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2章 いよいよ本編開始??

今度はそもそも内容が違う?!

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残すところ、最後の一人となった出逢いイベント。

王都にある大きい商家の嫡男であるリチャード=ハインズ。
オレンジ系の明るいブラウンに朱色の瞳をしている彼は、さすが攻略対象というだけあってイケメンである。
彼との出逢いは、彼が女の子から告白されているのを目撃するところから始まるのだ。

……なんだろう、もう嫌な予感しかしないよね。

確か、校舎裏の焼却炉にごみを捨てに行ったヒロインが、女の子とリチャードが話しているところに遭遇してしまう。……そう、話しているところに遭遇するはずなんだよ。


あたし、リナリア。今掃除当番で焼却炉にごみを捨てに来たの。


そんな現実逃避した発言をしたくなるくらい、今あたしの目の前では想定外のことが起こっていた……―――




「んんっ、ぁ……ふっ……」
「ん、可愛いね……もうちょっと口開けようか……」
「んぁっ、んんんっ……」

どうしよう……どうしよう……
あなた達、まだ16歳かそこらでしょ?女生徒はもしかしたら上級生かもしれないけど……
なんでこんなところでべろちゅーしてるんだよっ!!告白を断るシーンじゃなかったのかよっ!!!

壁際に追い詰めた女性ととべろちゅーをしているのは、もちろん攻略対象であるリチャードだ。
焼却炉に行くには、この二人のそばを通らないといけないので、立ち去りたくても立ち去ることができない。

「んっ、ごめんね。僕はキミと付き合うことはできないから、こんなことしかできない……」

あんたそんなべろちゅーしといて断るのっ??!!

「いいの……せめて初めての口づけだけでもって、お願いしたのは私だもの……」

初めてのキスがあんなべろちゅーですかっ???!!!随分と大胆な方ですねっ!!!!

あたしは脳内で全力でツッコみまくっていた。
声が聞こえなくなったので、そろそろゴミ捨てだけでも大丈夫かなと思って二人がいた場所を覗いてみたら……

「キミ、覗き見なんてイイ趣味してるね」
「ひぃぃっ!!!」

目の前にはさっきまで女生徒とべろちゅーしていた彼、リチャード=ハインズが笑顔なんだけど笑顔に見えない顔で立っていた。なんでかな、なんかゾワゾワする……。

「いや、覗きというか……ゴミを……」
「……あ、そうか。あそこは焼却炉前だものね。変なモノみせちゃってごめんね」
「いえ……では」

とりあえず遭遇するだけしたので、もういいかなと思って去ろうとしたらそうさせてもらえなかった。
リチャードは、あたしの後ろにある壁に手をついて詰め寄る……そう、壁ドン状態で迫ってきた。

「あ、の……」
「リナリア=ロンドさん……だよね?」
「!!」

なんで?あたし、まだ名乗ってないっ……

「今見たコト……秘密にしてくれる?」

これはゲームと同じ選択肢ではある。状況が全く違うけどっ!!!

ちなみに選択肢は……

 ① もちろん!

 ② どうして?

 ③ 私も……

ちょっと待て!!告白シーンを見て、一目ぼれした彼に「私も……」ってならわかるけど、今③は絶対選択しちゃいけないヤツっ!!!

……どうしよう。状況違うし、ここの選択肢は正直覚えてないんだよね。
①と②どっちが正解なんだろう……?とりあえず今は……

「も、もちろん!!秘密にしますっ!誰にも言いませんっつ!!」

こんなコト他の人に言えるわけもないわっ!!

「ホントに?……もし、約束破ったら……」
「……へ?……んっ、痛っ」
「ふふ、可愛い声。もし約束破ったら、お仕置きとしてソレ以上のことしちゃうから♪あ、僕はリチャード=ハインズ、覚えておいてね、リナリアさん☆」

……今こいつ、あたしの首にナニ、した……?
もしかしなくても、キスマーク付けた????
しかも約束破ったらお仕置き??!!ソレ以上???!!!
このゲームってR―18だったっけ???




とりあえず攻略キャラ全員と出逢いイベント(一部違う)はクリアしたけど、状況が同じかと思ったら違うことが起こったり、遭遇はしたけど別イベントが起こったり、選択肢が同じでも内容が全く違うイベントだったりで、あたしは余計に混乱してしまった……。
進めたくないけど、もう少しイベントがちゃんと発生するのか検証しないとダメかも……

「うぅ……ラッキースケベとか予定外に迫られるの、全部セイだったら良いのに……」

そう、彼なら何でもバッチコイなんだけど、そもそも逢うことができていないし、逢えるイベントには条件がある。

「乙女ゲームのヒロインって、なんか思ってたのと違う……」


進みたいルートが隠しキャラルートだからなのかもしれないけど……

あたしは、無事に彼のルートに入ることができるんだろうか。とても不安になりました。
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