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第五話 初めてのレザンタ
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レザンタの町並みにはレンガ造りの建物が建ち並んでいる。木造家屋や鉄筋コンクリートのビルが殆どの日本の風景とは全く違い、やはり異国なのだと累造は実感した。
行き交う人々には活気があり、商品を売り込む声も飛び交う。
一〇階建てのビルくらいの高さがあるであろう建物も幾つか見える。それらは総じて横にも大きい建物だ。それらの建物が遠くからも見える町の景観を形作り、旅人により一層錯覚を起こさせ易くなるのだろう。
「ここがあたしの店、兼住居だよ」
ルゼが馬車を止めたのは一軒の雑貨屋の前だ。その建物は三階建てで間口は六メートル程有り、その左側には三分の一程に車庫のような扉が付いていて、店舗の扉はまた別にある。
ルゼは店舗の扉を開けると大声で帰宅を告げる。
「ショウ! チーナ! 今帰ったよ!」
そして車庫のような扉を開けて馬車を乗り入れた。そこは車庫ではなく中通路。奥の中庭へと続いている。
中庭の奥は厩に、右手は納屋になっている。中庭を下の線が太いコの字で囲うように三階建ての建物が建っている形だ。
中庭の手前で馬車を止めると、既に坊主頭の男が一人待っていた。
「姐さん、お帰りやす」
「おう、元気してたか?」
「へい、ピンピンしてまさ」
そこで男は荷台から顔を覗かせている累造に気付き、訝しげな視線を送った。
「姐さん、その変な服のボウズは何もんでやす?」
「おう、今日から一緒に住む累造だ。よろしくな」
ルゼは累造の首に右腕を巻き付けて引き寄せながら、ニカッと笑った。
累造は頬に当たる柔らかい感触に気を取られながらも、愛想笑いを浮かべる。だが、男はそんな累造に冷たい視線を送るだけだった。
「で、累造、こいつはショウだ」
ルゼは左の親指でショウを指し示すが、抱き寄せられたままの累造にはその指は見えない。しかし、傍にいるのは男が一人なのだから間違えようもない。
「間川累造です」
「ショウ・クロウでやす」
二人の飾りも何もない自己紹介に、ルゼは少しだけ渋い顔をした。
「それじゃ、あたしは一仕事片付けてくるから、累造はここで待ってな。ショウは荷下ろしをしておいてくれ」
そう言い置いてルゼは建物の中へと消えた。急ぎの案件の確認と、必要であればその処理をするのである。
ショウは直ぐに馬を馬車から外して厩へ入れ、飼い葉と水を与える。累造に何かを言う事もない。
累造の方も、履いているのが草履もどきでは却って邪魔になるだけだと思い、手伝いの申し出を自重した。ただ、作業の内容は覚えておこうとショウの手元には注目する。
そんな累造の視線を気にしながらも、ショウは黙々と荷下ろしをする。その途中、馬車から降りている累造の足下を見やって、鼻で溜め息をついた。「見ているだけなら手伝え」と言いたいところだったが、靴ではなく明らかに間に合わせなものを履いているのでは碌に動けないだろう。荷物を落とされても困る。だから何も言わない。
ショウからすれば、累造が足手纏いを自覚して何も言わないのか、単に働く気が無いだけなのかも判らないので、累造の人となりを推測する事もできない。なかなかにやっかいな事である。
しかし、荷下ろしをしていて一つだけ気付いた。
「ボウズ、荷物は持ってないんでやすか?」
「あ、はい。何もありません」
「そうでやすか……」
おかしな服といい、退っ引きならない事情が有りそうだと感じたショウは、累造が単に怠惰なだけだったとしてもこの場だけは大目に見ようと考えた。
程なくして荷下ろしが終わると、沈黙がその場を支配した。ボッチ歴の長い累造にとってはいつもと同じ時間なため、特に何かを感じる事もないのだが、ショウには少々居心地が悪かったらしい。
「それじゃ、あっしは仕事に戻りやす」
そう言ってショウはそそくさと店舗へと戻っていった。魔法陣を刻んだ板切れは馬車の中に残されている。
ルゼが戻ってくるまでの間、累造は魔法について考える。なぜルゼだと発動しなかったのか。
考えられる一つは、魔法陣を使った魔法が累造固有のものである可能性。しかし、そうであれば元の世界に居る時から使えてても良い筈だ。この異世界なら誰でも使える魔法だから異世界転移の魔法陣を使った時に引き込まれてしまった、と考えた方が自然に思える。その後直ぐに水や火を出せた事も納得できる。
次に考えられるのは、魔法陣を描いた本人しか使えないものである可能性。しかし、そうであれば魔法陣を描く途中に本人を特定するための魔力的な何かを感じても良い筈だ。だが魔法陣を描く最中に何かを感じる事は全く無かった。
その次に考えられるのは、魔法陣の内容を理解しているかどうかである可能性。当然の事ながら累造は全て理解している。水を出す魔法陣であれば、海の水の水分子を召喚すると言う意味で図形を描き込んでいて、それをイメージしながら魔法も発動させた。ルゼは当然ながら水が出ると言うだけしか知らなかった。理解とイメージが大切だと考えれば納得できる。
ただ、徒に考えても結論が出る事ではない。この世界の魔法についても詳しく聞いてみなければはっきりとはしない。
「悪い、待たせちまったね」
累造が思索に耽る中、ルゼが戻ってきた。
「あ、ルゼさん、早かったですね」
「え?」
ルゼは首を傾げた。
その様子を見て「何か違ったかな」と累造が周りを見回すと既に日が陰ってきている。思いの外、時間が経っていたらしい。
「あ、考え事をしていて時間に気付きませんでした」
「はあ?」
正直に言った累造にルゼは少し呆れた声を出した。
靴の購入は簡単だった。デザインも限られているので累造の足に合わせた靴のオーダーをして、出来合いの中から間に合わせで履ける靴を一足とサンダルを一足買ったらお終いである。
問題だったのは衣料品だ。間に合わせのシャツを二枚とズボンを一本選ぶまでは良かったのだが、オーダーで注文する時にルゼが赤やピンクと言った色や、派手な柄の生地を選びたがるのだ。累造としてはもっと落ち着いた色を選びたい。だがそれを言えば、ルゼが微妙に拗ねた顔をする。これがまた変に可愛らしくて絆されそうになる。だがしかし、シャツはまだしもそんな色柄のズボンを穿く勇気の持ち合わせは無い。そこで妥協点として、ズボンは生成りや黒の無地の生地にし、シャツはルゼの希望に合わせる事にした。
出来上がりが怖くもある。
靴と服を調達してルゼの店まで戻ると、既に辺りは薄暗くなっていた。街灯が無いため、累造には随分と暗く感じる。昨夜の野宿では、この時間帯には既に火を燃やしていたためか、暗さをあまり感じていなかったのだ。
夕暮れは郷愁も思い起こさせる。人里だと言う安心感も加わって遠くへと来た実感を懐いた。
店に入ると女性が一人待っていた。僅かにウェーブがかったブロンドの髪が肩胛骨の中程くらいまで伸びている。背は累造より少し低く、落ち着いた色調で脛の中程まであるスカートがよく似合っている。
「チーナ、こいつが累造だ。累造、こいつはチーナだ。店員兼メイドで一緒に暮らしてる」
「間川累造です。よろしくお願いします」
「チーナ・チョイマです。こちらこそよろしくね」
「とりあえず、飯にしよう。もう腹ぺこだよ」
ルゼの言葉で累造も空腹を思い出した。朝に堅パンと干し肉を食べたっきりだ。
チーナが作った夕食は豚肉のソテーに野菜もたっぷりのシチューで、累造の口にも合う美味なものだった。全粒パンらしきパンも硬くなくて美味しい。自然と食も進むと言うものである。
一息ついて水を口に一口含んだところで累造の手が止まった。泥臭いのである。ルゼが水を売ると言う意味を実感した瞬間だ。
ルゼも水を口に含んだ所で手が止まっている。眉根も寄っている。
顔を顰めながら水を飲み込んだ後、ルゼが口を開いた。
「買い物に行く前に累造に水を出して貰っとくんだったね」
「はい……」
累造もその意見には賛成である。
「累造、今からでも頼むよ。チーナ、累造を台所に案内してやってくれ」
「はい?」
チーナが首を傾げつつも立ち上がり、案内しよう歩き出す。
そこで累造が待ったを掛けた。
「先に馬車までお願いします。板切れがまだ馬車の中なので」
「あ、そっか。じゃ、チーナ、先に馬車に行っとくれ」
チーナはまた首を傾げつつも、累造を案内して馬車へと向かった。
台所の水甕の一つを空にすると、累造が板切れを構えて言葉を唱える。
『アラホラサ!』
すると板切れから水が噴き出し、見る間に水甕を満たしていく。
その光景にチーナは言葉もなく目を丸くした。
「美味いっ」
水差しで運ばれてきた水を飲んだルゼが顔を綻ばせた。
「ほんとに美味しい。今まで飲んでた水がどれだけ泥臭かったか判ります」
チーナは呆けるように呟いた。
「だろ? 今度からこの水も売るんだよ。行けそうだろ?」
ルゼがニヤッと笑ってチーナに言った。それに答えてチーナが興奮して言い放つ。
「はいっ! これは売れます! 売れなくてもこの水が飲めるだけでも幸せです!」
水道の水が飲める日本で育った累造からは、はしゃぎすぎのように見えた。
ランプの灯りだけの食堂は薄暗く、手に持ったロウソクしか灯りの無い廊下は更に暗い。累造のために用意されていた部屋もまた同様に暗い。
この暗さは、夜も明るい日本で育った累造には少々辛い。ただ、窓から覗く満天の星だけは日本ではそうそう見られない見事なものだ。そこで見知った星座が無いか探してみたが、さっぱり判らなかった。
行き交う人々には活気があり、商品を売り込む声も飛び交う。
一〇階建てのビルくらいの高さがあるであろう建物も幾つか見える。それらは総じて横にも大きい建物だ。それらの建物が遠くからも見える町の景観を形作り、旅人により一層錯覚を起こさせ易くなるのだろう。
「ここがあたしの店、兼住居だよ」
ルゼが馬車を止めたのは一軒の雑貨屋の前だ。その建物は三階建てで間口は六メートル程有り、その左側には三分の一程に車庫のような扉が付いていて、店舗の扉はまた別にある。
ルゼは店舗の扉を開けると大声で帰宅を告げる。
「ショウ! チーナ! 今帰ったよ!」
そして車庫のような扉を開けて馬車を乗り入れた。そこは車庫ではなく中通路。奥の中庭へと続いている。
中庭の奥は厩に、右手は納屋になっている。中庭を下の線が太いコの字で囲うように三階建ての建物が建っている形だ。
中庭の手前で馬車を止めると、既に坊主頭の男が一人待っていた。
「姐さん、お帰りやす」
「おう、元気してたか?」
「へい、ピンピンしてまさ」
そこで男は荷台から顔を覗かせている累造に気付き、訝しげな視線を送った。
「姐さん、その変な服のボウズは何もんでやす?」
「おう、今日から一緒に住む累造だ。よろしくな」
ルゼは累造の首に右腕を巻き付けて引き寄せながら、ニカッと笑った。
累造は頬に当たる柔らかい感触に気を取られながらも、愛想笑いを浮かべる。だが、男はそんな累造に冷たい視線を送るだけだった。
「で、累造、こいつはショウだ」
ルゼは左の親指でショウを指し示すが、抱き寄せられたままの累造にはその指は見えない。しかし、傍にいるのは男が一人なのだから間違えようもない。
「間川累造です」
「ショウ・クロウでやす」
二人の飾りも何もない自己紹介に、ルゼは少しだけ渋い顔をした。
「それじゃ、あたしは一仕事片付けてくるから、累造はここで待ってな。ショウは荷下ろしをしておいてくれ」
そう言い置いてルゼは建物の中へと消えた。急ぎの案件の確認と、必要であればその処理をするのである。
ショウは直ぐに馬を馬車から外して厩へ入れ、飼い葉と水を与える。累造に何かを言う事もない。
累造の方も、履いているのが草履もどきでは却って邪魔になるだけだと思い、手伝いの申し出を自重した。ただ、作業の内容は覚えておこうとショウの手元には注目する。
そんな累造の視線を気にしながらも、ショウは黙々と荷下ろしをする。その途中、馬車から降りている累造の足下を見やって、鼻で溜め息をついた。「見ているだけなら手伝え」と言いたいところだったが、靴ではなく明らかに間に合わせなものを履いているのでは碌に動けないだろう。荷物を落とされても困る。だから何も言わない。
ショウからすれば、累造が足手纏いを自覚して何も言わないのか、単に働く気が無いだけなのかも判らないので、累造の人となりを推測する事もできない。なかなかにやっかいな事である。
しかし、荷下ろしをしていて一つだけ気付いた。
「ボウズ、荷物は持ってないんでやすか?」
「あ、はい。何もありません」
「そうでやすか……」
おかしな服といい、退っ引きならない事情が有りそうだと感じたショウは、累造が単に怠惰なだけだったとしてもこの場だけは大目に見ようと考えた。
程なくして荷下ろしが終わると、沈黙がその場を支配した。ボッチ歴の長い累造にとってはいつもと同じ時間なため、特に何かを感じる事もないのだが、ショウには少々居心地が悪かったらしい。
「それじゃ、あっしは仕事に戻りやす」
そう言ってショウはそそくさと店舗へと戻っていった。魔法陣を刻んだ板切れは馬車の中に残されている。
ルゼが戻ってくるまでの間、累造は魔法について考える。なぜルゼだと発動しなかったのか。
考えられる一つは、魔法陣を使った魔法が累造固有のものである可能性。しかし、そうであれば元の世界に居る時から使えてても良い筈だ。この異世界なら誰でも使える魔法だから異世界転移の魔法陣を使った時に引き込まれてしまった、と考えた方が自然に思える。その後直ぐに水や火を出せた事も納得できる。
次に考えられるのは、魔法陣を描いた本人しか使えないものである可能性。しかし、そうであれば魔法陣を描く途中に本人を特定するための魔力的な何かを感じても良い筈だ。だが魔法陣を描く最中に何かを感じる事は全く無かった。
その次に考えられるのは、魔法陣の内容を理解しているかどうかである可能性。当然の事ながら累造は全て理解している。水を出す魔法陣であれば、海の水の水分子を召喚すると言う意味で図形を描き込んでいて、それをイメージしながら魔法も発動させた。ルゼは当然ながら水が出ると言うだけしか知らなかった。理解とイメージが大切だと考えれば納得できる。
ただ、徒に考えても結論が出る事ではない。この世界の魔法についても詳しく聞いてみなければはっきりとはしない。
「悪い、待たせちまったね」
累造が思索に耽る中、ルゼが戻ってきた。
「あ、ルゼさん、早かったですね」
「え?」
ルゼは首を傾げた。
その様子を見て「何か違ったかな」と累造が周りを見回すと既に日が陰ってきている。思いの外、時間が経っていたらしい。
「あ、考え事をしていて時間に気付きませんでした」
「はあ?」
正直に言った累造にルゼは少し呆れた声を出した。
靴の購入は簡単だった。デザインも限られているので累造の足に合わせた靴のオーダーをして、出来合いの中から間に合わせで履ける靴を一足とサンダルを一足買ったらお終いである。
問題だったのは衣料品だ。間に合わせのシャツを二枚とズボンを一本選ぶまでは良かったのだが、オーダーで注文する時にルゼが赤やピンクと言った色や、派手な柄の生地を選びたがるのだ。累造としてはもっと落ち着いた色を選びたい。だがそれを言えば、ルゼが微妙に拗ねた顔をする。これがまた変に可愛らしくて絆されそうになる。だがしかし、シャツはまだしもそんな色柄のズボンを穿く勇気の持ち合わせは無い。そこで妥協点として、ズボンは生成りや黒の無地の生地にし、シャツはルゼの希望に合わせる事にした。
出来上がりが怖くもある。
靴と服を調達してルゼの店まで戻ると、既に辺りは薄暗くなっていた。街灯が無いため、累造には随分と暗く感じる。昨夜の野宿では、この時間帯には既に火を燃やしていたためか、暗さをあまり感じていなかったのだ。
夕暮れは郷愁も思い起こさせる。人里だと言う安心感も加わって遠くへと来た実感を懐いた。
店に入ると女性が一人待っていた。僅かにウェーブがかったブロンドの髪が肩胛骨の中程くらいまで伸びている。背は累造より少し低く、落ち着いた色調で脛の中程まであるスカートがよく似合っている。
「チーナ、こいつが累造だ。累造、こいつはチーナだ。店員兼メイドで一緒に暮らしてる」
「間川累造です。よろしくお願いします」
「チーナ・チョイマです。こちらこそよろしくね」
「とりあえず、飯にしよう。もう腹ぺこだよ」
ルゼの言葉で累造も空腹を思い出した。朝に堅パンと干し肉を食べたっきりだ。
チーナが作った夕食は豚肉のソテーに野菜もたっぷりのシチューで、累造の口にも合う美味なものだった。全粒パンらしきパンも硬くなくて美味しい。自然と食も進むと言うものである。
一息ついて水を口に一口含んだところで累造の手が止まった。泥臭いのである。ルゼが水を売ると言う意味を実感した瞬間だ。
ルゼも水を口に含んだ所で手が止まっている。眉根も寄っている。
顔を顰めながら水を飲み込んだ後、ルゼが口を開いた。
「買い物に行く前に累造に水を出して貰っとくんだったね」
「はい……」
累造もその意見には賛成である。
「累造、今からでも頼むよ。チーナ、累造を台所に案内してやってくれ」
「はい?」
チーナが首を傾げつつも立ち上がり、案内しよう歩き出す。
そこで累造が待ったを掛けた。
「先に馬車までお願いします。板切れがまだ馬車の中なので」
「あ、そっか。じゃ、チーナ、先に馬車に行っとくれ」
チーナはまた首を傾げつつも、累造を案内して馬車へと向かった。
台所の水甕の一つを空にすると、累造が板切れを構えて言葉を唱える。
『アラホラサ!』
すると板切れから水が噴き出し、見る間に水甕を満たしていく。
その光景にチーナは言葉もなく目を丸くした。
「美味いっ」
水差しで運ばれてきた水を飲んだルゼが顔を綻ばせた。
「ほんとに美味しい。今まで飲んでた水がどれだけ泥臭かったか判ります」
チーナは呆けるように呟いた。
「だろ? 今度からこの水も売るんだよ。行けそうだろ?」
ルゼがニヤッと笑ってチーナに言った。それに答えてチーナが興奮して言い放つ。
「はいっ! これは売れます! 売れなくてもこの水が飲めるだけでも幸せです!」
水道の水が飲める日本で育った累造からは、はしゃぎすぎのように見えた。
ランプの灯りだけの食堂は薄暗く、手に持ったロウソクしか灯りの無い廊下は更に暗い。累造のために用意されていた部屋もまた同様に暗い。
この暗さは、夜も明るい日本で育った累造には少々辛い。ただ、窓から覗く満天の星だけは日本ではそうそう見られない見事なものだ。そこで見知った星座が無いか探してみたが、さっぱり判らなかった。
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