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3ー2章 落ち人たちの罪と罰
十八話 二人の距離は近くて遠くなりました。
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いつものように叱られて、そしていつものように心配してくれるアルベリックさんに、私はめいっぱい謝って……。そして困った顔をしながら許してくれる彼に、いつものように甘えていられると、そう思っていたのです。
だから、いきなり寂しくなった部屋を、ただ茫然と見守るしかなくて……。
二つの寝台が置かれた二人部屋に、一人残されたのは私と、私の着替えや画材道具などが入った荷物だけ。静かになった部屋で、私はスプリングのないマットの縁に腰を下ろして、ほんの少し前の出来事を思い起こすのです。
──あれは夕暮れ時。
迎えに来たアルベリックさんとサミュエルさんに連れられて、私たちは街の北側にある宿に向かったのです。そこはサミュエルさんの職場でもある役所の近くです。
サミュエルさんが寝泊まりしているのも、その一角にある職員宿舎。そこの一室に、結衣さんは警護上の都合で泊まっていました。
「色々と話しは聞きたいところだが、時間が遅いから明日にする。また明朝、執務室に来てくれ。特にお前!」
「……へ?」
私をじっと見下ろすサミュエルさん。
なにかしましたっけ? そんな風に見返してみても、サミュエルさんは硬い表情のまま、何も言ってくれません。
「……まあいい、頼むから大人しくしていろよ。いいな?」
「失礼な言い方ですが、分かりました」
「くれぐれもだぞ?」
「……しつこいですね」
サミュエルさんはなにかと私をトラブルの元と考えているようですが、そんなはずはありません。
それからアルベリックさんへなにやらコソコソと耳打ちしたと思えば、肘で小突かれていますよ。おおかた余計なことを言ったに違いありません。そうして結衣さんとともに、宿舎へ戻っていきました。
私とアルベリックさんも、宿へと帰ります。
宿はどこの街でも似たようなものです。
ローウィン宿のほとんどで、オランド亭のように一階の食堂で自慢の料理を客に振舞ってくれます。ここの宿の売りは、美味しい川魚と干し茸の料理、そしてお酒なのだそうです。
地酒はそれぞれの土地で味わいが違っていて、不思議。しかも癖も強ければアルコール度数も強いので、私はほんの少しだけしか飲めません。でも、美味しいことは分かりますよ。これでも大人ですからね!
部屋へ戻る前に、食事を済ませてしまうことにした私たちのテーブル。当然のごとく出てくるわけです、自慢のお酒が。
ついつい呆けていると、お酒がすすんでいたようで。
「飲み過ぎるな」
お食事なかば、ジョッキをぐいっと傾げたら、アルベリックさんに奪われました。まだ少し残っているのに、それをお店の女将さんへ渡し、代わりに水を頼んでいるではありませんか。
「大丈夫ですよ、酔ってませんから」
「顔が赤い」
「そうですか? それよりアルベリックさん、美味しいですねこのお魚。なんて名前でしょうかね、サイコーです」
美味しい食事とお酒を堪能し、すっかり酔いが回ってい、私はとても上機嫌に見えたと思います。でも、空元気を保っていないと、どこか落ち着かなくて。嫌な胸のモヤモヤを思い出してしまうから。
いつものように黙って食事を取るアルベリックさんに、さほど注意していなかったのもありますが、本当になにもかもがいつも通りだったんです。だから食事の後、部屋でゆっくりと過ごすときにでも、今日あった出来事を話そう、そして相談しようと思っていたのです。
湯あみをしてくると告げて部屋を出るときも、ただ「いってきますね」なんて言うだけで。
ふわふわする足取りも軽やかに、汗を流してすっきりさっぱりしちゃってですね。
まさか戻ってきた部屋が、ガランとしているとは夢にも思わず。
「……アルベリックさん、どこいったの?」
一人ぽつんと膝を抱えて途方にくれています。
水がしたたる髪を乾かしながら戻った部屋が、もぬけの殻だなんて予想外。
アルベリックさんの荷物が一つもありません。何も言わず、どこへ行ったというのですか?
急に不安が襲ってきます。
そういえばまだ、きちんと今日のことを謝っていませんでした。遅くなって心配かけてごめんなさいって。それから、昼間に言い損ねたままのことも。ルネルさんからお父さんの肖像画を頼まれた件だって……
そうだ。もしかしたら、何か急な用事で呼び出されたのかもしれません。今朝も警備隊宿舎に緊急のお手紙だって呼ばれていたし。
……だからといって、置手紙もない状態でアルベリックさんが消えるだなんて。
ふいに脳裏によぎったのは、結衣さんに手を握られ、見つめるアルベリックさんの姿。
「っうう、違う、ちがうってば……」
私らしくなく悶々としているから良くない想像にかられるのです、考えるより動け! です。
いないなら捜しに行けばいいのです。立ち上がって扉に手をかけると、急に開いた戸に、私は顔から激突しました。
「ふがっ!」
「……すまない、大丈夫か?」
「あ、あるべりっくひゃん」
ぶつかった拍子に座り込む私を、引き上げるようにして立たせてくれたアルベリックさん。
どこに行ってたんですか!
そんな風に問い詰めようとしたのですが、じんわり目が滲むのは、痛みのせいなのか心細かったせいなのか、自分でもよく分かりません。
「カズハ?」
「どうして、いなくなったんですか?」
「ここにいる」
「嘘です、だって荷物が」
アルベリックさんは部屋の扉を閉めて、私を寝台の隅に座らせました。
「私が遅くなったから? 勝手ばっかりするから? だから呆れて出てったの?」
「まて、落ち着けカズハ」
「私は落ち着いてます、だけど戻ったらアルベリックさんが荷物ごとどこにもいないし、き、嫌われたんじゃないかと思って」
アルベリックさんは一つため息をこぼし、私の前髪をかきわけてぶつけた額を見ます。たんこぶ出来る程じゃありませんから、大丈夫ですよ。
「ひどく……酔っているな。額が、というより顔が赤い。それに、風邪をひく」
そう言うと、落ちたままになっていた布を手に、ごしごしと濡れた髪を、アルベリックさんが拭いてきて。
そんな子供扱いなアルベリックさんの手を、私は払いのけます。
「酔ってません。子供じゃないんで大丈夫です、そんなことより、質問にちゃんと答えてくださーい」
「……もう一つ部屋をとった。私はそちらへ移るが、カズハはここで今まで通りに」
「へ……? 違う部屋?」
「ああ」
「なんでですか? やっぱり私のこと嫌いになって……まさか、他の女の人を連れ込むつもりですか!」
「……カズハ、落ち着け、なぜそういう話になるんだ」
「だって、でも、じゃあどうして別の部屋なんですか! うう、怒鳴ったらなんだかグラグラしてきました」
「だから酔ってると言っている」
「酔ってません! あー、それとも結衣さんにやっぱり……」
「いいから、少し黙れ」
ほろ酔いでお風呂に入ったのが、酔いを深める原因だったかもしれません。
アルベリックさんに肩を引き寄せられ、抱きしめられました。ビックリした拍子で見上げると……ゆっくり近づくアルベリックさんの顔。
触れた唇が冷たく感じたのは、私が茹で蛸だったからに違いない。
思ってもみなかった状況に、どう取り繕っていいのか分からず唖然としていると。アルベリックさんは私を見つめたままそっと解放しました。
酔いで高くなっていた心拍数に、違う動悸が加わり、まるで全力疾走状態。ふーふー唸ってる姿は、かなり危ない人状態だと思うのですが、アルベリックさんの熱のこもった視線はどう考えても、そんな私に呆れた風ではなくて……いいんですか、ちょっと趣味おかしいですよ。
酔って熱っぽい私よりも、違う意味で猛烈に熱を感じるアルベリックさん。もはや正視できないんですが、どうしましょう。
そんな挙動不審になっている私の背に、アルベリックさんは手を回した。
するとポスンと音をたてて、私の視線が九十度展開する。
……あ、あれ?
そして肩を囲むようにして手をつき、天井だけだった視界は、アルベリックさんだけにすりかわる。
ふおわああああ!
壁ドンならぬ、床ドン。えええええ?
「ちょ、あの、アルベリックさん」
焦る私の頬を、アルベリックさんの固い手のひらが撫でた。そしてゆっくり動いて、首筋を……
ぎょわああ、胃の奥が、背中がぎゅうぎゅうぞくぞくするのは、なんでしょう!
「カズハ……」
「は、はいいぃ」
「サミュエルが、進言したらしい」
「……へ?」
ええと、この緊迫した状況で、なぜにサミュエルさん?
「それで、ひどく馬鹿馬鹿しくなった。陛下の頼みであれば仕方ないと思っていたが……」
「ふ、ふにゃああ」
さらに進んで指が、鎖骨を撫でてますよ、どどど、どうしちゃったんですかアルベリックさん!
「あいつは本当に、昔から好かない」
眉を寄せて、アルベリックさんは顔を背けました。それが駄々っ子のようにも見えて、私は思わずプッと吹き出してしまいました。だから、昼間のあの壁ドンだったんですね。
きっと私たちが戻らなかったら、喧嘩になっていたのでしょう。
アルベリックさんが私の頬を包む手に、自分の手を重ねます。
「詳しくは明日だが、やはりカズハの加護を利用したいのだろう」
「……サミュエルさんが? それとも」
陛下が?
でもバルトロメ陛下は約束してくださったはず。加護は政治に利用しないって。
アルベリックさんもそのことは承知しているのです。だからこそ分からないことだらけ。
「……そう、無防備な顔を見せないでくれ。全てがどうでもいいと、思えてくる」
「へ? どうでもって……」
いまだ私はアルベリックさんの両腕に囲われたまま。切ないように目を細め、私を見下ろしているのです。
この流れで意味を履き違えるほど、私も子供ではないのです。
再び赤くなる私の、乾ききってない髪を一房すくい、そこにアルベリックさんが唇を寄せます。ち、近くて吐息が耳に触れるじゃないですか。
それからその近い距離のまま、私に視線を寄越すのです。
男の人なのに、ど、どど、どれだけ色っぽいんですか、やめてぇ!
「このまま同室でいると、続きをしたくなる……だから、別の部屋へ移ることにした」
アルベリックさんの両腕に囲われていた床ドンから、ふいに解放されました。そして今度は幼子にするように、頭を優しく撫でられます。ホッとしたのもあってか、とても気持ちいいのです。
そして私の不安がもろバレだったことを教えられました。
「カズハでなければそんなことは思わない。不安になる必要はない」
うん。
何度もうなずく私を、アルベリックさんが何度も撫でてくれました。
嬉しくて泣きそうで、なんであんなに不安になったのか、自分でも分からないけれど。こんなに心が近くにあったのを知らされました。
「分かりました、私は大丈夫です。いつでもアルベリックさんに協力するよき妻をめざします、共に乗りきりましょう!」
「…………」
あれれ、なぜ言葉を失ってうなだれるのですか!
そこは理解ある妻に感動する場面ではないのですか、アルベリックさん!
「……前向き、だな」
「だって、遠くに行って会えなくなるわけじゃないでしょう?」
戦で離ればなれになったことを思えば、どんな状況だって乗り越えられます。アルベリックさんの心が、ここにありさえすれば。
「協力する気があるのなら、先程のような……泣きそうな顔を見せるな」
「え、あ、あれはだって……」
猛烈に色っぽい視線を受け……見ないように瞼を閉じます。
だって伸びる指が、私の頬を包んで持ち上げたから。
降りてくるかと思った体温が、手前で止ったのを感じて目を開ければ、優しいけれどどこか頼りない笑顔がそこにありました。
そしてなんですか、らしくないその大きなため息は。
せっかく照れ臭いのを我慢したのに!
それからアルベリックさんは、すぐ隣の一人部屋へと移って行きます。
その前に余分な注意事項が、気が遠くなるほどありましたけどね。鍵は必ずかけろだの、出かけるときは必ずアルベリックさんに声をかけろだの。それから湯あみへの道は間違えるなとかありましたっけ……まあ次から次へと出て来てですね。高校生の合宿所かってツッコミをしてあげたくなります。
でも……ふふ。
距離は離れたけれど、心はすぐ側に感じるのです。
そんなこんなで血の巡りがいつもの倍かってくらいドキドキしたせいか、酔いはすっかりさめました。一日色々とあったせいか、程よい疲労感に包まれています。
私は大きなあくびをしつつ、あたたかい布団に滑り込み、ふと思います。
「そういえば、話さなきゃいけないこと、言うのを忘れてました……」
相談にのって欲しいことや、結衣さんの変化。それから……なんだか慌ただしいな、最近。
ま、いいか。きっと明日は話せるでしょう。
そんな翌朝、二人で朝食を取ってから約束通り訪れた、お役所の見慣れた執務室。
おあずけ新婚生活の首謀者を知らされた私に向かって、サミュエルさんの放った一言は、まさに自業自得としか言いようがないと思うのですよね。
「ま、しばらくは清く正しくで、いいじゃないか。アルベリックが我慢できなくなったら、俺が良い店を紹介してやろ……いたっ」
すねを靴先でつついてやりました。
言うに事欠いて、お店を紹介とは聞き捨てならないです。だから女性にもてないんですよ。
でもまあ、私の蹴りよりも早かったアルベリックさんの手が、サミュエルさんの胸ぐらをしっかり掴んでいるので、失言は許してさしあげます。
「そろそろ我慢の限界だと思たんだが、よくやる」
締め上げられていても、めげるどころか楽しそうに毒舌を吐くサミュエルさんを、アルベリックさんはそのまま突き放しました。反動でサミュエルさんは壁に背中を打ちつけました、痛そうです。
「いいかげんにしろサミュエル」
「ふん、おまえは玉鋼を手中に収めることができたんだ、それで充分だろうが。俺には触れる機会すら与えられなかったのだからな、これぐらいのやっかみは甘んじろ」
どうやらまた新しい喧嘩の種を、投入されたようです。何のことかは分かりませんが、アルベリックさんも睨んで応戦です。挑発にのらないでくださいってば、サミュエルさんはアルベリックさんが反応するのが楽しくてしかたないんですから。
「……掠めとるつもりだったのか」
「できるものなら」
ああ、ああ。また喧嘩腰です。
私は早朝の役場で、しばらくお茶をすするはめになりました。
だから、いきなり寂しくなった部屋を、ただ茫然と見守るしかなくて……。
二つの寝台が置かれた二人部屋に、一人残されたのは私と、私の着替えや画材道具などが入った荷物だけ。静かになった部屋で、私はスプリングのないマットの縁に腰を下ろして、ほんの少し前の出来事を思い起こすのです。
──あれは夕暮れ時。
迎えに来たアルベリックさんとサミュエルさんに連れられて、私たちは街の北側にある宿に向かったのです。そこはサミュエルさんの職場でもある役所の近くです。
サミュエルさんが寝泊まりしているのも、その一角にある職員宿舎。そこの一室に、結衣さんは警護上の都合で泊まっていました。
「色々と話しは聞きたいところだが、時間が遅いから明日にする。また明朝、執務室に来てくれ。特にお前!」
「……へ?」
私をじっと見下ろすサミュエルさん。
なにかしましたっけ? そんな風に見返してみても、サミュエルさんは硬い表情のまま、何も言ってくれません。
「……まあいい、頼むから大人しくしていろよ。いいな?」
「失礼な言い方ですが、分かりました」
「くれぐれもだぞ?」
「……しつこいですね」
サミュエルさんはなにかと私をトラブルの元と考えているようですが、そんなはずはありません。
それからアルベリックさんへなにやらコソコソと耳打ちしたと思えば、肘で小突かれていますよ。おおかた余計なことを言ったに違いありません。そうして結衣さんとともに、宿舎へ戻っていきました。
私とアルベリックさんも、宿へと帰ります。
宿はどこの街でも似たようなものです。
ローウィン宿のほとんどで、オランド亭のように一階の食堂で自慢の料理を客に振舞ってくれます。ここの宿の売りは、美味しい川魚と干し茸の料理、そしてお酒なのだそうです。
地酒はそれぞれの土地で味わいが違っていて、不思議。しかも癖も強ければアルコール度数も強いので、私はほんの少しだけしか飲めません。でも、美味しいことは分かりますよ。これでも大人ですからね!
部屋へ戻る前に、食事を済ませてしまうことにした私たちのテーブル。当然のごとく出てくるわけです、自慢のお酒が。
ついつい呆けていると、お酒がすすんでいたようで。
「飲み過ぎるな」
お食事なかば、ジョッキをぐいっと傾げたら、アルベリックさんに奪われました。まだ少し残っているのに、それをお店の女将さんへ渡し、代わりに水を頼んでいるではありませんか。
「大丈夫ですよ、酔ってませんから」
「顔が赤い」
「そうですか? それよりアルベリックさん、美味しいですねこのお魚。なんて名前でしょうかね、サイコーです」
美味しい食事とお酒を堪能し、すっかり酔いが回ってい、私はとても上機嫌に見えたと思います。でも、空元気を保っていないと、どこか落ち着かなくて。嫌な胸のモヤモヤを思い出してしまうから。
いつものように黙って食事を取るアルベリックさんに、さほど注意していなかったのもありますが、本当になにもかもがいつも通りだったんです。だから食事の後、部屋でゆっくりと過ごすときにでも、今日あった出来事を話そう、そして相談しようと思っていたのです。
湯あみをしてくると告げて部屋を出るときも、ただ「いってきますね」なんて言うだけで。
ふわふわする足取りも軽やかに、汗を流してすっきりさっぱりしちゃってですね。
まさか戻ってきた部屋が、ガランとしているとは夢にも思わず。
「……アルベリックさん、どこいったの?」
一人ぽつんと膝を抱えて途方にくれています。
水がしたたる髪を乾かしながら戻った部屋が、もぬけの殻だなんて予想外。
アルベリックさんの荷物が一つもありません。何も言わず、どこへ行ったというのですか?
急に不安が襲ってきます。
そういえばまだ、きちんと今日のことを謝っていませんでした。遅くなって心配かけてごめんなさいって。それから、昼間に言い損ねたままのことも。ルネルさんからお父さんの肖像画を頼まれた件だって……
そうだ。もしかしたら、何か急な用事で呼び出されたのかもしれません。今朝も警備隊宿舎に緊急のお手紙だって呼ばれていたし。
……だからといって、置手紙もない状態でアルベリックさんが消えるだなんて。
ふいに脳裏によぎったのは、結衣さんに手を握られ、見つめるアルベリックさんの姿。
「っうう、違う、ちがうってば……」
私らしくなく悶々としているから良くない想像にかられるのです、考えるより動け! です。
いないなら捜しに行けばいいのです。立ち上がって扉に手をかけると、急に開いた戸に、私は顔から激突しました。
「ふがっ!」
「……すまない、大丈夫か?」
「あ、あるべりっくひゃん」
ぶつかった拍子に座り込む私を、引き上げるようにして立たせてくれたアルベリックさん。
どこに行ってたんですか!
そんな風に問い詰めようとしたのですが、じんわり目が滲むのは、痛みのせいなのか心細かったせいなのか、自分でもよく分かりません。
「カズハ?」
「どうして、いなくなったんですか?」
「ここにいる」
「嘘です、だって荷物が」
アルベリックさんは部屋の扉を閉めて、私を寝台の隅に座らせました。
「私が遅くなったから? 勝手ばっかりするから? だから呆れて出てったの?」
「まて、落ち着けカズハ」
「私は落ち着いてます、だけど戻ったらアルベリックさんが荷物ごとどこにもいないし、き、嫌われたんじゃないかと思って」
アルベリックさんは一つため息をこぼし、私の前髪をかきわけてぶつけた額を見ます。たんこぶ出来る程じゃありませんから、大丈夫ですよ。
「ひどく……酔っているな。額が、というより顔が赤い。それに、風邪をひく」
そう言うと、落ちたままになっていた布を手に、ごしごしと濡れた髪を、アルベリックさんが拭いてきて。
そんな子供扱いなアルベリックさんの手を、私は払いのけます。
「酔ってません。子供じゃないんで大丈夫です、そんなことより、質問にちゃんと答えてくださーい」
「……もう一つ部屋をとった。私はそちらへ移るが、カズハはここで今まで通りに」
「へ……? 違う部屋?」
「ああ」
「なんでですか? やっぱり私のこと嫌いになって……まさか、他の女の人を連れ込むつもりですか!」
「……カズハ、落ち着け、なぜそういう話になるんだ」
「だって、でも、じゃあどうして別の部屋なんですか! うう、怒鳴ったらなんだかグラグラしてきました」
「だから酔ってると言っている」
「酔ってません! あー、それとも結衣さんにやっぱり……」
「いいから、少し黙れ」
ほろ酔いでお風呂に入ったのが、酔いを深める原因だったかもしれません。
アルベリックさんに肩を引き寄せられ、抱きしめられました。ビックリした拍子で見上げると……ゆっくり近づくアルベリックさんの顔。
触れた唇が冷たく感じたのは、私が茹で蛸だったからに違いない。
思ってもみなかった状況に、どう取り繕っていいのか分からず唖然としていると。アルベリックさんは私を見つめたままそっと解放しました。
酔いで高くなっていた心拍数に、違う動悸が加わり、まるで全力疾走状態。ふーふー唸ってる姿は、かなり危ない人状態だと思うのですが、アルベリックさんの熱のこもった視線はどう考えても、そんな私に呆れた風ではなくて……いいんですか、ちょっと趣味おかしいですよ。
酔って熱っぽい私よりも、違う意味で猛烈に熱を感じるアルベリックさん。もはや正視できないんですが、どうしましょう。
そんな挙動不審になっている私の背に、アルベリックさんは手を回した。
するとポスンと音をたてて、私の視線が九十度展開する。
……あ、あれ?
そして肩を囲むようにして手をつき、天井だけだった視界は、アルベリックさんだけにすりかわる。
ふおわああああ!
壁ドンならぬ、床ドン。えええええ?
「ちょ、あの、アルベリックさん」
焦る私の頬を、アルベリックさんの固い手のひらが撫でた。そしてゆっくり動いて、首筋を……
ぎょわああ、胃の奥が、背中がぎゅうぎゅうぞくぞくするのは、なんでしょう!
「カズハ……」
「は、はいいぃ」
「サミュエルが、進言したらしい」
「……へ?」
ええと、この緊迫した状況で、なぜにサミュエルさん?
「それで、ひどく馬鹿馬鹿しくなった。陛下の頼みであれば仕方ないと思っていたが……」
「ふ、ふにゃああ」
さらに進んで指が、鎖骨を撫でてますよ、どどど、どうしちゃったんですかアルベリックさん!
「あいつは本当に、昔から好かない」
眉を寄せて、アルベリックさんは顔を背けました。それが駄々っ子のようにも見えて、私は思わずプッと吹き出してしまいました。だから、昼間のあの壁ドンだったんですね。
きっと私たちが戻らなかったら、喧嘩になっていたのでしょう。
アルベリックさんが私の頬を包む手に、自分の手を重ねます。
「詳しくは明日だが、やはりカズハの加護を利用したいのだろう」
「……サミュエルさんが? それとも」
陛下が?
でもバルトロメ陛下は約束してくださったはず。加護は政治に利用しないって。
アルベリックさんもそのことは承知しているのです。だからこそ分からないことだらけ。
「……そう、無防備な顔を見せないでくれ。全てがどうでもいいと、思えてくる」
「へ? どうでもって……」
いまだ私はアルベリックさんの両腕に囲われたまま。切ないように目を細め、私を見下ろしているのです。
この流れで意味を履き違えるほど、私も子供ではないのです。
再び赤くなる私の、乾ききってない髪を一房すくい、そこにアルベリックさんが唇を寄せます。ち、近くて吐息が耳に触れるじゃないですか。
それからその近い距離のまま、私に視線を寄越すのです。
男の人なのに、ど、どど、どれだけ色っぽいんですか、やめてぇ!
「このまま同室でいると、続きをしたくなる……だから、別の部屋へ移ることにした」
アルベリックさんの両腕に囲われていた床ドンから、ふいに解放されました。そして今度は幼子にするように、頭を優しく撫でられます。ホッとしたのもあってか、とても気持ちいいのです。
そして私の不安がもろバレだったことを教えられました。
「カズハでなければそんなことは思わない。不安になる必要はない」
うん。
何度もうなずく私を、アルベリックさんが何度も撫でてくれました。
嬉しくて泣きそうで、なんであんなに不安になったのか、自分でも分からないけれど。こんなに心が近くにあったのを知らされました。
「分かりました、私は大丈夫です。いつでもアルベリックさんに協力するよき妻をめざします、共に乗りきりましょう!」
「…………」
あれれ、なぜ言葉を失ってうなだれるのですか!
そこは理解ある妻に感動する場面ではないのですか、アルベリックさん!
「……前向き、だな」
「だって、遠くに行って会えなくなるわけじゃないでしょう?」
戦で離ればなれになったことを思えば、どんな状況だって乗り越えられます。アルベリックさんの心が、ここにありさえすれば。
「協力する気があるのなら、先程のような……泣きそうな顔を見せるな」
「え、あ、あれはだって……」
猛烈に色っぽい視線を受け……見ないように瞼を閉じます。
だって伸びる指が、私の頬を包んで持ち上げたから。
降りてくるかと思った体温が、手前で止ったのを感じて目を開ければ、優しいけれどどこか頼りない笑顔がそこにありました。
そしてなんですか、らしくないその大きなため息は。
せっかく照れ臭いのを我慢したのに!
それからアルベリックさんは、すぐ隣の一人部屋へと移って行きます。
その前に余分な注意事項が、気が遠くなるほどありましたけどね。鍵は必ずかけろだの、出かけるときは必ずアルベリックさんに声をかけろだの。それから湯あみへの道は間違えるなとかありましたっけ……まあ次から次へと出て来てですね。高校生の合宿所かってツッコミをしてあげたくなります。
でも……ふふ。
距離は離れたけれど、心はすぐ側に感じるのです。
そんなこんなで血の巡りがいつもの倍かってくらいドキドキしたせいか、酔いはすっかりさめました。一日色々とあったせいか、程よい疲労感に包まれています。
私は大きなあくびをしつつ、あたたかい布団に滑り込み、ふと思います。
「そういえば、話さなきゃいけないこと、言うのを忘れてました……」
相談にのって欲しいことや、結衣さんの変化。それから……なんだか慌ただしいな、最近。
ま、いいか。きっと明日は話せるでしょう。
そんな翌朝、二人で朝食を取ってから約束通り訪れた、お役所の見慣れた執務室。
おあずけ新婚生活の首謀者を知らされた私に向かって、サミュエルさんの放った一言は、まさに自業自得としか言いようがないと思うのですよね。
「ま、しばらくは清く正しくで、いいじゃないか。アルベリックが我慢できなくなったら、俺が良い店を紹介してやろ……いたっ」
すねを靴先でつついてやりました。
言うに事欠いて、お店を紹介とは聞き捨てならないです。だから女性にもてないんですよ。
でもまあ、私の蹴りよりも早かったアルベリックさんの手が、サミュエルさんの胸ぐらをしっかり掴んでいるので、失言は許してさしあげます。
「そろそろ我慢の限界だと思たんだが、よくやる」
締め上げられていても、めげるどころか楽しそうに毒舌を吐くサミュエルさんを、アルベリックさんはそのまま突き放しました。反動でサミュエルさんは壁に背中を打ちつけました、痛そうです。
「いいかげんにしろサミュエル」
「ふん、おまえは玉鋼を手中に収めることができたんだ、それで充分だろうが。俺には触れる機会すら与えられなかったのだからな、これぐらいのやっかみは甘んじろ」
どうやらまた新しい喧嘩の種を、投入されたようです。何のことかは分かりませんが、アルベリックさんも睨んで応戦です。挑発にのらないでくださいってば、サミュエルさんはアルベリックさんが反応するのが楽しくてしかたないんですから。
「……掠めとるつもりだったのか」
「できるものなら」
ああ、ああ。また喧嘩腰です。
私は早朝の役場で、しばらくお茶をすするはめになりました。
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兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
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