ? 1時間だぞ? それを1週間ずっとだぞ? そんなリンチお前受けたことある? どうなんだ、コラ?」
「ひぃぃぃ!? ご、ごごご、ごめんなさい、ごめんなさい! 助けて⋯⋯助けてぇぇぇ!!!!!」
佐川は二度の強烈な『威圧』で完全に戦意喪失したようで(本当に大した『威圧』じゃないけどね?)、今ではすっかり顔は怯えまくり、必死に命乞いしてきた。
しかしだ。当然この程度で許すわけはない。
当たり前だ。俺は自殺するところまで追い込まれたんだよ?
これまで何度も何度も泣いて喚いて命乞いしたんだよ?
それでも、こいつらは俺のそんな姿を見てニヤニヤしながらずっと暴力を振い続けたんだよ?
これで終わるわけ⋯⋯ないよねぇ?
「ダメで~す。許しませ~ん。お前やお前の取り巻きには俺のやられた分の『報い』をちゃんと受けてもらいま~す。なので、そこんとこ⋯⋯よろしく!」
ゴキ⋯⋯リ⋯⋯!
俺は佐川のまだ無事な左腕の肘を取ると、取り巻きの一人と同じよう逆方向に折ってあげた。
「~~~~~~~~~~っ!?」
佐川が声にならない叫びを上げる。そして、痛みのあまり失神した。しかし、
「あ、大丈夫だよ、佐川君。失神してもすぐに目覚ましてあげるから。⋯⋯『上級回復』!」
俺は上級魔法『上級回復』を佐川にかける。
ファァァ⋯⋯。
「え、あれ? 俺、今、一体何を⋯⋯?」
失神から目覚めた佐川。上級回復をかけたので佐川は失神から目覚めただけでなく、俺が潰した右手首やさっき折ってあげた左肘もすべて何事もなかったように回復している。
「やぁ、佐川くん。おはよう」
「え? ひ、ひぃぃぃぃっ!! タ、タケル⋯⋯」
「お? もしかして、さっき俺がやったこと覚えてんの?」
そう聞くと、佐川が『こくこくこく⋯⋯!』と上下に激しくシャウトした。どうやらさっきの俺の行為をしっかりと覚えているようだ。
うんうん、これなら手間が省けるね。
「いや~そっか~。覚えているか~。よかった、よかった。それじゃあ⋯⋯第二ラウンドね?」
「え?」
********************
——2時間後
「いや、すごいな。本当に誰も来なかったよ」
俺はポキポキグシャポキを繰り返し、佐川たちが瀕死になったタイミングでその都度『上級回復』をかける⋯⋯といったループを2時間ほど行った。
おかげで四人は戦意喪失をだいぶ通り越して、体育座りしながら指をくわえ小刻みに震えている。
「どうだ~? 痛いだろ~? 精神的にキツイだろ~? だけど、お前らはたった2時間程度だぞ? 俺はそれ以上の何十時間もずっとお前らにやられ続けたんだからな? そこんとこわかってる?」
コクコクコクコクコクコクコクコクコク⋯⋯っ!!!!!
3人が俺の言葉に高速にうなづく。
「じゃあ、これでお前らのこと許してやるよ。でも、だからといって明日から変に俺に怯えるなよ? あと、俺のことは絶対に誰にも言うな? この力のこともだぞ? わかったな?」
コクコクコクコクコクコクコクコクコク⋯⋯っ!!!!!
「もし、誰かに怪しまれでもしたら、もう一回⋯⋯だからな?」
コクコクコクコクコクコクコクコクコク⋯⋯っ!!!!!
どうやら、ちゃんとわかってくれたようだ。何よりである。
「じゃ、そういうことで! 明日な~」
そう言って、俺はその場を後にした。
はい、ざまぁ完了。
********************
——後日談
次の日、正直3人とも休むかと思われたがちゃんと登校していた。正直、心が壊れてしばらくは学校を休むと思ったのだが⋯⋯。もしかすると、俺が「明日から⋯⋯」と言ったのを間に受けて勇気を振り絞って登校してきたのかもしれないな。なんか悪いことしたなぁ~(テヘペロ)。
というわけで、俺はそんな佐川たちに申し訳ないなと思ったので気を遣って挨拶をする。
「おはよう!」
俺が佐川たちに元気に声を掛ける。
「「「「っ!? お、おはよう⋯⋯ございます!」」」」
すると、4人が俺を見て思いっきりビクついて冷や汗ダラダラで挨拶をする。
「⋯⋯おい、そうじゃないだろ?」
「「「「ひぃぃぃぃ!」」」」
彼らの『アドバイス』を送ると、その後は大根役者のようなバレバレの演技ではあったが、しかし必死になっていつもどおりの接し方に戻してくれたので俺はとりあえず彼らの努力に免じて許してやった。
俺って優しい男だから。うん。
こうして、俺を取り巻くいじめ問題は解決した。
いや。
そういや⋯⋯あと一人いたな?
87
お気に入りに追加
241
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる