6 / 6
番外編 昔話
しおりを挟む
これは祖父から聞いた話だ。
当時、祖父は年の近い従兄弟と一緒に猟師をしていたらしい。
しかし、その年はどうにも大した獲物が捕れず、二人とも困り果てていた。
「なあ、おい。狼の山に行ってみないか?」
従兄弟の言葉に、祖父は驚愕した。
「狼の山って、お前正気か?」
狼の山というのは、祖父たちが暮らす町やその周囲で決して入ってはいけないと言われている山だ。
なんでも、その山には大きな狼が住み着いていて、山を荒らすものを襲うと言われている。
「いくらなんでもあんな危険な山に入るだなんて……」
「何が危険なもんか。今どき狼が住んでいるわけがないだろう」
「しかし……」
「それに、山に入らないとしてどうするつもりだ? このまんまだと冬を越せないぞ?」
祖父は山に入ることに抵抗があったが、従兄弟の言うことも最もだったので一緒に狼の山へ向かうことにした。
狼の山に入って、しばらくはなんともなかったという。
他の猟に入る者がいないからか、獲物はそれなりにいて二人は狩りをした。
しかし、時間が経つにつれ周囲の霧が濃くなっていったのだ。
「なあ、おいもう帰ろう。もう十分だろ?」
「いや、もう少し粘るべきだ。蓄えはいくらあってもいいからな」
「けど霧が……」
「これぐらい平気だって。お前は慎重過ぎるんだよ」
祖父がいくら言っても、従兄弟は引かなかった。
一人で戻ることも考えたが、万が一従兄弟に何かあれば自分が責められると思って仕方がなく一緒に行動することにした。
だが霧はどんどん濃くなり、帰り道がわからなくなってしまったのだ。
「おい、どうする? これじゃあ、帰れないぞ」
「わかってるって。とにかく、どこか霧が晴れるまで休める場所を探そう」
二人が周囲を見渡すと、祖父が横穴を見つけた。
「おい、あそこなら休めるんじゃないか?」
「ああ、そうだな。行ってみるか」
その横穴は人二人が横に並んでも問題ないぐらいの大きさで、祖父はどうしてこんなに大きな横穴があることにさっきまで気づけなかったのか不思議に感じるほどだった。
横穴に入ってみるとそこは二人の予想以上に深く、どこまでも続いている。
その上、人工的に掘られたものなのか、非常に歩きやすかった。
もしかしたら、奥はどこかに繋がっているのかもしれない。
二人はそんなことを話しながら進んでいくと、穴の向こうから光が見えた。
穴を抜けるとそこには大きな屋敷が存在あったのだという。
それも、こんな山奥にあるのが信じられないほど立派な屋敷だったそうだ。
「何かご用でしょうか?」
思わず屋敷に目を見張る二人に、屋敷から女性が出てきて話しかけてきた。
その女性を顔を見て祖父は驚いた。
なにせその顔には大きな傷跡がいくつもついていたからだ。
けれども、ジロジロ見るのも失礼だと考え、なるべく女性の顔を見ないように自分たちの事情を話した。
「まあ、遭難してしまったのですね。よかったら霧が晴れるまでうちで休んでいかれてはいかがでしょう?」
「いいんですか?」
「ええ。大したおもてなしはできませんが、どうぞ」
女性に案内され、祖父たちは屋敷に足を踏み入れた。
屋敷は外観だけではなく、内装も立派で、どこかの武家屋敷のようだった。
「ここにはあなた一人で暮らしているのですか?」
「いいえ。夫やその部下の方たちと暮らしているんです。今は、生憎と席を外しておりますが」
女性の説明に祖父はなるほどな、と思った。
こんな広い屋敷にもかかわらず、廊下も壁も実に綺麗だ。これはどうやっても一人では維持できないだろう。
ただ、屋敷に入ってから、妙に視線をあちこちから感じていたが女性以外に人影は見えない。
きっと、こんなに立派な屋敷に入るのは初めてだから、緊張しているのだろうと祖父は結論づけたそうだ。
「ここで少しお待ち下さい」
やがて祖父と従兄弟はある一室に案内された。
二人を案内した後、女性は一旦席を外したのだが、すぐにお茶を入れて戻ってきたそうだ。
「粗茶ですが、どうぞ」
「こうして休ませていただくだけでなく、お茶までご用意していただき、ありがとうございます」
「いえいえ、困った時はお互い様ですから」
女性の丁寧で柔らかな物腰に、祖父はすっかり心許していた。
それから祖父と従兄弟は二時間ほどその家にお邪魔していたそうだ。
霧が晴れて、二人は女性にお礼を告げて屋敷を出た。
横穴に入る前に、祖父が一度屋敷に振り向くと、女性の周囲に奇妙なもやが見えたような気がしたらしい。
それから二人は山を降りていったそうだが、従兄弟がふいにこう言ったそうだ。
「それにしても、あの人の顔はひどいもんだったな。何があったらあんな顔になるんだ?」
従兄弟がいっている相手が、先程の女性のことであることは明らかだった。
「おい、恩人に向かってなんてことを言うんだ」
祖父が注意しても、従兄弟は笑うばかりで反省の様子がみえない。
強めに注意しようとしたその瞬間、祖父の背筋に冷たいものが通ったそうだ。
祖父が周囲を見渡すと、山頂に白い獣を見つけた。
よく見ればそれは、巨体を持つ狼だったそうだ。
その狼はじっと祖父たちのことを睨みつけていたらしい。
あの狼に襲われたら逃げられない。
そう感じた祖父は何も気づかない従兄弟を引っ張って、急いで山を降りたそうだ。
結局その後は何事もなく、二人とも無事に家に戻れたらしい。
だが数日後、山に入った従兄弟がいつまでたっても戻ってこないので、仲間たち総出で探しに行ったところ、彼は死体で発見された。
それも、まるで獣に食いちぎられたかのような、無残な姿だったらしい。
「きっとあの女性は、狼の伴侶だったんだろう。奥さんを笑われたら言われたら、そりゃ怒るだろうさ」
祖父はそれから、どんなに獲物が捕れなくとも狼の山に足を踏み入れることはなかったという。
当時、祖父は年の近い従兄弟と一緒に猟師をしていたらしい。
しかし、その年はどうにも大した獲物が捕れず、二人とも困り果てていた。
「なあ、おい。狼の山に行ってみないか?」
従兄弟の言葉に、祖父は驚愕した。
「狼の山って、お前正気か?」
狼の山というのは、祖父たちが暮らす町やその周囲で決して入ってはいけないと言われている山だ。
なんでも、その山には大きな狼が住み着いていて、山を荒らすものを襲うと言われている。
「いくらなんでもあんな危険な山に入るだなんて……」
「何が危険なもんか。今どき狼が住んでいるわけがないだろう」
「しかし……」
「それに、山に入らないとしてどうするつもりだ? このまんまだと冬を越せないぞ?」
祖父は山に入ることに抵抗があったが、従兄弟の言うことも最もだったので一緒に狼の山へ向かうことにした。
狼の山に入って、しばらくはなんともなかったという。
他の猟に入る者がいないからか、獲物はそれなりにいて二人は狩りをした。
しかし、時間が経つにつれ周囲の霧が濃くなっていったのだ。
「なあ、おいもう帰ろう。もう十分だろ?」
「いや、もう少し粘るべきだ。蓄えはいくらあってもいいからな」
「けど霧が……」
「これぐらい平気だって。お前は慎重過ぎるんだよ」
祖父がいくら言っても、従兄弟は引かなかった。
一人で戻ることも考えたが、万が一従兄弟に何かあれば自分が責められると思って仕方がなく一緒に行動することにした。
だが霧はどんどん濃くなり、帰り道がわからなくなってしまったのだ。
「おい、どうする? これじゃあ、帰れないぞ」
「わかってるって。とにかく、どこか霧が晴れるまで休める場所を探そう」
二人が周囲を見渡すと、祖父が横穴を見つけた。
「おい、あそこなら休めるんじゃないか?」
「ああ、そうだな。行ってみるか」
その横穴は人二人が横に並んでも問題ないぐらいの大きさで、祖父はどうしてこんなに大きな横穴があることにさっきまで気づけなかったのか不思議に感じるほどだった。
横穴に入ってみるとそこは二人の予想以上に深く、どこまでも続いている。
その上、人工的に掘られたものなのか、非常に歩きやすかった。
もしかしたら、奥はどこかに繋がっているのかもしれない。
二人はそんなことを話しながら進んでいくと、穴の向こうから光が見えた。
穴を抜けるとそこには大きな屋敷が存在あったのだという。
それも、こんな山奥にあるのが信じられないほど立派な屋敷だったそうだ。
「何かご用でしょうか?」
思わず屋敷に目を見張る二人に、屋敷から女性が出てきて話しかけてきた。
その女性を顔を見て祖父は驚いた。
なにせその顔には大きな傷跡がいくつもついていたからだ。
けれども、ジロジロ見るのも失礼だと考え、なるべく女性の顔を見ないように自分たちの事情を話した。
「まあ、遭難してしまったのですね。よかったら霧が晴れるまでうちで休んでいかれてはいかがでしょう?」
「いいんですか?」
「ええ。大したおもてなしはできませんが、どうぞ」
女性に案内され、祖父たちは屋敷に足を踏み入れた。
屋敷は外観だけではなく、内装も立派で、どこかの武家屋敷のようだった。
「ここにはあなた一人で暮らしているのですか?」
「いいえ。夫やその部下の方たちと暮らしているんです。今は、生憎と席を外しておりますが」
女性の説明に祖父はなるほどな、と思った。
こんな広い屋敷にもかかわらず、廊下も壁も実に綺麗だ。これはどうやっても一人では維持できないだろう。
ただ、屋敷に入ってから、妙に視線をあちこちから感じていたが女性以外に人影は見えない。
きっと、こんなに立派な屋敷に入るのは初めてだから、緊張しているのだろうと祖父は結論づけたそうだ。
「ここで少しお待ち下さい」
やがて祖父と従兄弟はある一室に案内された。
二人を案内した後、女性は一旦席を外したのだが、すぐにお茶を入れて戻ってきたそうだ。
「粗茶ですが、どうぞ」
「こうして休ませていただくだけでなく、お茶までご用意していただき、ありがとうございます」
「いえいえ、困った時はお互い様ですから」
女性の丁寧で柔らかな物腰に、祖父はすっかり心許していた。
それから祖父と従兄弟は二時間ほどその家にお邪魔していたそうだ。
霧が晴れて、二人は女性にお礼を告げて屋敷を出た。
横穴に入る前に、祖父が一度屋敷に振り向くと、女性の周囲に奇妙なもやが見えたような気がしたらしい。
それから二人は山を降りていったそうだが、従兄弟がふいにこう言ったそうだ。
「それにしても、あの人の顔はひどいもんだったな。何があったらあんな顔になるんだ?」
従兄弟がいっている相手が、先程の女性のことであることは明らかだった。
「おい、恩人に向かってなんてことを言うんだ」
祖父が注意しても、従兄弟は笑うばかりで反省の様子がみえない。
強めに注意しようとしたその瞬間、祖父の背筋に冷たいものが通ったそうだ。
祖父が周囲を見渡すと、山頂に白い獣を見つけた。
よく見ればそれは、巨体を持つ狼だったそうだ。
その狼はじっと祖父たちのことを睨みつけていたらしい。
あの狼に襲われたら逃げられない。
そう感じた祖父は何も気づかない従兄弟を引っ張って、急いで山を降りたそうだ。
結局その後は何事もなく、二人とも無事に家に戻れたらしい。
だが数日後、山に入った従兄弟がいつまでたっても戻ってこないので、仲間たち総出で探しに行ったところ、彼は死体で発見された。
それも、まるで獣に食いちぎられたかのような、無残な姿だったらしい。
「きっとあの女性は、狼の伴侶だったんだろう。奥さんを笑われたら言われたら、そりゃ怒るだろうさ」
祖父はそれから、どんなに獲物が捕れなくとも狼の山に足を踏み入れることはなかったという。
0
お気に入りに追加
22
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
王太子殿下から逃げようとしたら、もふもふ誘拐罪で逮捕されて軟禁されました!!
屋月 トム伽
恋愛
ルティナス王国の王太子殿下ヴォルフラム・ルティナス王子。銀髪に、王族には珍しい緋色の瞳を持つ彼は、容姿端麗、魔法も使える誰もが結婚したいと思える殿下。
そのヴォルフラム殿下の婚約者は、聖女と決まっていた。そして、聖女であったセリア・ブランディア伯爵令嬢が、婚約者と決められた。
それなのに、数ヶ月前から、セリアの聖女の力が不安定になっていった。そして、妹のルチアに聖女の力が顕現し始めた。
その頃から、ヴォルフラム殿下がルチアに近づき始めた。そんなある日、セリアはルチアにバルコニーから突き落とされた。
突き落とされて目覚めた時には、セリアの身体に小さな狼がいた。毛並みの良さから、逃走資金に銀色の毛を売ろうと考えていると、ヴォルフラム殿下に見つかってしまい、もふもふ誘拐罪で捕まってしまった。
その時から、ヴォルフラム殿下の離宮に軟禁されて、もふもふ誘拐罪の償いとして、聖獣様のお世話をすることになるが……。
幼女からスタートした侯爵令嬢は騎士団参謀に溺愛される~神獣は私を選んだようです~
桜もふ
恋愛
家族を事故で亡くしたルルナ・エメルロ侯爵令嬢は男爵家である叔父家族に引き取られたが、何をするにも平手打ちやムチ打ち、物を投げつけられる暴力・暴言の【虐待】だ。衣服も与えて貰えず、食事は食べ残しの少ないスープと一欠片のパンだけだった。私の味方はお兄様の従魔であった女神様の眷属の【マロン】だけだが、そのマロンは私の従魔に。
そして5歳になり、スキル鑑定でゴミ以下のスキルだと判断された私は王宮の広間で大勢の貴族連中に笑われ罵倒の嵐の中、男爵家の叔父夫婦に【侯爵家】を乗っ取られ私は、縁切りされ平民へと堕とされた。
頭空っぽアホ第2王子には婚約破棄された挙句に、国王に【無一文】で国外追放を命じられ、放り出された後、頭を打った衝撃で前世(地球)の記憶が蘇り【賢者】【草集め】【特殊想像生成】のスキルを使い国境を目指すが、ある日たどり着いた街で、優しい人達に出会い。ギルマスの養女になり、私が3人組に誘拐された時に神獣のスオウに再開することに! そして、今日も周りのみんなから溺愛されながら、日銭を稼ぐ為に頑張ります!
エメルロ一族には重大な秘密があり……。
そして、隣国の騎士団参謀(元ローバル国の第1王子)との甘々な恋愛は至福のひとときなのです。ギルマス(パパ)に邪魔されながら楽しい日々を過ごします。
異世界で狼に捕まりました。〜シングルマザーになったけど、子供たちが可愛いので幸せです〜
雪成
恋愛
そういえば、昔から男運が悪かった。
モラハラ彼氏から精神的に痛めつけられて、ちょっとだけ現実逃避したかっただけなんだ。現実逃避……のはずなのに、気付けばそこは獣人ありのファンタジーな異世界。
よくわからないけどモラハラ男からの解放万歳!むしろ戻るもんかと新たな世界で生き直すことを決めた私は、美形の狼獣人と恋に落ちた。
ーーなのに、信じていた相手の男が消えた‼︎ 身元も仕事も全部嘘⁉︎ しかもちょっと待って、私、彼の子を妊娠したかもしれない……。
まさか異世界転移した先で、また男で痛い目を見るとは思わなかった。
※不快に思う描写があるかもしれませんので、閲覧は自己責任でお願いします。
※『小説家になろう』にも掲載しています。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
【完結】忘れられた王女は獣人皇帝に溺愛される
雑食ハラミ
恋愛
平民として働くロザリンドは、かつて王女だった。
貴族夫人の付添人としてこき使われる毎日だったロザリンドは、ある日王宮に呼び出される。そこで、父の国王と再会し、獣人が治める国タルホディアの皇帝に嫁ぐようにと命令された。
ロザリンドは戸惑いながらも、王族に復帰して付け焼刃の花嫁修業をすることになる。母が姦淫の罪で処刑された影響で身分をはく奪された彼女は、被差別対象の獣人に嫁がせるにはうってつけの存在であり、周囲の冷ややかな視線に耐えながら隣国タルホディアへと向かった。
しかし、新天地に着くなり早々体調を崩して倒れ、快復した後も夫となるレグルスは姿を現わさなかった。やはり自分は避けられているのだろうと思う彼女だったが、ある日宮殿の庭で放し飼いにされている不思議なライオンと出くわす。そのライオンは、まるで心が通じ合うかのように彼女に懐いたのであった。
これは、虐げられた王女が、様々な障害やすれ違いを乗り越えて、自分の居場所を見つけると共に夫となる皇帝と心を通わすまでのお話。
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
早稲 アカ
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
『ヒーローが過去に本気で愛した人』役から逃げたつもりが溺愛ルートに入ってしまった
イセヤ レキ
恋愛
愛犬のポポと一緒に、人狼の治める国という異世界へ飛ばされた柏木愛流(あいる)、二十三歳。
それから三年間、落とされた先で出会ったおばあちゃんにお世話になり、仕事も言語も身に着け異世界で順応していく。
身内のように大切な存在となったおばあちゃんが亡くなると同時に拾ったのが、怪我をしたハスキーのような大型犬。
愛流は二匹と楽しく一年過ごしたが、愛流が出入りする街には不穏な空気が漂い始める。
そして、愛流は思い出した。
昔読むのをやめた、ダブルヒーローの小説を。
ヒーローの一人が、ロロと名付けて可愛がった大型犬の状況にそっくりであることを。
そして、一年ほど一緒に住んで愛を育んだ相手、つまり愛流が、ある日ロロを守って殺される運命の女性であることを。
全八話、完結済。
崖っぷち令嬢は冷血皇帝のお世話係〜侍女のはずが皇帝妃になるみたいです〜
束原ミヤコ
恋愛
ティディス・クリスティスは、没落寸前の貧乏な伯爵家の令嬢である。
家のために王宮で働く侍女に仕官したは良いけれど、緊張のせいでまともに話せず、面接で落とされそうになってしまう。
「家族のため、なんでもするからどうか働かせてください」と泣きついて、手に入れた仕事は――冷血皇帝と巷で噂されている、冷酷冷血名前を呼んだだけで子供が泣くと言われているレイシールド・ガルディアス皇帝陛下のお世話係だった。
皇帝レイシールドは気難しく、人を傍に置きたがらない。
今まで何人もの侍女が、レイシールドが恐ろしくて泣きながら辞めていったのだという。
ティディスは決意する。なんとしてでも、お仕事をやりとげて、没落から家を救わなければ……!
心根の優しいお世話係の令嬢と、無口で不器用な皇帝陛下の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
すてきなお話でした!ハッピーエンドになってよかったです。
ご感想、ありがとうございます。