失恋

涼雅

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面倒事

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原くんから謎に無駄に謝られた日の翌日。

俺はクラスの奴に囲まれている

「なあなあ、昨日どうだった?」

「上手くいったか?!」

4、5人だろうか

互いに肩を組みながら俺を取り囲む様はある意味いじめを疑われるぞ

「…何の話だ」

溜め息をつきながら前方の男の脇を避けながら逃げようとすると、腕を掴まれる

「何の話って…そりゃあ、なあ?」

歯切れの悪い、察しろ、と言ってくるかのような物言い。

あぁ、面倒臭いな

あからさまに嫌な顔をして、腕を掴んでくる奴に

「俺は何も知らない」

そう言って振り切ろうとする

おかしい。

振り切ったはずなのに、別の奴に掴まれてる

なんでこんな囲まれなきゃいけないんだ

あー、なんかすごく面倒臭くなってきた

なんなんだろう、目的がわからん。

今ここで泣き喚いたら解放してくれるかな…

なんて馬鹿みたいな思考を回すほどにこの状況が面倒臭い。

「だから、昨日隣の空き教室で原くんと会っただろ?!」

「それがなんだよ」

「あの後どうなったかって話だよ!分かるだろ!」

いや、全くもって分からない。

そもそもなんで相手が原くんだってお前らが知ってるんだ

「何も無い。そもそも人違いだったしな」

呆れたように言えば、えっ…と言葉を失う周りの奴ら。

「お前らから、回りくどい書き方しやがって!とか早く行けよ!とか言われたけど、結果は人違い、だから。」

甲坂さんのあの手紙を俺からだと勘違いしていたのは原くんだけではなかったと確信したのは、あの手紙を原くんから受け取った時だったけれど。

原くんがこいつらに手紙を見せたか、こいつらが勝手に見たかの二択だろう

意味のわからない面倒事の副産物はこいつらなのかよ

更に面倒臭いな

「はい、もうわかったら離してくれ」

緩んだ腕から逃れると、はっと我に返ったようにクラスの奴らは俺を追いかけてくる

えっ、いやいやなんでだ面倒臭い

「人違いってなんだ?!」

「何も無いこと無いよな?!」

「ほんとはどうなったんだよー?!」

えぇ、俺ほんとのことしか言ってないのに。

走りながら逃げるが、生憎教室に入ったばかり。

逃げ場など存在しない。

ぐいぐいと詰め寄ってくる奴らに嫌悪感を露わにしても尚諦めない。

あー、逃げるのも面倒臭いな

極度の面倒臭がりが、後々のことをより面倒臭くさせようとしている気がする

窓側に追い詰められた俺は

「原くんに確認したら?」

ごめん、原くん。面倒事押し付けます。

心の中で謝りながらそう言うと颯爽と隙間をくぐりぬけて、教室から駆け出した。
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