魔☆かるちゃ～魔王はこたつで茶をすする～

１５６０．苦笑い

　全裸の男達が亡者のように天空に浮かぶ女の真下へ向けて戦場を駆ける。
　真下に達したら女に触れようとぴょんぴょん飛び跳ねる。
　無論届きはしない。
　だが彼らは一心不乱だ。幾度でも繰り返す。
　そして一つ一つが小さな飛び跳ねる音でも万が重なれば地鳴りとなって響き渡る。

「ますますヤバいな」

　剣士は顔を引き攣らせた。
　ハンターも苦笑いする。

「俺らもああだったのか……」
「……あんな醜態をオリエさんの目の前でもやってしまってたんだな。何故かあの時は理性が全く働かなかった。にしても、昔のマホはあんなじゃなかったよな？」
「人前では厳格な態度だったな。そのくせ激しかった」
「ん？」
「昔のあいつって貧相な身体がコンプレックスで、ブレーキにもなってたってことだ」

　だが今の身体は肉感的だ。
　ブレーキは壊れてしまったのだ。
　剣士もますます苦笑いするしかなかった。