上 下
9 / 27

9.凜との関係が続いている!

しおりを挟む
6時少し前に店に電話を入れる。先週末に野坂さんと行った時の二人の会話が少し気になっていた。

「スナック凜です」

「磯村だけど、今日、行ってもいいかな?」

「どうぞ、いらして下さい。待っています」

「じゃあ、いつもの時間くらいに行きます」

凜の弾んだ声が聞こえた。凜も会うのを楽しみにしてくれているのが分かった。なんとなくほっとして浮き浮きする。

夕方から雨が降り出していた。いやな雨だ。会社で時間をつぶした。来週早々にプロジェクトの会議を設定していたので、その準備をした。それから遅めの夕食を会社の近くのレストランで食べた。

でも間が持たない。店を訪ねるには早すぎるが、行って待たせてもらうことにした。10時過ぎに店についた。幸い店には客がいない時だった。

「早かったんですね」

「どこかで時間をつぶそうと思ったけど、この雨だから、ここでつぶさせてもらうよ」

「いいですけど、今なら上へ上がって待っていてください。シャワーでも浴びていてください」

「じゃあ、そうさせてもらうよ」

「11時までは店を開けておきたいので、すみません」

「いや、気にしないで。のんびり待たせてもらうから」

僕はお客が来ないうちにすぐに階段を上がった。凜のにおいがするいつもの凜の部屋だ。

11時まで店を開けるといっていたが、お客さんは来なかったみたいだった。11時なるとすぐに部屋に上がってきた。僕は座ってベッドに寄りかかってテレビを見ている。

「ごめんなさい、お待たせして」

「こちらこそ悪かったね、早く来てしまって。ゆっくりさせてもらった」

「シャワーは?」

「まだ、一緒に浴びようと思って」

「それじゃあ、一緒に」

二人でシャワーを浴びる。熱いお湯をたっぷり浴びる。凜は髪を洗っていた。上がってから、バスタオルを身体に巻いたまま、二人はベッドに腰かけて水割りで喉を潤した。

喉が潤ったら、さっそく愛し合う。夜は長い、特に雨降りのこんな夜は二人でないと寂しさが募る。

**************************************
凜は背中を向けて横になっていて、僕は後ろから彼女を包むように抱いている。久しぶりだったので二人ともその余韻を楽しんでいる。抱いている凜の身体が温かくて心地よい。凜は静かに僕の回復を待っている。もう少し時間が必要だ。

「雨の日は雨音を一人で聞いて眠るのが寂しくて、来てくれて嬉しかった」

「そう言ってくれると来たかいがある」

「いつまで来てくれるつもり?」

「分からないけど、君がどこかへ行ってしまわない限りはね」

「じゃあ、そのときまで来てくださいね」

「ああ、約束する」

頃合いを見て凜が寝返って僕に抱きついてくる。僕はもう回復している。今度は凜が積極的に愛してくれる番だ。このごろは彼女のしたいようにさせている。その方が楽しいからだ。凜が疲れ果てると抱き合って眠りに落ちる。

明け方、まだ雨音がしている。僕は凜を揺り起こしてまた愛し始める。凜はすぐに応えてくれる。それから二人はまた眠る。

明るさで目が覚めたのはお昼前で、もう雨はすっかり上がっていた。気だるい満足感が身体を包んでいる。

凜が先に起きてシャワーを浴びに行った。それから昼食にサンドイッチを作るという。僕はそれを横目で見ながらシャワーを浴びにバスルームへ入った。それから身支度をする。

「冷たいミルクでサンドイッチが食べたかったから」

「確かにそんな気分だね、いただきます」

食べ終わると、僕はいつものようにお礼を凜に手渡して帰って行く。凜が名残を惜しんで抱きついてくるので、お別れのキスをする。また、しばらくのお別れだ。

凜はいつも穏やかで落ち着いている。僕という特定の相手と愛し合うことができているからだろうか? このような生活に満足しているのだろうか?

僕も凜という特定の相手ができて仕事にも生活にも張り合いができてきた。欲望とストレスの発散ができているからかもしれない。このような生活がずっと続けばいいと思うようになってきている。そして、今が一番いい時かもしれないと思い始めている。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

友情結婚してみたら溺愛されてる件

鳴宮鶉子
恋愛
幼馴染で元カレの彼と友情結婚したら、溺愛されてる?

優しい微笑をください~上司の誤解をとく方法

栗原さとみ
恋愛
仕事のできる上司に、誤解され嫌われている私。どうやら会長の愛人でコネ入社だと思われているらしい…。その上浮気っぽいと思われているようで。上司はイケメンだし、仕事ぶりは素敵過ぎて、片想いを拗らせていくばかり。甘々オフィスラブ、王道のほっこり系恋愛話。

冷血弁護士と契約結婚したら、極上の溺愛を注がれています

朱音ゆうひ
恋愛
恋人に浮気された果絵は、弁護士・颯斗に契約結婚を持ちかけられる。 颯斗は美男子で超ハイスペックだが、冷血弁護士と呼ばれている。 結婚してみると超一方的な溺愛が始まり…… 「俺は君のことを愛すが、愛されなくても構わない」 冷血サイコパス弁護士x健気ワーキング大人女子が契約結婚を元に両片想いになり、最終的に両想いになるストーリーです。 別サイトにも投稿しています(https://www.berrys-cafe.jp/book/n1726839)

十年越しの溺愛は、指先に甘い星を降らす

和泉杏咲
恋愛
私は、もうすぐ結婚をする。 職場で知り合った上司とのスピード婚。 ワケアリなので結婚式はナシ。 けれど、指輪だけは買おうと2人で決めた。 物が手に入りさえすれば、どこでもよかったのに。 どうして私達は、あの店に入ってしまったのだろう。 その店の名前は「Bella stella(ベラ ステラ)」 春の空色の壁の小さなお店にいたのは、私がずっと忘れられない人だった。 「君が、そんな結婚をするなんて、俺がこのまま許せると思う?」 お願い。 今、そんなことを言わないで。 決心が鈍ってしまうから。 私の人生は、あの人に捧げると決めてしまったのだから。 ⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒* ゚*。*⌒*。*゚ 東雲美空(28) 会社員 × 如月理玖(28) 有名ジュエリー作家 ⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒* ゚*。*⌒*。*゚

捨てる旦那あれば拾うホテル王あり~身籠もったら幸せが待っていました~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「僕は絶対に、君をものにしてみせる」 挙式と新婚旅行を兼ねて訪れたハワイ。 まさか、その地に降り立った途端、 「オレ、この人と結婚するから!」 と心変わりした旦那から捨てられるとは思わない。 ホテルも追い出されビーチで途方に暮れていたら、 親切な日本人男性が声をかけてくれた。 彼は私の事情を聞き、 私のハワイでの思い出を最高のものに変えてくれた。 最後の夜。 別れた彼との思い出はここに置いていきたくて彼に抱いてもらった。 日本に帰って心機一転、やっていくんだと思ったんだけど……。 ハワイの彼の子を身籠もりました。 初見李依(27) 寝具メーカー事務 頑張り屋の努力家 人に頼らず自分だけでなんとかしようとする癖がある 自分より人の幸せを願うような人 × 和家悠将(36) ハイシェラントホテルグループ オーナー 押しが強くて俺様というより帝王 しかし気遣い上手で相手のことをよく考える 狙った獲物は逃がさない、ヤンデレ気味 身籠もったから愛されるのは、ありですか……?

元カノと復縁する方法

なとみ
恋愛
「別れよっか」 同棲して1年ちょっとの榛名旭(はるな あさひ)に、ある日別れを告げられた無自覚男の瀬戸口颯(せとぐち そう)。 会社の同僚でもある二人の付き合いは、突然終わりを迎える。 自分の気持ちを振り返りながら、復縁に向けて頑張るお話。 表紙はまるぶち銀河様からの頂き物です。素敵です!

セカンドラブ ー30歳目前に初めての彼が7年ぶりに現れてあの時よりちゃんと抱いてやるって⁉ 【完結】

remo
恋愛
橘 あおい、30歳目前。 干からびた生活が長すぎて、化石になりそう。このまま一生1人で生きていくのかな。 と思っていたら、 初めての相手に再会した。 柚木 紘弥。 忘れられない、初めての1度だけの彼。 【完結】ありがとうございました‼

溺愛ダーリンと逆シークレットベビー

葉月とに
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。 立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。 優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?

処理中です...