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【第一章 ハズレモノ胎動編】
004「特別な力(後編)」
しおりを挟む「え? え? この方⋯⋯称号が『大魔道士』!」
「だ、『大魔道士』! 単一魔法、広範囲魔法、どちらも高出力の⋯⋯あの『大魔道士』じゃと!」
そんなシャルロットにもじーさんたちにもけっこう驚かれたのは⋯⋯⋯⋯オタクの吉村稔だった。
——————————————————
【ステータス】
名前:ミノル・ヨシムラ(異世界人)
年齢:16歳
称号:大魔道士
レベル:1
HP:87
MP:103
身体能力:61
身体硬度:58
魔法:身体強化、冷気波動、団体守護
固有魔法:魔法強化
固有スキル:女神の加護(Lv1)
体術:なし
——————————————————
「むぅ~⋯⋯やはり、この方もステータス成長率補正の『女神の加護』が⋯⋯。今回の異世界の救世主様にはもしかすると、全員に『女神の加護』がついているとでもいうのか? だとしたら、あっという間に強くなるやもしれん⋯⋯」
「なっ!? レベル1で魔法がすでに三種類も備わっているじゃと!」
「シャルロット様、こちらを見てください! MPが初期値で三桁を超えております。さすが、高レベルの魔法をいくつも放つ『大魔道士』らしい高スペックかと⋯⋯」
「お、おい! 固有魔法に『魔法強化』があるぞ!」
吉村はシャルロットやじーさんたちの反応に満足そうにしている。おそらく内心かなり嬉しいはずだが、なぜか、柊木ほど感情を表に出さないでいた。俺はそんな吉村がかえって不気味に感じた。
周囲の驚きは、まだまだ続く。
「しょ、称号⋯⋯『剣聖』!」
「『剣聖』っ!? まさか⋯⋯!!!!」
「我が国にも、遂に⋯⋯遂に⋯⋯『剣聖』の称号を獲得する者が現れたっ!!!!」
今度はじーさんたちのほうがかなり嬉しがっている。しかもこの国では初の『剣聖』の称号持ちと言っている。そんな、この国で初の『剣聖』の称号を得たのは⋯⋯⋯⋯クラス委員長『古河美咲』
——————————————————
【ステータス】
名前:ミサキ・フルカワ(異世界人)
年齢:16歳
称号:剣聖
レベル:1
HP:110
MP:75
身体能力:95
身体硬度:105
魔法:身体強化、治癒
固有魔法:光子剣
固有スキル:女神の加護(Lv1)
体術:なし
——————————————————
「むぅぅ⋯⋯さすが『剣聖』。HPと身体硬度が初期値で三桁とは⋯⋯」
「お、おい! 見ろ! レベル1ですでに固有スキルに『光子剣』があるぞ!」
どうやら、古河のスペックもかなりの高スペックらしい。何だろう⋯⋯『光子剣』って?
そんな高スペック連発、驚きの連続の中、さらに1オクターブ上がるほどの歓声が上がった。
「こ、この称号は⋯⋯『聖女』! すごい! 聖女様までいるなんて⋯⋯!!!!」
これには、シャルロットが一際、驚きの声を上げた。そんな彼女を驚かせた『聖女』の称号を持っていたのは⋯⋯⋯⋯嶋由美先生ことユーミンだった。
——————————————————
【ステータス】
名前:ユミ・シマ(異世界人)
年齢:26歳
称号:聖女
レベル:1
HP:67
MP:211
身体能力:55
身体硬度:45
魔法:治癒、状態異常治癒
固有魔法:小規模治癒
固有スキル:女神の加護(Lv1)
体術:なし
——————————————————
「ほ、本当じゃ。『勇者』と並ぶ、特別な称号の『聖女』とは⋯⋯」
「しょ、初期値で⋯⋯MPが200を超えている⋯⋯だとっ!?」
「お、おい! 固有魔法に『小規模治癒』があるぞ!」
「何⋯⋯!? ほ、本当だ。レベル1の時点で、すでに限定エリア内のケガや病気を治す小規模治癒が備わっているとは。さ、さすがは称号『聖女』⋯⋯と言ったところか!?」
どうやら、レベル1からすでに備わっている『小規模治癒』というのが、かなり凄そうだな。
ここまで、かなりの高スペックの称号が出てきた中、今度の小山田信二にも注目が集まった。しかし、
「これは! 称号『賢者』です⋯⋯ね⋯⋯」
「『賢者』ですか。とてもバランスの良い称号ですな!」
——————————————————
【ステータス】
名前:シンジ・オヤマダ(異世界人)
年齢:16歳
称号:賢者
レベル:1
HP:56
MP:101
身体能力:49
身体硬度:39
魔法:治癒、冷気波動
固有魔法:小規模治癒
固有スキル:女神の加護(Lv1)
体術:なし
——————————————————
「どう? 賢者ってすごいの? すごいよね?」
小山田は前のめりになりながら、シャルロットやじーさんたちに詰め寄る。
「そ、そうですね⋯⋯(ち、近い)。『賢者』は一国に十人もいませんので、こちらもレアな称号です」
「そ、そう! そうだよね!」
「ただ、まあ、その上に『大賢者』という称号が存在しまして⋯⋯」
「⋯⋯え?」
「大賢者は、世界で数人しかいないという激レア称号です」
「あ⋯⋯そ⋯⋯」
小山田のテンションが一気に落ちる。
「オ、オヤマダ様! これまでの方々があまりに凄すぎなだけで⋯⋯『賢者』は攻撃魔法や付与魔法、治癒魔法、防御魔法と満遍なく身につける称号でございます。それにレベル1から固有魔法に『小規模治癒』があるなんて、これはかなり凄いです。それにMPは初期値で三桁超え⋯⋯十分、高スペックですぞ!」
「は、はあ⋯⋯」
「オ、オヤマダ様っ!?『賢者』としての成長、心より期待しております!」
「は、はあ⋯⋯」
周りのじーさんたちやシャルロットは、必死になって小山田を擁護しているようだが、これは、いわゆる擁護されればされるほど傷を抉るという、如何ともし難い状況である。
だが、俺は内心「いい気味だ」とは思わなかった。
なぜかって?
小山田よりもひどいからだよ。
「さて、最後は⋯⋯」
シャルロットがそういうと、ここにいるすべての視線が俺に向けられた。
い、嫌だ、見せたくない!
俺のこんな⋯⋯⋯⋯『ハズレ』なステータスなんて!
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