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06 恐ろしい
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代わり映えのしない日々にも多少の変化はある。火曜日の今日はそんな日だ。
今朝はあたしがギルドに登録した時の受付嬢と強面のおじ様の二人ともがギルドを空けていた。冒険者ギルドに定休日は無いのだけど、受付嬢は土曜日に、おじ様は日曜日に居なかったので、それぞれその日が非番なのだと思う。だから今までは、その土日も含めて必ずどちらかがギルドに居た。その二人が揃って居ないんだから、変化には違いないよね。
まあ、大した話じゃないんだけど。
そう言えば、受付嬢の名前も強面のおじ様の名前もあたしはまだ知らないんだ。ついでにおかみさんの名前も知らない。一度は聞いていたかも知れないけど、「おかみさん」で通じるからか、全く記憶に無い。
うん、名前なんて知らなくてもどうにかなるもんだね!
はあ……、今度聞いておこうか……。
「でも今は薬草採取」
冬は目前なのにお金が足りないから、あたしの足は日に日に重くなっている。だけど本格的に寒くなる前にお金を貯めなければお話にならない。こんな季節じゃ、薬草も新しく生えてこないから近場は採り尽くされていて、採取できる場所がどんどん町から遠くなる。今日は町が地平線の向こうに隠れてしまうような場所まで来てしまった。尤も、町は地平線より前に森に隠れて見えないんだけど。
それと言うのも町の北西に森が在って、南東には畑が在るから、必然的に森に沿うように北東か南西に歩くことが多い訳。
それはともかく、こんなに遠くまで来ないといけないんじゃ、そろそろ薬草採取も止め時だろうな。遠い分だけ移動時間が長くなるのがとにかく痛いんだ。
色々考えることは有るけれど、薬草採取はする。
やっていればどうにかなるもので、今日はどうにか1単位分が集まりそうになった。一安心だ。
ゴアッ!
ズンと身体まで揺さぶられるように空気が震えた。
「何、今の!? 何かの鳴き声?」
ズズンズズンズズンズズン。
今度は地響きのような音……。どんどん近付いて来てる!? どこから?
とにかく立ち上がって……。周りを見て……。
「ヒッ!」
背筋がぞぞっと冷たくなった。
トカゲだ。でっかいトカゲが居る。森の木の上にひょっこり頭を覗かせている。ここから100メートルも離れてない。そして、何故かこっちを見ている。
なんかこう、生理的に嫌だ。台所に出没するGよりはマシだけど、とにかく大きいから総合的にはこのトカゲの方が遙かに嫌だ。
でもどうして、嫌なものほどこうして目で追ってしまうのだろう? トカゲから目が離せないんだ。
そのせいかどうかは知らないけど、トカゲがこっちに向かって来る。逃げなきゃ!
だけど、だけど、足が思うように動かない。勝手にプルプル震えてるんだよ!
「えぐっ、えぐっ、えぐっ」
泣きつもりなんて無いよ! だけど変な声が口から出ちゃうんだよ!
そうだよ、涙もだよ! 鼻水も! 垂れ流しちゃいけないものまで!
トカゲが止まった。あたしから20メートル位の所だ。あたしの方を向いて口を震わせる。
火を噴いた!
全然反応できなかった。火、火があたしを!
「きゃああああ! ああ……? 熱くない?」
あれ? そんなに熱くない。服……、も無事だ! でも何で?
あ、拘束魔法か!
え、じゃあ、採ったばかりの薬草は? 拘束魔法を掛けてなかったんだけど……。
無いよ。消し炭も残ってないよ!
「ふざけんな、コノヤロウ! 驚いたじゃないか!」
折角集めたのにどうしてくれるんだ!? ああ!? この糞トカゲ!
ああ、もう、キレたね。キレッキレだよ。さっきまで怖がってた? 知らないよそんなこと。どうだっていいよ。とにかくこのトカゲをしばかなきゃ気が治まらないんだよ!
ガン飛ばしてやんよ、こら! 何、逃げ腰になってるんだよ、この糞トカゲ!
あ! 逃げた!
「逃がすか!」
拘束魔法で縛り上げてくれる。そうだよ、そこに行くまで這い蹲ってろよ。ほんのちょこっとで100メートルも逃げるなんて、何て足が速いんだ。歩いて行くのが大変じゃないか。
また火を噴かれたら嫌だから、口は念入りに縛っておかなきゃだね。藻掻いたって無駄だよ。逃がさないよ。
さあて、どうしてくれようか。散々人を脅かしてくれたし、薬草は台無しにしてくれたんだから、その分の報いは受けて貰わなけりゃならないよね。
とにかく一発殴らせろ。
っとその前に、拘束魔法を掛けたままじゃあたしの手が痛いだけになりそうだから、トカゲの頭の一部分だけ解いて、と。拘束魔法って目には見えないんだけど、あたしが掛けたものならどこに掛かってるかあたしには判るし、部分的な付け外しもできるんだ。
さあ、覚悟しろ。腕捲りだ。
何を怯えたようにしてるんだ? 先に脅かされたあたしは色々垂れ流しちゃって、とっても残念なことになってるんだよ? そんな風にしたって、殴らなきゃこの怒りは治まらないんだよ。容赦なんてしないよ。
「覚悟しろ」
ぐしゃっ。
ノーッ! 潰れた。殴りつけたら、トカゲの頭が潰れちゃったよ! 手に何かがべっとり付いちゃったよ!
ゲロゲロゲロゲロ。
うん、もう、血以外はみんな出ちゃった感じだ。
「こ、怖かった……」
心臓がバクバクだ。怒りが鎮まったらまた怖くなって来た。チートを持っていても、気持ちまではそうなってないんだ。
深呼吸、深呼吸。
少し治まったかな。そうしたらそうしたで、今の自分の惨状に愕然としてしまう。
「洗わないと……」
このままじゃ町に帰れない。
「えぐっ、えぐっ、えぐっ……」
また何か変な声も涙も出るけど、我慢して地面を叩いて盥くらい大きさの凹みを作る。その凹みに飲み水魔法で水を溜めて……。
飲み水と言うだけあって、魔法1回で出てくる水の量はほんとに少ない。水がなかなか溜まってくれない。地面にも染み込んでるみたいで余計に。
泣きたくなって来た。でも泣かない。泣かないぞぉ。
延々と魔法を唱え続けて1時間くらいかな? 漸く穴に水が溜まってくれた。
ブラジャーを残して服を脱いで、まずは被害の少ないセーターから洗う。終わったらパンツと綿パンを水に浸ける。浸けてる間に飲み水魔法を使って下半身を洗って……。
こんなの、傍から見ると痴女にしか見えないよ……。
水がチョロチョロとしか出せないものだから、身体を洗うだけで30分。大誤算だ。なんだかもう、日も傾いて来てる。
パンツと綿パンを洗って絞って、また別の穴を作って1時間掛けて水を溜めて、パンツと綿パンの溜め濯ぎ。それからトカゲの鱗の上に広げて魔法で水を出してひたすら掛けて濯ぐ。気持ち悪いと思ったトカゲだったけど、近付いたら鱗に光沢が有って不潔感が無く、平気だった。
最後に勢いよく振り回して脱水だ。普通なら振り回したって脱水できないのだけど、チートな腕力が有るから大丈夫なのさ。
普通に絞ったら破ってしまいそうだから、そうしたんだけどね。
今朝はあたしがギルドに登録した時の受付嬢と強面のおじ様の二人ともがギルドを空けていた。冒険者ギルドに定休日は無いのだけど、受付嬢は土曜日に、おじ様は日曜日に居なかったので、それぞれその日が非番なのだと思う。だから今までは、その土日も含めて必ずどちらかがギルドに居た。その二人が揃って居ないんだから、変化には違いないよね。
まあ、大した話じゃないんだけど。
そう言えば、受付嬢の名前も強面のおじ様の名前もあたしはまだ知らないんだ。ついでにおかみさんの名前も知らない。一度は聞いていたかも知れないけど、「おかみさん」で通じるからか、全く記憶に無い。
うん、名前なんて知らなくてもどうにかなるもんだね!
はあ……、今度聞いておこうか……。
「でも今は薬草採取」
冬は目前なのにお金が足りないから、あたしの足は日に日に重くなっている。だけど本格的に寒くなる前にお金を貯めなければお話にならない。こんな季節じゃ、薬草も新しく生えてこないから近場は採り尽くされていて、採取できる場所がどんどん町から遠くなる。今日は町が地平線の向こうに隠れてしまうような場所まで来てしまった。尤も、町は地平線より前に森に隠れて見えないんだけど。
それと言うのも町の北西に森が在って、南東には畑が在るから、必然的に森に沿うように北東か南西に歩くことが多い訳。
それはともかく、こんなに遠くまで来ないといけないんじゃ、そろそろ薬草採取も止め時だろうな。遠い分だけ移動時間が長くなるのがとにかく痛いんだ。
色々考えることは有るけれど、薬草採取はする。
やっていればどうにかなるもので、今日はどうにか1単位分が集まりそうになった。一安心だ。
ゴアッ!
ズンと身体まで揺さぶられるように空気が震えた。
「何、今の!? 何かの鳴き声?」
ズズンズズンズズンズズン。
今度は地響きのような音……。どんどん近付いて来てる!? どこから?
とにかく立ち上がって……。周りを見て……。
「ヒッ!」
背筋がぞぞっと冷たくなった。
トカゲだ。でっかいトカゲが居る。森の木の上にひょっこり頭を覗かせている。ここから100メートルも離れてない。そして、何故かこっちを見ている。
なんかこう、生理的に嫌だ。台所に出没するGよりはマシだけど、とにかく大きいから総合的にはこのトカゲの方が遙かに嫌だ。
でもどうして、嫌なものほどこうして目で追ってしまうのだろう? トカゲから目が離せないんだ。
そのせいかどうかは知らないけど、トカゲがこっちに向かって来る。逃げなきゃ!
だけど、だけど、足が思うように動かない。勝手にプルプル震えてるんだよ!
「えぐっ、えぐっ、えぐっ」
泣きつもりなんて無いよ! だけど変な声が口から出ちゃうんだよ!
そうだよ、涙もだよ! 鼻水も! 垂れ流しちゃいけないものまで!
トカゲが止まった。あたしから20メートル位の所だ。あたしの方を向いて口を震わせる。
火を噴いた!
全然反応できなかった。火、火があたしを!
「きゃああああ! ああ……? 熱くない?」
あれ? そんなに熱くない。服……、も無事だ! でも何で?
あ、拘束魔法か!
え、じゃあ、採ったばかりの薬草は? 拘束魔法を掛けてなかったんだけど……。
無いよ。消し炭も残ってないよ!
「ふざけんな、コノヤロウ! 驚いたじゃないか!」
折角集めたのにどうしてくれるんだ!? ああ!? この糞トカゲ!
ああ、もう、キレたね。キレッキレだよ。さっきまで怖がってた? 知らないよそんなこと。どうだっていいよ。とにかくこのトカゲをしばかなきゃ気が治まらないんだよ!
ガン飛ばしてやんよ、こら! 何、逃げ腰になってるんだよ、この糞トカゲ!
あ! 逃げた!
「逃がすか!」
拘束魔法で縛り上げてくれる。そうだよ、そこに行くまで這い蹲ってろよ。ほんのちょこっとで100メートルも逃げるなんて、何て足が速いんだ。歩いて行くのが大変じゃないか。
また火を噴かれたら嫌だから、口は念入りに縛っておかなきゃだね。藻掻いたって無駄だよ。逃がさないよ。
さあて、どうしてくれようか。散々人を脅かしてくれたし、薬草は台無しにしてくれたんだから、その分の報いは受けて貰わなけりゃならないよね。
とにかく一発殴らせろ。
っとその前に、拘束魔法を掛けたままじゃあたしの手が痛いだけになりそうだから、トカゲの頭の一部分だけ解いて、と。拘束魔法って目には見えないんだけど、あたしが掛けたものならどこに掛かってるかあたしには判るし、部分的な付け外しもできるんだ。
さあ、覚悟しろ。腕捲りだ。
何を怯えたようにしてるんだ? 先に脅かされたあたしは色々垂れ流しちゃって、とっても残念なことになってるんだよ? そんな風にしたって、殴らなきゃこの怒りは治まらないんだよ。容赦なんてしないよ。
「覚悟しろ」
ぐしゃっ。
ノーッ! 潰れた。殴りつけたら、トカゲの頭が潰れちゃったよ! 手に何かがべっとり付いちゃったよ!
ゲロゲロゲロゲロ。
うん、もう、血以外はみんな出ちゃった感じだ。
「こ、怖かった……」
心臓がバクバクだ。怒りが鎮まったらまた怖くなって来た。チートを持っていても、気持ちまではそうなってないんだ。
深呼吸、深呼吸。
少し治まったかな。そうしたらそうしたで、今の自分の惨状に愕然としてしまう。
「洗わないと……」
このままじゃ町に帰れない。
「えぐっ、えぐっ、えぐっ……」
また何か変な声も涙も出るけど、我慢して地面を叩いて盥くらい大きさの凹みを作る。その凹みに飲み水魔法で水を溜めて……。
飲み水と言うだけあって、魔法1回で出てくる水の量はほんとに少ない。水がなかなか溜まってくれない。地面にも染み込んでるみたいで余計に。
泣きたくなって来た。でも泣かない。泣かないぞぉ。
延々と魔法を唱え続けて1時間くらいかな? 漸く穴に水が溜まってくれた。
ブラジャーを残して服を脱いで、まずは被害の少ないセーターから洗う。終わったらパンツと綿パンを水に浸ける。浸けてる間に飲み水魔法を使って下半身を洗って……。
こんなの、傍から見ると痴女にしか見えないよ……。
水がチョロチョロとしか出せないものだから、身体を洗うだけで30分。大誤算だ。なんだかもう、日も傾いて来てる。
パンツと綿パンを洗って絞って、また別の穴を作って1時間掛けて水を溜めて、パンツと綿パンの溜め濯ぎ。それからトカゲの鱗の上に広げて魔法で水を出してひたすら掛けて濯ぐ。気持ち悪いと思ったトカゲだったけど、近付いたら鱗に光沢が有って不潔感が無く、平気だった。
最後に勢いよく振り回して脱水だ。普通なら振り回したって脱水できないのだけど、チートな腕力が有るから大丈夫なのさ。
普通に絞ったら破ってしまいそうだから、そうしたんだけどね。
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