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【第二章 ハズレモノ旺盛編】
053「一旦整理しよう。そうしよう(第二章完)」
しおりを挟む図書館から出た俺とハクロは寮に戻る。⋯⋯つもりだったが、
「少し外に出て『ハズレモノ』について調べる。数日留守にするが気にしないでくれ。じゃあの」
と言って、さっさとどこかへ行ってしまった。
話だと、図書館で調べた歴史書の『確認』をする為と言っていた。よくわからないがハクロのあの顔はだいぶ深刻なものだろうと感じたので特に止めることはしなかった。
「さて、と⋯⋯」
寮に帰り、食事を食べ風呂に入った俺は一人、共有スペースである『リラックスルーム』で寛いだ。時間的にまだ寝るには早い時間にも関わらず生徒は一人もいない。あまり使われていないのかな?
それはそれで俺としては好都合だったので、そこで寛ぎながら今日の出来事を振り返る。
「模擬戦ね~」
ジュード・プリンシパルと決闘した後、四大公爵がやってきて妙に絡まれた結果、『救世主様たちの実力試し』という『模擬戦』にエキジビジョンマッチで四大公爵のリーゼロッテ・ジオガルドというあの宰相ブキャナン・ジオガルドの娘と対戦する話となった。
どうしてこうなった。
「どうしてこうなった」
俺は心でも声にも出して頭を抱える。
入学早々、そんな目立つ舞台に立つつもりなどまったくなかったからだ。
とはいえ、学園に入っていきなりジュードに喧嘩売られて決闘となったがあれは不可抗力だ。俺は悪くない。うん、悪くない。だって、ジュードが男に見えたんだからしょうがない。うん、しょうがない。
さて、そうなると俺の直近でのやることはこの『模擬戦のエキジビジョンマッチ』となる。ちなみに一ヶ月とのこと。
「模擬戦はたしかクラスメートと、この学園の代表者六人との対戦だったな。で、俺は別でエキジビジョンでリーゼロッテとやると⋯⋯あれ? リーゼロッテは代表ではないのか?」
セインの言い方だと俺とエキジビジョンということは代表選手ではないということかな。
「まー、その辺はまた今度セインに聞いてみよう。それよりも俺にとっては一番気がかりなのは⋯⋯ハクロ」
そう、ハクロだ。
ハクロは『ハズレモノ』の調査で学園の外に出た。確認と言っていたが一体何を確認するというのだろう? 歴史書の何を見て確認したいとなったんだ?
詳細を教えられていない分、何もわからない。⋯⋯聞かなかった俺のミスだ。
まあ、ハクロはまた戻ってくるとは思うので『ハズレモノ』の件は一旦『保留』にした。
********************
「ふ~、こんなもんかな。あ! いや、あと、ご主人様⋯⋯ジョルジオ・マッケランの家の件も気になる。あとフェリオとウィルのリアクションも⋯⋯」
そう、ジョルジオの家⋯⋯『マッケラン家』は元々『公爵家』と言っていた。しかし『国家転覆を謀り、国王を殺そうとした』という罪に問われ、結果『伯爵家』に降爵となり、今はそのショックで父親は酒浸りの毎日を送っている⋯⋯という話だった。
しかし、ジョルジオの取り巻き4のウィルがジョルジオに何か言いたそうな⋯⋯まるで『弁明』でもしようとしているかのように見えた。
そして、そんなウィルに焦った表情で一喝する取り巻き4のリーダー、フェリオ・リーチ。⋯⋯あれは、何かすごく引っかかった。
あと、セインやケイティ先生もジョルジオを腕が立つ・実力者ということで評価していた。が⋯⋯⋯⋯本当にそれだけだろうか? 個人的には何かジョルジオを巻き込もうとしているフシを感じた。
俺はこのセインとケイティ先生という『学園内での大物実力者』がジョルジオに声をかけたのと、降爵した元公爵家マッケラン家の現状に対する違和感(取り巻き4らのリアクション等)がどっか結びついているように感じた。
「考えすぎ⋯⋯だろうか?」
いずれにしても、俺は一ヶ月後の『模擬戦』をメインに学園では異世界の知識を学ぶ予定だ。その他諸々については⋯⋯、
「ま、同時進行ってとこかな」
ハクロが戻ってきたら『ハズレモノ』についての進捗もわかるしね。
********************
とりあえず、俺は学園からまたいろいろと動いていく。
それは、模擬戦とかの話だけではなく、俺のこの『ハズレモノ』についてのこととか含めてだ。
俺はまだ異世界にやってきて間もない。そして、これからが本当の俺の異世界人生のスタートだ。
『やらないで後悔より、やって後悔』を座右の銘とする俺に迷いはない。
いくぜ、異世界!
第二章 完
********************
この第二章で一旦、『異世界ハズレモノ英雄譚~無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!~』は休載となります。
今後、続きを書くかどうかはわかりませんが一応、とりあえずの休載です。
これまで読んでくださった皆様、応援してくださった皆様、ありがとうございました。
mitsuzoエンターテインメンツ
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