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483.アイテムボックス

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 アイテムボックスに出し入れできるのはダンジョン内のみだが、ダンジョンから出ても入れた物が無くなったりはせず、再びダンジョンに入れば取り出せる。また、もしも持ち主が死亡したら所有者が冒険者ギルドに移る。
 これの意味するところは持ち物が盗まれたり、物取り目的でいきなり殺されたりが無いと言うことだ。
 オリエにアイテムボックスについて問い質した男はこれにいち早く気付いて精力的に狩りをした。「アイテムボックス小」では容量に不安があったが、手に入れてみれば何も問題無い。特大サイズの背負い袋ほどの容量があり、手持ちの荷物は全て入れられた。
 これによって今までに無い安眠を手に入れた男は「アイテムボックス中」を目指して更に狩りに勤しんでいる。
 こうなると人目も惹いたりするものだ。男のことが気になった者達が問い質す。

「そんなに稼いでどうしようってんだ?」
「は? 別に稼いじゃないが、稼いだからって何か悪いのか?」
「抜け駆けしやがって!」
「つまんねぇ嫉妬だな」
「んだと、こら!」
「あんだよ?」
「まあ、待て。待ってくれ。こいつは黙らせとくから話を聞かせてくれ」

 一触即発の状況に、男に噛み付いた者の連れが割って入った。

「あんたが何でそんなに狩りを頑張ってんのか、獲物をどっから出したのか知りたいだけなんだ」
「んなもん、アイテムボックスに決まってんだろが」
「アイテムボックス?」

 男にとっては常識になっていたアイテムボックスだが、他の者にとってはそうではない。しかし最初に因縁を付けられた格好になって頭に血が上った男がそんなことに気付くはずもない。

「ギルドの交換品を見やがれ、糞が! そんだけならもう行くぜ」
「待ってくれ!」

 男は呼び止める声には耳を貸さずに立ち去った。
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