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56 計画的に
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「あのぅ、もしかして本当に示し合わせてたんですか?」
4人を見送ってから、あたしはパン屋さんに尋ねてみた。
すると、パン屋さんはニヤリと笑う。
「そうさ。ここら辺は人通りが少ないだろ? だから、何か客を惹きつけるものが必要だって話をしてな。冒険者や旅商人を狙った品物を揃えるようにしたんだ」
「だけど、冒険者って、荒くれ者が来たりしませんか?」
考え方は正しいと思うけど、冒険者を狙うのは危険なのじゃないのかな?
「それは大丈夫。この辺りの屋台の半分は元ランク5の冒険者だから、大抵の奴なら対処できる。暴れるような奴は大抵ランク7か6止まりの奴ばかりだしな」
「そう言うものなんですか?」
「そうさ。ランク4だと騒ぎを起こすような奴は稀だし、ランク5でも冒険者の稼ぎで貯金もできるから、殆どの奴は騒ぎを起こすなんて損なことはしないものさ」
「ランク7や6だと、騒ぎを起こしても損じゃないみたいに聞こえますけど……」
「損には違いないが、高が知れてると考える奴も居るんだ。生活が苦しいことに変わりが無いからな」
「そんなに?」
「ああ、かなり苦しい。収入がそんなに多くない割に武器や防具が消耗するんで、費用が馬鹿にできないんだ」
「大変なんですね」
あたしが生活に困っていたのは、この世界に来てからトカゲを倒す前までだ。その間、他の冒険者と行動を共にするような依頼を受けたことも無かった。だから、普通の冒険者の生活なんて全く知らない。あたし自身はチートで大抵のことができたこともあって、生活面の苦労もよく判らない。
あ……、純三さんが言ってたっけ。
あたしは女神に守られている?
いや、でも、あのムカつく女神が? 気のせいだと思うけどなぁ。
「だけど、あんた、お手柄だぞ」
「ええ!? 何で、そうなるんですか?」
「さっきの4人はランク4の有名人だ。元々ミクーナは常連だったが、他の3人はそうでもなかった。しかし、さっきの様子じゃ、常連になってくれそうだ。そうすると、売り上げの伸びを期待できる」
「3人だけでそんなに伸びるものなんですか?」
「3人だけじゃ伸びないさ。でもな、有名人が贔屓にしている店で買おうって奴も多い」
「あー、はい。そう言うことって有りますよね」
日本でアイドルの追っ掛けをしている人達だと、アイドルが持っているのと同じ品物を買ったりするものね。
「まあ、あんたがあの4人と知り合いだったのには驚いたけどな」
「以前、依頼を受けて貰ったことが有りまして」
「それはどんな依頼なんだ?」
「古い家の撤去をお願いしたんですけど、家を宙に浮かせたりして凄かったです」
あの時の様子を説明した。
「魔法も凄かったんですが、あの人達の手際の良さが感動的でした」
「それは俺も見てみたかったな」
パン屋さんは少し羨ましそうに言った。
その後は特に何もなく、商品が売れることもなく午後5時を迎えた。この分じゃ、もっと早く店を閉めても大丈夫そう。
いっそ昼夜逆転の生活にした方がいいのかも? あ、でも、夜中に作業をしたら近所迷惑になるよね。昼夜逆転は他に手が無くなってから考えよう。
ともあれ、今日は待ち合わせが有るので、手早く後片付けをして帰宅する。
家に帰って、今日の売れ残りをフリーズドライにしたら、待ち合わせに丁度良い頃合いだった。
乾燥薩摩揚げと乾燥チーカマは、製造日毎に袋に入れて個数を控えている。袋が高価だから、種類毎にまでは分けてない。今回は量り売りみたいな売り方になっちゃうかな?
今日作った分も含めて袋を8つ持って食堂に行ったら、フォリントスさんは他の3人と一緒にもう待っていた。
「お待たせしました」
「いや、まだ待ち合わせの時間前だ」
「これが品物です。一応、全部持ってきています」
あたしが袋を掲げてみせると、4人は目を丸くした。
「実際に見ると、やっぱり多いわね」
「はい。合計で4252個です」
「それ、全部売れ残りだって話だったけど、一体どうして?」
「営業時間が悪かったようです。一昨日から9時前には店を開くようにしたら、少しずつ売れるようになってきました」
「そう」
ここでミクーナさんは何かに気付いたような表情になった。
「だけど待って。もし生のものが売り切れたら、乾燥させたものはどうなるの?」
「材料が無くなるので作らなくなります」
「そうなのね……」
ミクーナさんが何やら考え始めた。ただならぬ緊張感さえ漂っている。
ごくり。
誰かの生唾を飲み込む音が聞こえた。あっ! あたしだ。
「乾燥させたものの在庫が無くなっていたとして、頼んだら作って貰えるのかしら?」
「えーと、仕入の都合が有りますから、2日前までに言って頂ければ500個くらいまでなら大丈夫です」
「そう。それなら、足りなくなったらそれでお願いするわ。取りあえずそこに有るのは全部買わせて貰うわね。フォリントス、それでいい?」
「いいよ」
「レクバ、ドラムゴ、明日からまた迷宮に行くわよ」
「はあ?」
「どうしてそうなる?」
レクバさんとドラムゴさんはぽかんとした。
「懐が寂しくなるからに決まってるじゃない」
「そりゃ、それだけ買い込めば寂しくもなるだろう」
「それだけじゃないけどね」
「フォリントスも行く気満々なのか!?」
「勿論だ」
「判ったよ。だが、お前達の希望で行くんだから魔法をケチるんじゃないぞ?」
「勿論そのつもりよ?」
「当前じゃないか」
「お前達、やっぱ少し変だぞ?」
「失礼な。至って正常よ」
レクバさんとドラムゴさんは顔を見合わせて、首を横に振った。
だけど放っておいたら、話が終わりそうにない。
「あのぅ、お話は纏まったでしょうか?」
「あ、ごめんなさい。それで、幾つ有るんだったかしら?」
「合計で4252個ですが、全部買って頂けるのでしたら、数の確認も大変ですし、全部で40万ゴールドでいかがでしょう?」
「代理人さんはそれでいいの?」
「はい。在庫は無い方がいいので」
「それなら、お言葉に甘えるわ」
袋の中を確認して貰って、袋ごと渡して代金を受け取ったら、あたしは直ぐに家に帰る。明日の仕込みをしなきゃいけないから、のんびりしている訳にもいかないのだ。
それにしても、ミクーナさんの大人買いは不思議。理由が判らない。
あっ! さっき聞けば良かったんだ……。
今更気付いても遅いよね。また戻って尋ねるのも変だし、気にしないことにしよう。
そんなことより。
「さあ、明日の仕込みをしましょう」
あれ?
独り言で気合いを入れてから気付いた。明日は日曜日。今から作っても売るのは月曜日じゃないか。それはいただけない。
逆に、月曜日に売ることから考えると、仕入をするべきは日曜日。だけど市場が休みだから、当然ながら仕入れできない。月曜日に売ろうと思ったら、土曜日に仕入れた食材で作ったものになる。前日の食材でも不安を感じるのに、2日前はちょっとね……。
暫く考えた。
やっぱり不安な食材で作るのは避けたい。朝から仕入れたもので作ったら、また売れない時間だけの営業になってしまう。お店を早く開くために作る数を少なくするもの駄目だ。品切れの時に言い訳のしようが無い。
中途半端なことをするよりも、明後日の月曜日は素直に休んでしまおう。来週からは定休日を水曜日から月曜日に換える。
そして、今日仕入れた食材については一気に乾燥薩摩揚げと乾燥チーカマにしてしまった。
4人を見送ってから、あたしはパン屋さんに尋ねてみた。
すると、パン屋さんはニヤリと笑う。
「そうさ。ここら辺は人通りが少ないだろ? だから、何か客を惹きつけるものが必要だって話をしてな。冒険者や旅商人を狙った品物を揃えるようにしたんだ」
「だけど、冒険者って、荒くれ者が来たりしませんか?」
考え方は正しいと思うけど、冒険者を狙うのは危険なのじゃないのかな?
「それは大丈夫。この辺りの屋台の半分は元ランク5の冒険者だから、大抵の奴なら対処できる。暴れるような奴は大抵ランク7か6止まりの奴ばかりだしな」
「そう言うものなんですか?」
「そうさ。ランク4だと騒ぎを起こすような奴は稀だし、ランク5でも冒険者の稼ぎで貯金もできるから、殆どの奴は騒ぎを起こすなんて損なことはしないものさ」
「ランク7や6だと、騒ぎを起こしても損じゃないみたいに聞こえますけど……」
「損には違いないが、高が知れてると考える奴も居るんだ。生活が苦しいことに変わりが無いからな」
「そんなに?」
「ああ、かなり苦しい。収入がそんなに多くない割に武器や防具が消耗するんで、費用が馬鹿にできないんだ」
「大変なんですね」
あたしが生活に困っていたのは、この世界に来てからトカゲを倒す前までだ。その間、他の冒険者と行動を共にするような依頼を受けたことも無かった。だから、普通の冒険者の生活なんて全く知らない。あたし自身はチートで大抵のことができたこともあって、生活面の苦労もよく判らない。
あ……、純三さんが言ってたっけ。
あたしは女神に守られている?
いや、でも、あのムカつく女神が? 気のせいだと思うけどなぁ。
「だけど、あんた、お手柄だぞ」
「ええ!? 何で、そうなるんですか?」
「さっきの4人はランク4の有名人だ。元々ミクーナは常連だったが、他の3人はそうでもなかった。しかし、さっきの様子じゃ、常連になってくれそうだ。そうすると、売り上げの伸びを期待できる」
「3人だけでそんなに伸びるものなんですか?」
「3人だけじゃ伸びないさ。でもな、有名人が贔屓にしている店で買おうって奴も多い」
「あー、はい。そう言うことって有りますよね」
日本でアイドルの追っ掛けをしている人達だと、アイドルが持っているのと同じ品物を買ったりするものね。
「まあ、あんたがあの4人と知り合いだったのには驚いたけどな」
「以前、依頼を受けて貰ったことが有りまして」
「それはどんな依頼なんだ?」
「古い家の撤去をお願いしたんですけど、家を宙に浮かせたりして凄かったです」
あの時の様子を説明した。
「魔法も凄かったんですが、あの人達の手際の良さが感動的でした」
「それは俺も見てみたかったな」
パン屋さんは少し羨ましそうに言った。
その後は特に何もなく、商品が売れることもなく午後5時を迎えた。この分じゃ、もっと早く店を閉めても大丈夫そう。
いっそ昼夜逆転の生活にした方がいいのかも? あ、でも、夜中に作業をしたら近所迷惑になるよね。昼夜逆転は他に手が無くなってから考えよう。
ともあれ、今日は待ち合わせが有るので、手早く後片付けをして帰宅する。
家に帰って、今日の売れ残りをフリーズドライにしたら、待ち合わせに丁度良い頃合いだった。
乾燥薩摩揚げと乾燥チーカマは、製造日毎に袋に入れて個数を控えている。袋が高価だから、種類毎にまでは分けてない。今回は量り売りみたいな売り方になっちゃうかな?
今日作った分も含めて袋を8つ持って食堂に行ったら、フォリントスさんは他の3人と一緒にもう待っていた。
「お待たせしました」
「いや、まだ待ち合わせの時間前だ」
「これが品物です。一応、全部持ってきています」
あたしが袋を掲げてみせると、4人は目を丸くした。
「実際に見ると、やっぱり多いわね」
「はい。合計で4252個です」
「それ、全部売れ残りだって話だったけど、一体どうして?」
「営業時間が悪かったようです。一昨日から9時前には店を開くようにしたら、少しずつ売れるようになってきました」
「そう」
ここでミクーナさんは何かに気付いたような表情になった。
「だけど待って。もし生のものが売り切れたら、乾燥させたものはどうなるの?」
「材料が無くなるので作らなくなります」
「そうなのね……」
ミクーナさんが何やら考え始めた。ただならぬ緊張感さえ漂っている。
ごくり。
誰かの生唾を飲み込む音が聞こえた。あっ! あたしだ。
「乾燥させたものの在庫が無くなっていたとして、頼んだら作って貰えるのかしら?」
「えーと、仕入の都合が有りますから、2日前までに言って頂ければ500個くらいまでなら大丈夫です」
「そう。それなら、足りなくなったらそれでお願いするわ。取りあえずそこに有るのは全部買わせて貰うわね。フォリントス、それでいい?」
「いいよ」
「レクバ、ドラムゴ、明日からまた迷宮に行くわよ」
「はあ?」
「どうしてそうなる?」
レクバさんとドラムゴさんはぽかんとした。
「懐が寂しくなるからに決まってるじゃない」
「そりゃ、それだけ買い込めば寂しくもなるだろう」
「それだけじゃないけどね」
「フォリントスも行く気満々なのか!?」
「勿論だ」
「判ったよ。だが、お前達の希望で行くんだから魔法をケチるんじゃないぞ?」
「勿論そのつもりよ?」
「当前じゃないか」
「お前達、やっぱ少し変だぞ?」
「失礼な。至って正常よ」
レクバさんとドラムゴさんは顔を見合わせて、首を横に振った。
だけど放っておいたら、話が終わりそうにない。
「あのぅ、お話は纏まったでしょうか?」
「あ、ごめんなさい。それで、幾つ有るんだったかしら?」
「合計で4252個ですが、全部買って頂けるのでしたら、数の確認も大変ですし、全部で40万ゴールドでいかがでしょう?」
「代理人さんはそれでいいの?」
「はい。在庫は無い方がいいので」
「それなら、お言葉に甘えるわ」
袋の中を確認して貰って、袋ごと渡して代金を受け取ったら、あたしは直ぐに家に帰る。明日の仕込みをしなきゃいけないから、のんびりしている訳にもいかないのだ。
それにしても、ミクーナさんの大人買いは不思議。理由が判らない。
あっ! さっき聞けば良かったんだ……。
今更気付いても遅いよね。また戻って尋ねるのも変だし、気にしないことにしよう。
そんなことより。
「さあ、明日の仕込みをしましょう」
あれ?
独り言で気合いを入れてから気付いた。明日は日曜日。今から作っても売るのは月曜日じゃないか。それはいただけない。
逆に、月曜日に売ることから考えると、仕入をするべきは日曜日。だけど市場が休みだから、当然ながら仕入れできない。月曜日に売ろうと思ったら、土曜日に仕入れた食材で作ったものになる。前日の食材でも不安を感じるのに、2日前はちょっとね……。
暫く考えた。
やっぱり不安な食材で作るのは避けたい。朝から仕入れたもので作ったら、また売れない時間だけの営業になってしまう。お店を早く開くために作る数を少なくするもの駄目だ。品切れの時に言い訳のしようが無い。
中途半端なことをするよりも、明後日の月曜日は素直に休んでしまおう。来週からは定休日を水曜日から月曜日に換える。
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