6 / 45
1章 自分が知っているかもしれない世界
事件は次から次へとやってくる
しおりを挟む
◇
魔力登録をした数日後、あたしのもとへ一通の手紙が届いた。
それが、我が家でこんな大騒ぎになるとは思ってもみなかった。
「旦那様っ!旦那様っ!!大変ですぞっ!!!」
その日も、いつものように家族揃って夕食を楽しんでいた。
そんな時、いつもニコニコ顔の冷静なおじいちゃんこと、お父様付きの家令セバスチャンが、今まで見たことないくらい大慌てでやってきた。
「どうしたんだ?セバス。キミがそんなに慌てるなんて……」
「旦那様、こちらを……」
「ん?……え、えぇ??!!」
お父様まで驚きだした。いったい誰からの手紙なんだ?
「セバスにあなたまで……一体どなたからのお手紙なんです?」
「……ストライナー家だよ。公爵の……」
「……え?」
「しかも、宛名はリア宛てなんだ……」
「え……えぇぇぇぇぇぇ??!!」
あたし宛?ストライナー家?まったく意味が解らない……
どうしよう、お母様までなんかすごい反応してるんだけど、なんかやっちゃったのかな、あたし……
「リア、キミ宛の手紙だけど、開けてもいいかい?」
「もちろんです、お父様!」
皆がドキドキしながら見守る中、代表してお父様が封を開けて中身を確認した。
読み終えたお父様は、一度深呼吸してからあたしやお母様に向き合った。
……そんな、心の準備が必要な内容だったのかな?
「リア……公爵家のナルメリア様と友達になったのかい?」
「公爵家?……ナル、メリア……あっ!はい。魔力登録のときにメリーとお友達になりました!」
「メリー??!!……コホン。リア、彼女は公爵家の人間で、僕達子爵家よりも遥かに高い身分の方なんだよ……」
「そう、なのですか?」
「リア……高熱が出た時の後遺症で、やはり記憶障害かなにかあるのではなくて?あの後からずいぶんと口調や行動が変わったもの……」
「!!」
ギクっ……ヤバイ。子供だから多少崩れても良いかなってあまり取り繕ってなかったかも……。
とりあえず、お母様の言ってることに合わせよう。
「申し訳ありません。特に実感はありませんでしたし、身体も問題なかったので気にしていなかったのですが……」
「良いのよ、リア。元気であることが第一だもの。わからないことはこれから学んでいけば良いわ」
「はい、お母様」
とりあえず、今回の手紙の内容はこうだ。
魔力登録のときに出会ったナルメリアが、あたしに会いたいということで、公爵家へ招待したいという内容らしい。身分的に断るなんて選択肢はこちらになく行くしかないんだけど、両親的に相手の身分が高すぎてどうして良いかわからないようだ。
お父様はお城勤めをしているけど、近衛の第三部隊の副隊長ということで、表に出るような出ないような微妙な立ち位置だったりする。
隊長さんは侯爵家の方みたいだけど、お高く留まっているわけじゃなく、一度会った時は“おっきくてクマみたいなおじさん”と懐いていた記憶があるので、あたしはちゃんとしたお貴族様とは接したことがない。
両親も社交が得意ではないため、参加必須の夜会以外はほとんど出席せず他の貴族ともあまり交流していないようだ。
「リア、ナルメリア様と会った時のことをもう一度教えてくれるかい?」
「ええ、もちろんです。お父様」
あたしはもう一度、事細かにメリーと出会った時のことを話した。
……と言っても、大切なブローチを落として泣いていたところを声かけて、一緒に探して無事に見つかったというなんてことない話なんだけど、両親は真剣に聞いている。
「そう……では本当にナルメリア様はリアとお友達になって、お礼として家に招待したいだけなんだね?」
「たぶんそうだと思います。……それ以外の理由って何かあるんでしょうか?」
「いや、魔力登録の際、リアは……その、光属性持ちということがわかったから……」
ん?光属性持ちだと、身分の高い貴族の人から何かされることがあるんだろうか?
やっと落ち着いてきた両親とあたしの元へ、今度は別の使用人が慌てて手紙を持ってきた。
……一体今日はなんなんだ??
「旦那様っ!旦那様っ!!大変ですっ!!!この、こちらの手紙をっ……」
「今度はなんだい?もう公爵家より驚くような相手なんて他には………はぁぁぁ??!!」
あれ?お父様がさっきより遥かに驚いている。今度は誰からだって言うの??
「あ、あなた……今度はどなたから……?」
お母様、顔が若干青ざめてるけど大丈夫かな?
一人だけドキドキする意味が違うあたしは、お父様から手紙を受け取ったお母様を見守る。
「……え?そんな、あっ……」
「メラニー??」
「お母様!!」
「奥様っ!!!」
手紙の差出人を見て、お母様は本当に倒れてしまった。
一体お母様をこんな目にあわせたのはどこのどいつだっ!そう思ってあたしも差出人に目を向けた。
「……エリュ、シオン」
え?……誰?
あたしは手紙の差出人が誰なのか聞きたかったけど、パニックになったお父様や倒れてしまったお母様により家令も使用人も皆大パニックだったので、誰にも聞くことができなかった。
魔力登録をした数日後、あたしのもとへ一通の手紙が届いた。
それが、我が家でこんな大騒ぎになるとは思ってもみなかった。
「旦那様っ!旦那様っ!!大変ですぞっ!!!」
その日も、いつものように家族揃って夕食を楽しんでいた。
そんな時、いつもニコニコ顔の冷静なおじいちゃんこと、お父様付きの家令セバスチャンが、今まで見たことないくらい大慌てでやってきた。
「どうしたんだ?セバス。キミがそんなに慌てるなんて……」
「旦那様、こちらを……」
「ん?……え、えぇ??!!」
お父様まで驚きだした。いったい誰からの手紙なんだ?
「セバスにあなたまで……一体どなたからのお手紙なんです?」
「……ストライナー家だよ。公爵の……」
「……え?」
「しかも、宛名はリア宛てなんだ……」
「え……えぇぇぇぇぇぇ??!!」
あたし宛?ストライナー家?まったく意味が解らない……
どうしよう、お母様までなんかすごい反応してるんだけど、なんかやっちゃったのかな、あたし……
「リア、キミ宛の手紙だけど、開けてもいいかい?」
「もちろんです、お父様!」
皆がドキドキしながら見守る中、代表してお父様が封を開けて中身を確認した。
読み終えたお父様は、一度深呼吸してからあたしやお母様に向き合った。
……そんな、心の準備が必要な内容だったのかな?
「リア……公爵家のナルメリア様と友達になったのかい?」
「公爵家?……ナル、メリア……あっ!はい。魔力登録のときにメリーとお友達になりました!」
「メリー??!!……コホン。リア、彼女は公爵家の人間で、僕達子爵家よりも遥かに高い身分の方なんだよ……」
「そう、なのですか?」
「リア……高熱が出た時の後遺症で、やはり記憶障害かなにかあるのではなくて?あの後からずいぶんと口調や行動が変わったもの……」
「!!」
ギクっ……ヤバイ。子供だから多少崩れても良いかなってあまり取り繕ってなかったかも……。
とりあえず、お母様の言ってることに合わせよう。
「申し訳ありません。特に実感はありませんでしたし、身体も問題なかったので気にしていなかったのですが……」
「良いのよ、リア。元気であることが第一だもの。わからないことはこれから学んでいけば良いわ」
「はい、お母様」
とりあえず、今回の手紙の内容はこうだ。
魔力登録のときに出会ったナルメリアが、あたしに会いたいということで、公爵家へ招待したいという内容らしい。身分的に断るなんて選択肢はこちらになく行くしかないんだけど、両親的に相手の身分が高すぎてどうして良いかわからないようだ。
お父様はお城勤めをしているけど、近衛の第三部隊の副隊長ということで、表に出るような出ないような微妙な立ち位置だったりする。
隊長さんは侯爵家の方みたいだけど、お高く留まっているわけじゃなく、一度会った時は“おっきくてクマみたいなおじさん”と懐いていた記憶があるので、あたしはちゃんとしたお貴族様とは接したことがない。
両親も社交が得意ではないため、参加必須の夜会以外はほとんど出席せず他の貴族ともあまり交流していないようだ。
「リア、ナルメリア様と会った時のことをもう一度教えてくれるかい?」
「ええ、もちろんです。お父様」
あたしはもう一度、事細かにメリーと出会った時のことを話した。
……と言っても、大切なブローチを落として泣いていたところを声かけて、一緒に探して無事に見つかったというなんてことない話なんだけど、両親は真剣に聞いている。
「そう……では本当にナルメリア様はリアとお友達になって、お礼として家に招待したいだけなんだね?」
「たぶんそうだと思います。……それ以外の理由って何かあるんでしょうか?」
「いや、魔力登録の際、リアは……その、光属性持ちということがわかったから……」
ん?光属性持ちだと、身分の高い貴族の人から何かされることがあるんだろうか?
やっと落ち着いてきた両親とあたしの元へ、今度は別の使用人が慌てて手紙を持ってきた。
……一体今日はなんなんだ??
「旦那様っ!旦那様っ!!大変ですっ!!!この、こちらの手紙をっ……」
「今度はなんだい?もう公爵家より驚くような相手なんて他には………はぁぁぁ??!!」
あれ?お父様がさっきより遥かに驚いている。今度は誰からだって言うの??
「あ、あなた……今度はどなたから……?」
お母様、顔が若干青ざめてるけど大丈夫かな?
一人だけドキドキする意味が違うあたしは、お父様から手紙を受け取ったお母様を見守る。
「……え?そんな、あっ……」
「メラニー??」
「お母様!!」
「奥様っ!!!」
手紙の差出人を見て、お母様は本当に倒れてしまった。
一体お母様をこんな目にあわせたのはどこのどいつだっ!そう思ってあたしも差出人に目を向けた。
「……エリュ、シオン」
え?……誰?
あたしは手紙の差出人が誰なのか聞きたかったけど、パニックになったお父様や倒れてしまったお母様により家令も使用人も皆大パニックだったので、誰にも聞くことができなかった。
1
お気に入りに追加
728
あなたにおすすめの小説
腹黒王子は、食べ頃を待っている
月密
恋愛
侯爵令嬢のアリシア・ヴェルネがまだ五歳の時、自国の王太子であるリーンハルトと出会った。そしてその僅か一秒後ーー彼から跪かれ結婚を申し込まれる。幼いアリシアは思わず頷いてしまい、それから十三年間彼からの溺愛ならぬ執愛が止まらない。「ハンカチを拾って頂いただけなんです!」それなのに浮気だと言われてしまいーー「悪い子にはお仕置きをしないとね」また今日も彼から淫らなお仕置きをされてーー……。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
早稲 アカ
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~
一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、
快楽漬けの日々を過ごすことになる!
そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
義兄様に弄ばれる私は溺愛され、その愛に堕ちる
一ノ瀬 彩音
恋愛
国王である義兄様に弄ばれる悪役令嬢の私は彼に溺れていく。
そして彼から与えられる快楽と愛情で心も身体も満たされていく……。
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
【R18】殿下!そこは舐めてイイところじゃありません! 〜悪役令嬢に転生したけど元潔癖症の王子に溺愛されてます〜
茅野ガク
恋愛
予想外に起きたイベントでなんとか王太子を救おうとしたら、彼に執着されることになった悪役令嬢の話。
☆他サイトにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる