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1630.町

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 行く宛など無い男は途中で出会った人から示された方角へと歩く。
 すると町らしきものが遠くに見えた。
 足を速めて辿り着けば、そこは確かに町だった。
 あの人は親切だったのだ。
 少し恨みに思ったのを少しだけ反省する。
 少しだけなのは状況があまり変わらないから。
 人の居る場所まで来たのは良いが、右も左も判らない。
 周りの人の話し声は聞き慣れない言葉で、ここがどこかを尋ねることさえままならない。
 どこかに手掛かりになるものがないかと歩き続ける。
 ふいに目の前を裸の女が通り過ぎ、女を目で追った時には今の境遇を忘れかけた。
 だが女から目を離せば直ぐに思い出した。
 ますます異世界の疑いを高めながら更に町を歩く。
 すると町の中心近くでとある屋台を見付けた。

「焼きそば!?」

 駆け寄って屋台を除けば紛う事無き焼きそばであった。
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