魔☆かるちゃ～魔王はこたつで茶をすする～

１２６９．生臭

「何でビニールなんかが……」

　比加礼太は肉を覆うフィルムを不思議に思いながらも、これがあることで肉に対する安心感が増した。
　鶏肉からフィルムを剥がし、今度こそ齧り付く。

「……生臭」

　礼太は肉を噛み切らずに口から出した。
　ペットボトルの水は飲み干してしまっているので流し込むのも無理だった。
　いくら魔王が品質に気を使っていても生肉である以上生臭さからは逃れられない。
　日頃食べていたなら気にならなくなるだけだ。
　礼太にとって生の鶏肉は食べ慣れない食材の１つである。
　だがもっと生臭い印象のある生の牛肉は食べたことがある。

「ユッケなら食えたのにな」

　違いは何かと考える。

「……そう言や、ユッケには色々混じってたな」

　ネギなどの薬味と一緒にコチュジャンや醤油などで作ったたれで和えられているのがユッケだ。

「ネギ……」

　礼太は走り回るネギを遠目に睨んだ。