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1516.障壁

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「何だと!?」

 魔法部隊長は動揺した。
 先は指揮官の声が早かったので醜態を晒さずに済んだが、今回の指揮官は魔法部隊長を睨み付けるようにしている。
 だから動揺も一入だ。
 そこに声が掛かった。

「まったく、乱暴ですね!」

 建物の前には仁王立ちの女の姿。
 ヒーラーだ。
 剣士に向けて送られた伝言板メッセージはヒーラーにも届くため、ヒーラーも剣士とは別に第3階層へと向かった。
 その際ヒーラーは第3階層には通常のルートを通ったため、隣国の軍の暴挙に出会したのだ。
 そして咄嗟に『障壁』を張って事無きを得た。

「何者だ!? 貴様は!」

 指揮官が上擦った声で誰何した。
 20人からの攻撃魔法を1人で防ぎ切った相手だ。
 実力が計り知れない。

「悪い子に名乗る名前はありません。ですけど、悪い子にはお仕置きしなければいけませんね!」
「ちょっと待ちな。俺達も混ぜてくれ」
「2人も来たのですね」
「おうよ」

 ハンターと槍士であった。

「は! た、高が3人で何ができる!」

 ヒーラーの『障壁』に度肝を抜かれていた指揮官はますます動揺を隠せない。

「もう1人居るわよ。もう、あたしを置いてくなんて酷いじゃない」

 魔法使いが指揮官に答え、ヒーラーに向き直って不平を言った。

「は、裸ぁ!? 馬鹿にしおって!」

 指揮官は更に惑乱しつつ真っ赤になって叫ぶが、若干前屈みにもなっていた。
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