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3ー2章 落ち人たちの罪と罰
三十一話 依頼を承りました。
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セレスフィアは、北の王都へと伸びる街道と、なだらかに広がる平原、南にのぞむ湾を囲むように広がる街でした。
港で水揚げされる海産物と、他国から入って来る交易の品々が、水路を使ってやり取りされています。私たちの世界とは違い車などの機械が発達していないせいか、物を運ぶだけでなく人々の足として、水路は生活全ての基盤となっているようでした。
私たちグリフォンの一団は、街の中心部、少しだけ小高い丘になったその頂にある、中世のお城のような建物を目指しました。そこがカロンさんのお城……もとい、お屋敷なのだそうです。さすがです、元領主様。
グリフォンが数騎、一度に着地できるほど広い敷地に降り立つ。そこには、大勢の使用人たちが待ち構えていました。皆が手分けして次々に荷物を下ろし、グリフォンたちを運んでいきます。
ほどなくして先に降りたっていたソランさん、それから女性兵士に連れられて結衣さんもやってきました。
私がカロンさんに手を引かれてグリフォンの背から降りていると、ずらりと使用人たちが寄ってきて、主に声をかけました。
「お帰りなさいませ、カロン様」
「変わりはないか」
「はい、万事つつがなく」
「……容態は?」
「安定しております」
誰か、病気の方がいらっしゃるのでしょうか?
私の視線があからさまだったのか、カロンさんが話す相手、使用人たちがこちらを向きます。探るような鋭い視線が、『なんだこいつは』とはっきりと言っているように見えます。
「彼女がカズハ・レヴィナスだ、失礼のないように」
カロンさんがそう紹介すると、皆さんが揃って私に向かって姿勢を正しました。そして一人が代表して礼をすると、そこにオーベールさんも加わります。
「……使用人が失礼しました、想像とは違っていたのでしょう、どうかお許しを」
いえ、それ謝ってませんよね、オーベールさん?
どうせ、美しくておしとやかそうで、アルベリックさんの隣に並んでも遜色ない大人の女性を、みなさん想像したたって言いたいんですよね。いいですよ、慣れてますから。
そんな自虐ツッコミを入れる暇なく、彼は続けます。
「改めまして自己紹介をさせていただきます。私はカロン様よりセレスフィア城の実務を預かります、ロジェール・レイ・オーベールと申します。城でのことは私に何なりとお尋ねください」
「はぁ……よろしくです」
と、適当に答えてから、ふと彼の名前を反芻します。……レイ?
べつにおかしな響きではないのですが、少しだけ引っ掛かりを覚えます。どこか懐かしいような響きで……
目の前のオーベールさんはというと、少しも愛想笑いなど見せません。これから過ごす日々を想像してみて、ちょっとげんなりするのです。でも、そんな思いが表情に出ていたのでしょうね、カロンさんにだめ押しされました。
「客人三人の世話をオーベールに任せる。何か不足があれば遠慮なく言うように」
どうやらソランさんも客人扱いをしてもらえるようで、私は一安心です。
忙しいカロンさんとは別れ、私とソランさん、結衣さんと相変わらずお付きの女性兵士さんの四人は、オーベールさんに連れられてお城に入りました。
そう、近くで見てるとやっぱりお城。そういう認識でいいと思いますよ。
城壁のような高い塀で囲まれてい、まるで中世のお城のごとく情緒たっぷり。描きたくてうずうずしてくるのは、仕方ないと思いませんか。
「ではこちらの間続きの広い部屋を、女性お二人で。その隣の部屋を彼が」
石造りのひんやりとした廊下を進み、中庭を臨む二階。そこの一画を与えられた私たち。
私に依存はありません、ですが結衣さんはどうもそうではない様子です。ええと私、マジ嫌われてしまってますか?
「私もあの人のように、一人部屋が良かったわ」
私と結衣さんが大きな部屋を、そしてソランさんが小さめの個室をあてがわれ、真っ先に異を唱えた結衣さん。
「こちらの間仕切りをすれば、個室と変わりはありません。ご覧のとおり年代物の屋敷です、ご用意できる部屋はそう多くありません。こちらで二人ご一緒にというのも、カロン様の御意向ですので」
「俺も反対だな。今、ユイをカズハのそばに置かれては困る」
「失礼ね、私が何かしでかすような言い方は止めて」
わー、喧嘩は止めてぇ。
まるで私を取り合ってるように見えるじゃないですか。
……なんて好かれてもいないのに、にやけた顔で二人を止めようとしたところで、オーベールさんに先手を奪われていました。
「そのような声も出るだろうと言われています。そのときは、組み合わせを変えてもいいと許可をいただいています」
「なら、最初からそうして欲しいわ」
なんとオーベールさん。この後に続く言葉で、明るくなった結衣さんの表情を、一瞬にして歪ませます。
「ただし、ユイ、あなたとソラン氏がこちらの部屋で」
「む、無理よ!!」
「でしたら、当初の予定通りに。それ以外は認められません」
「…………信じられない」
苦渋の選択ですか、結衣さんってば。
そうして私と結衣さんが同室になることに。
ソランさんもまた不服が残るようでしたが、まさか若い女性と同室というわけにもいかず。そのかわり、何かあったら駆けつけるから何かあれば大声を出せと念を押されましたが。何かって、やはり加護がまた同調して起きることを、ソランさんは懸念しているのですね。
オーベールさんと女性兵士さんは、私たちの荷物を置いて去っていきました。それと入れ替わりに、メイドさんたちがやってきて、荷解きを手伝ってくれます。慣れないセレスフィアで、今後はなにかと彼女たちのお世話になりそうです。
そうしているうちに、気づけば日もかげってきていました。
使用人たちが当面必要な服や道具を持ち込んできてくれて、ついでに部屋のランプに火をともしてゆきます。
夕食後に再び様子を見にきたオーベールさんによると、今後の予定は、また明朝にカロンさんから聞かされるとのことです。
それだけ告げてオーベールさんは退室してしまい、広い部屋には私と結衣さんの二人きり。間仕切りとはいえ、それは衝立のようなものです。まだ完全に閉じられていないので、静かな部屋に、互いの動きや息遣いが、はっきりと伝わってきます。
「結衣さん、そろそろ間仕切りを閉めますね」
「誰もいなくなったら、ずいぶんと静かなのね、このお城」
「そういえば、そうですね」
結衣さんが言う通りです。
メイドさんたちは定期的に巡回していると言っていましたが、彼女たちがいるのは少し離れた区画だそうです。
私は背の高い窓辺に行って、カーテンの隙間から外を眺めます。
お城の中庭をのぞむそこから見えるのは、石壁に囲まれた真っ暗な景色。所々明りが見えるけれど、それは私たちの部屋からかなり離れたところです。
街の賑わいを見下ろしてきたばかりなせいか、なんだか寂しいところに置き去りにされたような気分です。
それは結衣さんも同じだったようで。私の隣の窓を、彼女ものぞきながら……
「一人じゃなくて良かったかも」
小さな本音に、私は思わず笑ってしまいました。
「そうですね」
二人で協力しあって大きな屏風のような間仕切りを広げると、互いの部屋が見えないようになりました。音などは防げないけれど、これがないと着替えなどに困りますからね。
メイドさんが用意してくれた寝間着をお借りして、広い寝台にごろんと転がれば、自然と出る大きなあくび。
こうして息遣いが聞こえるそばにいれば、いつかは結衣さんと仲直りできるかな。なんて、漠然と考えてみるのです。
いつしかまぶたが重くなって、寝てしまっていたのだと思います。
気づいたら部屋の明かりは消され、真っ暗。
なんで起きたんだろうと考えていると……小さなノックの音が聞こえました。
「誰ですか?」
隣の部屋で寝ている結衣さんを起こしてしまわないよう、扉に近づいて小さな声で返すと。
「カズハ様、カロン様がお呼びです」
「え? あ、はい。ちょっと待ってください」
声の主はオーベールさんのようでした。
私は慌てて服を着替えて、髪を整えると、扉をそっと開けました。すると部屋の世話をしてくれたメイドさんを引き連れて、やはりオーベールさんがそこに。それから……とても不機嫌そうなソランさんまで。
「彼はとても優秀な護衛ですね」
珍しく苦笑いを浮かべて言うオーベールさんに、ソランが睨みをきかせてます。
「こんな夜中にコソコソされりゃ、警戒するに決まってるだろう。カズハをどこかに連れていきたけりゃ、俺も一緒だ」
「分かっています、それではこちらに」
メイドさんは私がいない間、部屋で待っているそうです。万が一結衣さんが起きて、一人取り残されたと思ってパニックにならないように。うん、怖いですから古城、ぜひそうしてあげてください。
それからオーベールさんの案内で、長い廊下と階段を経て、ある部屋へと通されました。そこで私を待ち構えていたのは、カロンさん。
以前、ローウィンで対面したときとは違い、待っていたのはどうやら彼一人。護衛すら見当たりません。
「夜遅くに驚かせたか」
「いえ、まあ、その。寝てしまってたので……」
「そうか、それは悪かった」
私とソランさんは、部屋の中央に置かれた椅子に。そばでオーベールさんが控えています。
カロンさんの前には広くて大きな机、それから壁には一面の書棚。
部屋は広いけれど、装飾は質素で実務的。おそらくカロンさんの個人的な書斎、といったところでしょうか。
私があんぐりと一通り部屋を眺めたあと、カロンさんは話し始めました。
「カズハ、私がローウィンで申し出た依頼について覚えているか」
「依頼?……もしかして病気のお父さんを描いてほしいっていう、アレですか?」
「そうだ」
「でも、あれって……」
てっきり私たちと接点を持つためだけの嘘かと思っていました。仮に絵を描かされたとしても、また別のことかと。
カロンさんは私の考えていることが分かるのでしょう。
「依頼は偽りではないと改めて言っておいたはずだ。絵の対象についても……来るがいい」
カロンさんはオーベールさんに明かりを持たせて、部屋を出ます。
私たちが来た道とは反対側、お城の奥に向かっているようでした。いったいどこに行くのだろうと不安に思うのは、壁や階段の手すりから、次第に華美な装飾が失せていくから。
いつしか暗い階段を降りきり、たどり着いたのは地下にあると思われる一室でした。
「……ここは?」
「身分の高い者を収監するための部屋だ。ここに、私の父がいる」
「…………え?」
目の前に立ちふさがる扉の上部には、のぞき穴のような窓と鉄格子。
オーベールさんが取り出した鍵で錠前が開けられ、扉がゆっくりと動き出す。
「私の父であり、最後のセレスフィア領主だった者。今は見る影もないが、宰相ウィリアム・レヴィナスを最も追い詰めたと言われる男、そのなれの果てだ」
厚い扉のむこう、さほど広くない部屋にあるのは、簡素なベッドひとつ。そこに、力なく横たわる老人が一人。
真っ白な髪に、土気色の肌。かつては精悍だったろう瞳は、くすんでいて目が見えるのかどうかも怪しい。虚ろに空を見ていたその目が、ふいにこちらを向いた老人には、生気が感じられなかったのです。
「あ、あの……私は」
ご老人に声をかけようとした私を、カロンさんが制止しました。
「無駄だ、父はもう自分が誰なのかも分からない。たまに正気が戻ってくるらしいが、それもほんの僅かな時間だそうだ」
「……この方の、肖像画を私に?」
「そうだ」
薄暗い部屋の中で、相変わらずカロンさんの無表情から、何を考えているのかなんてさっぱり読めません。
ローウィンでの話しぶりでは、先がない父親の姿を描きとめてほしい。そんな依頼だった気がするのですが……今の彼の声は、いつも以上に感情が削げ落ちているように、ひどく冷たい。
この地下牢のような部屋に、先代の領主。そんな立場には似つかわしくないほどの質素な寝具で、たった一人……。
「カロンさん、聞いてもいいですか?」
「ああ、いいだろう」
「この方への加護を、期待されているのですか?」
私が描く必要があるとは思えないのです。きっとこれまでに、領主の勇姿を描いたものはたくさんあったはず。ノエリア領事であるコリーヌ婦人と旦那様のように。
「いいや。この男は最も加護などというものから、遠い存在だろう。ベルクムントの王とは違う、だからこそ絵の対象に選んだ」
「え……」
「おまえの加護が涙によって発動されることは、承知している。この男を想って泣く者は、このセレスフィアには一人もいない。ゆえに加護は永遠に訪れないだろう」
カロンさんは横たわる父親を見下ろし、告げた言葉の意味を、私はすぐには理解できませんでした。
どう反応していいのか分からない私に代わり、ソランさんが。
「グロヴレ伯爵は実の息子にその地位を奪われ、幽閉されているというのは有名な噂話だ。俺も、真実かどうかは疑わしいと思っていたんだがな……」
ええ?
カロンさんを見れば、ソランさんの言葉を否定するわけでもなく、ただ黙って私の返答を待っているかのよう。
私たちがこうして話している間も、カロンさんのお父さんは虚空を見つめて、ベッドに横たわっているだけ。まるで私たちの会話など、耳に入ってはいないようです。
「見たままの姿を写していいんですか? それとも過去のお元気だって姿を……」
「いいや! 決して偽ることは許さない。今のこの、ありのままの姿を」
声を荒げるカロンさんを、初めて見たような気がします。
これまでの旅路のなかで、カロンさんはいつも冷静でした。私兵たちに笑いかけることはなくても、常に穏やかに接していて、彼らにとても慕われていました。なによりオーベールさんの崇拝ぶりはすさまじく……。
「おまえには悪いが、どれほどの労力をかけようとも、ここで描いた絵は衆目に晒されず、正当な評価を得る機会はないだろう」
父親への冷たさを見せたすぐ後で、絵描きの私へのそのそ言葉。掴みどころのないカロンさんへの興味、だったのかもしれません。
私は決めました。
「……わかりました、そのご依頼承ります」
あっさりと応えた私の了承に、少しだけ驚いた様子を見せたカロンさん。その隣で、オーベールさんも同じような反応。そしてあからさまに嫌そうな声を出すのは、ソランさん。
「いいのかよ、奥歯にモノが挟まったような依頼だぞ、そんなに簡単に請け負って。そもそも、絵の制作が終われば、帰してもらえるのか?」
それは尤もな質問ですね。
どうなのでしょう、とカロンさんへ問いかければ。
「絵の完成には……どのくらいかかる?」
「え? あ、大きさにもよりますが……肖像画のようにしっかりとしたものなら二週間くらいは少なくとも……」
「では、急いでもらおう。多少は質が落ちようともかまわない」
「……いいんですか?」
「いいも悪いもない、そう愚鈍ではなかろう、おまえの夫は」
「あ……」
そういうこと……。
アルベリックさんが迎えに来ると、カロンさんも確信しているのですね。それまでに完成した絵を欲しているということですか。
そのわりには加護を期待していない、ってどういうことなのでしょう。
やっぱり、カロンさんは不思議。
だけど、こんなところに来てしまったのです、何もせずにいるなんて私らしくないのです。いずれ彼の全てが見えてくるのだと信じて、私は私のできることをしようと思います。
それこそ最初は、カロンさんのことをとても悪い人だと思っていました。でも、もしかしたら。それだけでないのではと、思い始めているのです。
私たちが地下室を出て、オーベールさんが施錠をしていると。
窓もないのに、どこからかふわりと風が吹き、頬をなでていったような気がしました。
いやーな予感がして、真っ暗な廊下の先へ目をこらすと──
白いものがぼんやりと浮かび上がったのです。
「ぎゃあああ、幽霊!」
ひたひたと、こちらに歩いてくる白い人影。
ああ、古城には幽霊がつきものです。な、何度も言いますが、私、おばけ駄目なんですってばあ!
「誰だ!」
オーベールさんが、影に向かって叫びます。
庇うように前に出たソランさんの後ろで、ガタガタと震えつつ、もう一度暗闇に目を向けると──
なんと白い人影が間近に迫って、こちらに手をかざしているのです!
──ああ、だめ。見るんじゃなかった。
気絶しても、いいですか?!
港で水揚げされる海産物と、他国から入って来る交易の品々が、水路を使ってやり取りされています。私たちの世界とは違い車などの機械が発達していないせいか、物を運ぶだけでなく人々の足として、水路は生活全ての基盤となっているようでした。
私たちグリフォンの一団は、街の中心部、少しだけ小高い丘になったその頂にある、中世のお城のような建物を目指しました。そこがカロンさんのお城……もとい、お屋敷なのだそうです。さすがです、元領主様。
グリフォンが数騎、一度に着地できるほど広い敷地に降り立つ。そこには、大勢の使用人たちが待ち構えていました。皆が手分けして次々に荷物を下ろし、グリフォンたちを運んでいきます。
ほどなくして先に降りたっていたソランさん、それから女性兵士に連れられて結衣さんもやってきました。
私がカロンさんに手を引かれてグリフォンの背から降りていると、ずらりと使用人たちが寄ってきて、主に声をかけました。
「お帰りなさいませ、カロン様」
「変わりはないか」
「はい、万事つつがなく」
「……容態は?」
「安定しております」
誰か、病気の方がいらっしゃるのでしょうか?
私の視線があからさまだったのか、カロンさんが話す相手、使用人たちがこちらを向きます。探るような鋭い視線が、『なんだこいつは』とはっきりと言っているように見えます。
「彼女がカズハ・レヴィナスだ、失礼のないように」
カロンさんがそう紹介すると、皆さんが揃って私に向かって姿勢を正しました。そして一人が代表して礼をすると、そこにオーベールさんも加わります。
「……使用人が失礼しました、想像とは違っていたのでしょう、どうかお許しを」
いえ、それ謝ってませんよね、オーベールさん?
どうせ、美しくておしとやかそうで、アルベリックさんの隣に並んでも遜色ない大人の女性を、みなさん想像したたって言いたいんですよね。いいですよ、慣れてますから。
そんな自虐ツッコミを入れる暇なく、彼は続けます。
「改めまして自己紹介をさせていただきます。私はカロン様よりセレスフィア城の実務を預かります、ロジェール・レイ・オーベールと申します。城でのことは私に何なりとお尋ねください」
「はぁ……よろしくです」
と、適当に答えてから、ふと彼の名前を反芻します。……レイ?
べつにおかしな響きではないのですが、少しだけ引っ掛かりを覚えます。どこか懐かしいような響きで……
目の前のオーベールさんはというと、少しも愛想笑いなど見せません。これから過ごす日々を想像してみて、ちょっとげんなりするのです。でも、そんな思いが表情に出ていたのでしょうね、カロンさんにだめ押しされました。
「客人三人の世話をオーベールに任せる。何か不足があれば遠慮なく言うように」
どうやらソランさんも客人扱いをしてもらえるようで、私は一安心です。
忙しいカロンさんとは別れ、私とソランさん、結衣さんと相変わらずお付きの女性兵士さんの四人は、オーベールさんに連れられてお城に入りました。
そう、近くで見てるとやっぱりお城。そういう認識でいいと思いますよ。
城壁のような高い塀で囲まれてい、まるで中世のお城のごとく情緒たっぷり。描きたくてうずうずしてくるのは、仕方ないと思いませんか。
「ではこちらの間続きの広い部屋を、女性お二人で。その隣の部屋を彼が」
石造りのひんやりとした廊下を進み、中庭を臨む二階。そこの一画を与えられた私たち。
私に依存はありません、ですが結衣さんはどうもそうではない様子です。ええと私、マジ嫌われてしまってますか?
「私もあの人のように、一人部屋が良かったわ」
私と結衣さんが大きな部屋を、そしてソランさんが小さめの個室をあてがわれ、真っ先に異を唱えた結衣さん。
「こちらの間仕切りをすれば、個室と変わりはありません。ご覧のとおり年代物の屋敷です、ご用意できる部屋はそう多くありません。こちらで二人ご一緒にというのも、カロン様の御意向ですので」
「俺も反対だな。今、ユイをカズハのそばに置かれては困る」
「失礼ね、私が何かしでかすような言い方は止めて」
わー、喧嘩は止めてぇ。
まるで私を取り合ってるように見えるじゃないですか。
……なんて好かれてもいないのに、にやけた顔で二人を止めようとしたところで、オーベールさんに先手を奪われていました。
「そのような声も出るだろうと言われています。そのときは、組み合わせを変えてもいいと許可をいただいています」
「なら、最初からそうして欲しいわ」
なんとオーベールさん。この後に続く言葉で、明るくなった結衣さんの表情を、一瞬にして歪ませます。
「ただし、ユイ、あなたとソラン氏がこちらの部屋で」
「む、無理よ!!」
「でしたら、当初の予定通りに。それ以外は認められません」
「…………信じられない」
苦渋の選択ですか、結衣さんってば。
そうして私と結衣さんが同室になることに。
ソランさんもまた不服が残るようでしたが、まさか若い女性と同室というわけにもいかず。そのかわり、何かあったら駆けつけるから何かあれば大声を出せと念を押されましたが。何かって、やはり加護がまた同調して起きることを、ソランさんは懸念しているのですね。
オーベールさんと女性兵士さんは、私たちの荷物を置いて去っていきました。それと入れ替わりに、メイドさんたちがやってきて、荷解きを手伝ってくれます。慣れないセレスフィアで、今後はなにかと彼女たちのお世話になりそうです。
そうしているうちに、気づけば日もかげってきていました。
使用人たちが当面必要な服や道具を持ち込んできてくれて、ついでに部屋のランプに火をともしてゆきます。
夕食後に再び様子を見にきたオーベールさんによると、今後の予定は、また明朝にカロンさんから聞かされるとのことです。
それだけ告げてオーベールさんは退室してしまい、広い部屋には私と結衣さんの二人きり。間仕切りとはいえ、それは衝立のようなものです。まだ完全に閉じられていないので、静かな部屋に、互いの動きや息遣いが、はっきりと伝わってきます。
「結衣さん、そろそろ間仕切りを閉めますね」
「誰もいなくなったら、ずいぶんと静かなのね、このお城」
「そういえば、そうですね」
結衣さんが言う通りです。
メイドさんたちは定期的に巡回していると言っていましたが、彼女たちがいるのは少し離れた区画だそうです。
私は背の高い窓辺に行って、カーテンの隙間から外を眺めます。
お城の中庭をのぞむそこから見えるのは、石壁に囲まれた真っ暗な景色。所々明りが見えるけれど、それは私たちの部屋からかなり離れたところです。
街の賑わいを見下ろしてきたばかりなせいか、なんだか寂しいところに置き去りにされたような気分です。
それは結衣さんも同じだったようで。私の隣の窓を、彼女ものぞきながら……
「一人じゃなくて良かったかも」
小さな本音に、私は思わず笑ってしまいました。
「そうですね」
二人で協力しあって大きな屏風のような間仕切りを広げると、互いの部屋が見えないようになりました。音などは防げないけれど、これがないと着替えなどに困りますからね。
メイドさんが用意してくれた寝間着をお借りして、広い寝台にごろんと転がれば、自然と出る大きなあくび。
こうして息遣いが聞こえるそばにいれば、いつかは結衣さんと仲直りできるかな。なんて、漠然と考えてみるのです。
いつしかまぶたが重くなって、寝てしまっていたのだと思います。
気づいたら部屋の明かりは消され、真っ暗。
なんで起きたんだろうと考えていると……小さなノックの音が聞こえました。
「誰ですか?」
隣の部屋で寝ている結衣さんを起こしてしまわないよう、扉に近づいて小さな声で返すと。
「カズハ様、カロン様がお呼びです」
「え? あ、はい。ちょっと待ってください」
声の主はオーベールさんのようでした。
私は慌てて服を着替えて、髪を整えると、扉をそっと開けました。すると部屋の世話をしてくれたメイドさんを引き連れて、やはりオーベールさんがそこに。それから……とても不機嫌そうなソランさんまで。
「彼はとても優秀な護衛ですね」
珍しく苦笑いを浮かべて言うオーベールさんに、ソランが睨みをきかせてます。
「こんな夜中にコソコソされりゃ、警戒するに決まってるだろう。カズハをどこかに連れていきたけりゃ、俺も一緒だ」
「分かっています、それではこちらに」
メイドさんは私がいない間、部屋で待っているそうです。万が一結衣さんが起きて、一人取り残されたと思ってパニックにならないように。うん、怖いですから古城、ぜひそうしてあげてください。
それからオーベールさんの案内で、長い廊下と階段を経て、ある部屋へと通されました。そこで私を待ち構えていたのは、カロンさん。
以前、ローウィンで対面したときとは違い、待っていたのはどうやら彼一人。護衛すら見当たりません。
「夜遅くに驚かせたか」
「いえ、まあ、その。寝てしまってたので……」
「そうか、それは悪かった」
私とソランさんは、部屋の中央に置かれた椅子に。そばでオーベールさんが控えています。
カロンさんの前には広くて大きな机、それから壁には一面の書棚。
部屋は広いけれど、装飾は質素で実務的。おそらくカロンさんの個人的な書斎、といったところでしょうか。
私があんぐりと一通り部屋を眺めたあと、カロンさんは話し始めました。
「カズハ、私がローウィンで申し出た依頼について覚えているか」
「依頼?……もしかして病気のお父さんを描いてほしいっていう、アレですか?」
「そうだ」
「でも、あれって……」
てっきり私たちと接点を持つためだけの嘘かと思っていました。仮に絵を描かされたとしても、また別のことかと。
カロンさんは私の考えていることが分かるのでしょう。
「依頼は偽りではないと改めて言っておいたはずだ。絵の対象についても……来るがいい」
カロンさんはオーベールさんに明かりを持たせて、部屋を出ます。
私たちが来た道とは反対側、お城の奥に向かっているようでした。いったいどこに行くのだろうと不安に思うのは、壁や階段の手すりから、次第に華美な装飾が失せていくから。
いつしか暗い階段を降りきり、たどり着いたのは地下にあると思われる一室でした。
「……ここは?」
「身分の高い者を収監するための部屋だ。ここに、私の父がいる」
「…………え?」
目の前に立ちふさがる扉の上部には、のぞき穴のような窓と鉄格子。
オーベールさんが取り出した鍵で錠前が開けられ、扉がゆっくりと動き出す。
「私の父であり、最後のセレスフィア領主だった者。今は見る影もないが、宰相ウィリアム・レヴィナスを最も追い詰めたと言われる男、そのなれの果てだ」
厚い扉のむこう、さほど広くない部屋にあるのは、簡素なベッドひとつ。そこに、力なく横たわる老人が一人。
真っ白な髪に、土気色の肌。かつては精悍だったろう瞳は、くすんでいて目が見えるのかどうかも怪しい。虚ろに空を見ていたその目が、ふいにこちらを向いた老人には、生気が感じられなかったのです。
「あ、あの……私は」
ご老人に声をかけようとした私を、カロンさんが制止しました。
「無駄だ、父はもう自分が誰なのかも分からない。たまに正気が戻ってくるらしいが、それもほんの僅かな時間だそうだ」
「……この方の、肖像画を私に?」
「そうだ」
薄暗い部屋の中で、相変わらずカロンさんの無表情から、何を考えているのかなんてさっぱり読めません。
ローウィンでの話しぶりでは、先がない父親の姿を描きとめてほしい。そんな依頼だった気がするのですが……今の彼の声は、いつも以上に感情が削げ落ちているように、ひどく冷たい。
この地下牢のような部屋に、先代の領主。そんな立場には似つかわしくないほどの質素な寝具で、たった一人……。
「カロンさん、聞いてもいいですか?」
「ああ、いいだろう」
「この方への加護を、期待されているのですか?」
私が描く必要があるとは思えないのです。きっとこれまでに、領主の勇姿を描いたものはたくさんあったはず。ノエリア領事であるコリーヌ婦人と旦那様のように。
「いいや。この男は最も加護などというものから、遠い存在だろう。ベルクムントの王とは違う、だからこそ絵の対象に選んだ」
「え……」
「おまえの加護が涙によって発動されることは、承知している。この男を想って泣く者は、このセレスフィアには一人もいない。ゆえに加護は永遠に訪れないだろう」
カロンさんは横たわる父親を見下ろし、告げた言葉の意味を、私はすぐには理解できませんでした。
どう反応していいのか分からない私に代わり、ソランさんが。
「グロヴレ伯爵は実の息子にその地位を奪われ、幽閉されているというのは有名な噂話だ。俺も、真実かどうかは疑わしいと思っていたんだがな……」
ええ?
カロンさんを見れば、ソランさんの言葉を否定するわけでもなく、ただ黙って私の返答を待っているかのよう。
私たちがこうして話している間も、カロンさんのお父さんは虚空を見つめて、ベッドに横たわっているだけ。まるで私たちの会話など、耳に入ってはいないようです。
「見たままの姿を写していいんですか? それとも過去のお元気だって姿を……」
「いいや! 決して偽ることは許さない。今のこの、ありのままの姿を」
声を荒げるカロンさんを、初めて見たような気がします。
これまでの旅路のなかで、カロンさんはいつも冷静でした。私兵たちに笑いかけることはなくても、常に穏やかに接していて、彼らにとても慕われていました。なによりオーベールさんの崇拝ぶりはすさまじく……。
「おまえには悪いが、どれほどの労力をかけようとも、ここで描いた絵は衆目に晒されず、正当な評価を得る機会はないだろう」
父親への冷たさを見せたすぐ後で、絵描きの私へのそのそ言葉。掴みどころのないカロンさんへの興味、だったのかもしれません。
私は決めました。
「……わかりました、そのご依頼承ります」
あっさりと応えた私の了承に、少しだけ驚いた様子を見せたカロンさん。その隣で、オーベールさんも同じような反応。そしてあからさまに嫌そうな声を出すのは、ソランさん。
「いいのかよ、奥歯にモノが挟まったような依頼だぞ、そんなに簡単に請け負って。そもそも、絵の制作が終われば、帰してもらえるのか?」
それは尤もな質問ですね。
どうなのでしょう、とカロンさんへ問いかければ。
「絵の完成には……どのくらいかかる?」
「え? あ、大きさにもよりますが……肖像画のようにしっかりとしたものなら二週間くらいは少なくとも……」
「では、急いでもらおう。多少は質が落ちようともかまわない」
「……いいんですか?」
「いいも悪いもない、そう愚鈍ではなかろう、おまえの夫は」
「あ……」
そういうこと……。
アルベリックさんが迎えに来ると、カロンさんも確信しているのですね。それまでに完成した絵を欲しているということですか。
そのわりには加護を期待していない、ってどういうことなのでしょう。
やっぱり、カロンさんは不思議。
だけど、こんなところに来てしまったのです、何もせずにいるなんて私らしくないのです。いずれ彼の全てが見えてくるのだと信じて、私は私のできることをしようと思います。
それこそ最初は、カロンさんのことをとても悪い人だと思っていました。でも、もしかしたら。それだけでないのではと、思い始めているのです。
私たちが地下室を出て、オーベールさんが施錠をしていると。
窓もないのに、どこからかふわりと風が吹き、頬をなでていったような気がしました。
いやーな予感がして、真っ暗な廊下の先へ目をこらすと──
白いものがぼんやりと浮かび上がったのです。
「ぎゃあああ、幽霊!」
ひたひたと、こちらに歩いてくる白い人影。
ああ、古城には幽霊がつきものです。な、何度も言いますが、私、おばけ駄目なんですってばあ!
「誰だ!」
オーベールさんが、影に向かって叫びます。
庇うように前に出たソランさんの後ろで、ガタガタと震えつつ、もう一度暗闇に目を向けると──
なんと白い人影が間近に迫って、こちらに手をかざしているのです!
──ああ、だめ。見るんじゃなかった。
気絶しても、いいですか?!
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3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
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