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1429.飛び越えて

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 オリエはアイテムボックスの荷物を姉夫婦の部屋に出した後は話もそこそこに立ち去ることにした。
 周囲の五月蠅さも窓を閉め切ってしまえば我慢できないものではないが、周りがこの調子で落ち着けるものでもない。

「オリエちゃん、ありがとう」
「どういたしまして。それより兄さんこそ仕事とか大丈夫?」
「あのままじゃどうせ仕事にはならないからね。親父にも暫く店に出るなって言われてさ」

 姉婿の実家は八百屋を営んでいる。
 彼は主に実家の手伝いをしていたが、オリエの家族がダンジョンに引っ越してからはポン菓子作りを引き継いでもいた。
 しかし最近周囲が変に騒がしくなって商売にならなくなった。
 原因がオリエが女神のように持ち上げられた影響だったのはオリエと連絡を取り合ってて知ったことだ。

「ごめんね、あたしのせいで」
「オリエちゃんが始めた訳じゃないんだから、オリエちゃんのせいじゃないさ」
「ありがとう。じゃあ、もう行くね」
「オリエちゃんも気を付けて」
「うん」

 オリエは家を出ると、取り囲む者達の目に入るようにゆっくり敷地の境界まで行く。
 周囲が「女神様ー!」「オリエ様ー!」と騒がしくなる中、彼らを飛び越えて跳んだ。

「あっちだー!」

 オリエは彼らが気付くまで佇んだ後、彼らを家から引き剥がすように誘導してからダンジョン最奥に帰還した。
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