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416.ダンジョン庁

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 ダンジョン庁長官は荒ぶっていた。

「ダンジョンに店が出来ただと!? そんな許可を出した覚えは無いぞ!」

 言葉が違うだけでチンピラの「誰に断ってここで店出してやがんだ? ああん!?」と中身は同じだ。

「お言葉ですが、誰の許可も必要としません」

 秘書が冷静に突っ込んだ。
 過去にはダンジョンを独占しようとする動きもあったが、決まって入口や階段の占拠を試みる。これを魔王は嫌い、入口や階段が占拠される度にそれらを別の場所に移した。
 すると入口の占拠を試みた町や国は寂れ、階段の占拠を試みた一団は孤立してダンジョンの土となった。
 幾度か繰り返されたこれらの経験は踏まえられ、今は出入り自由でダンジョン内には地上の法が適用されないようになっている。

「その代わりに襲撃される危険も含めて全て自己責任です」

 個人によっても試みられたことがあるが、その大半が人の手で悲劇的な結末を強要された。

「そんなことは解っている!」

 声を荒らげる長官の頬は羞恥に苛まれたかのように赤かった。
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