魔☆かるちゃ～魔王はこたつで茶をすする～

１９１１．紅潮

　食事を終えて人心地付くと、モトバと魔法使いが怪しく目を光らせる。
　食事が進むにつれて艶めかしく何かを我慢するような仕草を見せる女将に思うところがあったのだ。

『マタキテ　クダサーイ』

　モトバが片付けた食器を持って部屋を出ようとしている女将に言った。

『かしこまりました』

　女将も女将で少し頬を紅潮させて答えた。
　急ぎ足で食器を運ぶ女将。
　ところがそこに声を掛けてくる者が居た。

『なあ、そんな恰好をしてるってことは、そっちのサービスもしてくれるんだろ？』

　下卑たにやけ面の男だ。

『お客様、そちらのサービスはオプションとなっております』

　かなりの高額だ。
　男は聞いた金額に一瞬青ざめるが、直ぐにまた顔を紅潮させる。

『ケチくせぇこと言ってねぇで、サービスしやがれってんだ！』

　男が女将の腕を掴んだ拍子に女将が持っていた食器を落としてしまい、ガチャンと大きな音が響いた。