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第一章 戦女神降臨
第十九話 エラの前世Ⅳ
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「後、どれくらいもつの?」
そんなことを問えば、睨まれてしまった。どうやら彼を怒らせたようで、一言も口をきこうとしない。もう、怒ることないじゃない。あなたの役に立とうとしただけなのに。
結局、取り除かれてしまった。
取り除かなくったって、組織の連中に殺されるんだから、大した違いはないのに。むしろ切り札がなくなって、役立たずに逆戻りだわ。
「ねぇ、あなた本当に合成種なの?」
どうしてもそんな風に見えなくて……。
「聖光騎士団が言うような人間には全然見えないわ。確かに強いけど……凶暴で邪悪って言ったって、あなたには全然あてはまらない言葉じゃない」
むしろ優しすぎるくらいよ。これで邪悪って……。聖光騎士団の連中の方がおかしく思えるわ。あいつらのやり方だって、褒められたものじゃない。赤ん坊でも容赦なく殺すんだもの。
「……魔人の血が狂気を生むからそう見えるんだろう」
サイラスはそう言って、詳しく教えてくれた。
魔人の血がもたらす狂気がどのようなものなのか。
合成種達は生き物を殺したいという衝動が定期的に襲ってくるので、それを宥めるために贄が必要だという。人を害しないため、自分が美しいと感じる生き物を殺すのだとか。それが一時的に殺戮衝動を宥め、心を平和にしてくれる、らしい。
「美しいと感じる?」
私が首を捻ると、
「自分が好むものを贄にする方が、より効果的なんだ。贄にしなければならない動物の数がぐっと減る。だから自分が可愛がっていたペットを殺す場合もある。そしてそれに無類の喜びを感じると同時に、その行為は痛烈な痛みをもたらす」
「痛み……」
「魔人の血が狂喜し、人の心が悲鳴を上げる。多分、そんなところだろう。けれど、人々の目に映るのは、殺戮に狂喜する我々の姿だけ。心の葛藤など知りようがない。だから狂人だと言われる」
「つまり、殺戮を喜んでいるように見えるってこと?」
「そうだ」
「けれど本当は悲しい?」
「ああ、それを信じる者はごく少数だが。我々を人間だと思ってくれる者は少ない」
確かにね。合成種は魔人だと、誰もがそう言うもの。私もそう思っていたわ。今の今までは。でも、今では違うと分かる。
サイラスはゆっくり休むようにと言い残し部屋を出て行った。また仕事をしにいったんだと分かる。本当に彼は一体いつ休んでいるんだろう?
体がある程度楽になると、どうしてもじっとしていられない。
何か手伝えることはないかと、処務室にこっそり忍び込んでみるも、無駄に終わった。文字は読めるけれど、内容がさっぱり頭に入ってこない。判子を勝手に押す、なんて訳にもいかない。へたをすれば、手伝うどころか彼の邪魔をしてしまう。
他に何か出来ることはないかと探し回り、ふと、赤ん坊の泣き声に引きつけられた。
過去の記憶が蘇り、懐かしさに目を細める。
ああ、あの子は今、どうしているのだろう。命を狙われて、こっそり逃がしてあげたけれど、その先は分からない。泣いている赤ん坊をあやすも、人がこちらへやって来る気配を感じ、慌てて窓から外へ出る。
「子供が好きなのか?」
サイラスがある時そう言った。どうやらこっそり赤ん坊をあやしていたところを見られたようである。ほんっと油断がならない。
「……わたしを見張っているの?」
「見張ってはいない。ただ、目に付くんだ」
「周囲には誰もいなかったわ」
「魔道士はいろんな場所を見通せる」
「やっぱり見張っているんじゃない」
「見ていたいんだ。不快ならやめる」
ものすごく淋しそうに言われ、口を閉じる。
もう、これでどうして駄目だなんて言えるのよ? 本当に彼の顔は反則だわ。こっちがとてつもなく悪いことをした気にさせられてしまう。
「何か手伝えることはある?」
「なら、この書類に押印して欲しい」
自分にも出来ることがあることが嬉しくて、書類の束を手に、いそいそと机に向かう。夢中で判を押していた為、日が傾いたことにも気がつかなかった。食事に行こうと誘い出され、はたと気がつく。
何故自分は、当然のようにこうして彼の隣にいるのだろう、と。
怪我をしたあの日から、何だかんだと居座ってしまい、その上、私がこうして彼の周囲をうろついても誰も何も言わない。侍女や兵士までもが、私に向かって挨拶をする始末で……彼の指示なんだろうけれど、断然変よ。何故こうなったのかしら?
「どうした?」
足を止めた自分をサイラスが見やる。
「その……私はあなたの友人でも何でもないし(むしろその逆よね)、怪我も治ったみたいだから、そろそろこの辺で……」
ああ、もう! だから、何でそんな顔をするのよ?
「組織の連中が私を始末しにやってくるのよ! 私の死体を見るまでは、絶対あきらめたりしないわ! そんなのをあなた、ずっと相手にするつもり?」
「なら、お前の死体も用意してやる」
「私の?」
「そうだ。私は自分の死を偽装してここを出る。ついでにお前の死も偽装してやろう」
そこではっとなった。そうだ、彼はここを出ると言っていたっけ……。
「……本当に行ってしまうの? 暁の塔ってところに?」
「ああ」
もっとずっと先だと思っていた現実を突きつけられ、なんだか落ち込んでしまう。もう少し、もう少しだけ、彼の仕事を手伝いたかった……。
だってここは夢の国だもの。
誰もが夢見る憧れの……。
サイラスの手が私の髪に伸びた。慈しむように頬に触れる感触が、何とも言えず心地よくて、うっとりと目を細めてしまう。どうしてだろう? いつのまにか、いつのまにか嫌じゃなくなってる。男なんか嫌いな筈なのに、どうして……。
「お前に付いてきて欲しいが……」
サイラスの声で、はっと夢から覚めたように、ぷいっとそっぽを向く。
「私は行かないわ」
意固地になっていると自分でも分かるが、どうしようもない。彼の姿が立派すぎて……どうしても二の足を踏んでしまう。
「どうしても駄目、か?」
「あなたは綺麗過ぎるのよ。私みたいな女は、あなたにはふさわしくないわ。もっと高貴な……それこそ聖女みたいな女が、あなたには似合うのよ」
やっとの思いで、自分の心を偽ってまで、そう告げたのに……。
その時目にした彼の表情は何と言えばいいのだろう、落胆したような、そんな感じで、さらにうろたえた。そんなにおかしな事は言っていないつもりだけれど……。
「魔人の血の狂気がどのようなものか、理解は出来なかったか……」
「え?」
「だとしたら、確かに連れて行かぬ方がいいのかもしれぬな」
身を翻したサイラスの背を自分は追えなくて……。
結局そのまま見送った。
魔人の血の狂気……。見たことがないからよく分からない。殺戮に狂喜するって言われても、今の彼からは想像も出来ないし……。優しくて勇敢な人格者だもの。
だったら見てみればいい。
そう、もう一人の自分が囁く。
大体彼の顔はいつだって反則なのよ。何で、私がこんなに悩まなくちゃならないの? そんな文句が胸の内から漏れる。
そもそも、私のどこを気に入ったっていうのよ? 貴族の女の華やかさなんか一つも無いわ。裏社会に生きてきたから、何をしても暗い影がつきまとう。明るい日の光の中を歩いたって、みっともないだけよ。
彼とは全然……違うと言おうとして、ふと気がつく。彼も冷徹な部分がないわけじゃないと。自分の周囲にいた連中と相通ずる部分もあったような気がする。闇に生きる者の一部を、サイラスも持っているって事だろうか?
あのサイラスが?
自分に向けられる眼差しが温かすぎて、見過ごしていたのかもしれない。
立ち上がり、私は急ぎサイラスの姿を探した。
そんなことを問えば、睨まれてしまった。どうやら彼を怒らせたようで、一言も口をきこうとしない。もう、怒ることないじゃない。あなたの役に立とうとしただけなのに。
結局、取り除かれてしまった。
取り除かなくったって、組織の連中に殺されるんだから、大した違いはないのに。むしろ切り札がなくなって、役立たずに逆戻りだわ。
「ねぇ、あなた本当に合成種なの?」
どうしてもそんな風に見えなくて……。
「聖光騎士団が言うような人間には全然見えないわ。確かに強いけど……凶暴で邪悪って言ったって、あなたには全然あてはまらない言葉じゃない」
むしろ優しすぎるくらいよ。これで邪悪って……。聖光騎士団の連中の方がおかしく思えるわ。あいつらのやり方だって、褒められたものじゃない。赤ん坊でも容赦なく殺すんだもの。
「……魔人の血が狂気を生むからそう見えるんだろう」
サイラスはそう言って、詳しく教えてくれた。
魔人の血がもたらす狂気がどのようなものなのか。
合成種達は生き物を殺したいという衝動が定期的に襲ってくるので、それを宥めるために贄が必要だという。人を害しないため、自分が美しいと感じる生き物を殺すのだとか。それが一時的に殺戮衝動を宥め、心を平和にしてくれる、らしい。
「美しいと感じる?」
私が首を捻ると、
「自分が好むものを贄にする方が、より効果的なんだ。贄にしなければならない動物の数がぐっと減る。だから自分が可愛がっていたペットを殺す場合もある。そしてそれに無類の喜びを感じると同時に、その行為は痛烈な痛みをもたらす」
「痛み……」
「魔人の血が狂喜し、人の心が悲鳴を上げる。多分、そんなところだろう。けれど、人々の目に映るのは、殺戮に狂喜する我々の姿だけ。心の葛藤など知りようがない。だから狂人だと言われる」
「つまり、殺戮を喜んでいるように見えるってこと?」
「そうだ」
「けれど本当は悲しい?」
「ああ、それを信じる者はごく少数だが。我々を人間だと思ってくれる者は少ない」
確かにね。合成種は魔人だと、誰もがそう言うもの。私もそう思っていたわ。今の今までは。でも、今では違うと分かる。
サイラスはゆっくり休むようにと言い残し部屋を出て行った。また仕事をしにいったんだと分かる。本当に彼は一体いつ休んでいるんだろう?
体がある程度楽になると、どうしてもじっとしていられない。
何か手伝えることはないかと、処務室にこっそり忍び込んでみるも、無駄に終わった。文字は読めるけれど、内容がさっぱり頭に入ってこない。判子を勝手に押す、なんて訳にもいかない。へたをすれば、手伝うどころか彼の邪魔をしてしまう。
他に何か出来ることはないかと探し回り、ふと、赤ん坊の泣き声に引きつけられた。
過去の記憶が蘇り、懐かしさに目を細める。
ああ、あの子は今、どうしているのだろう。命を狙われて、こっそり逃がしてあげたけれど、その先は分からない。泣いている赤ん坊をあやすも、人がこちらへやって来る気配を感じ、慌てて窓から外へ出る。
「子供が好きなのか?」
サイラスがある時そう言った。どうやらこっそり赤ん坊をあやしていたところを見られたようである。ほんっと油断がならない。
「……わたしを見張っているの?」
「見張ってはいない。ただ、目に付くんだ」
「周囲には誰もいなかったわ」
「魔道士はいろんな場所を見通せる」
「やっぱり見張っているんじゃない」
「見ていたいんだ。不快ならやめる」
ものすごく淋しそうに言われ、口を閉じる。
もう、これでどうして駄目だなんて言えるのよ? 本当に彼の顔は反則だわ。こっちがとてつもなく悪いことをした気にさせられてしまう。
「何か手伝えることはある?」
「なら、この書類に押印して欲しい」
自分にも出来ることがあることが嬉しくて、書類の束を手に、いそいそと机に向かう。夢中で判を押していた為、日が傾いたことにも気がつかなかった。食事に行こうと誘い出され、はたと気がつく。
何故自分は、当然のようにこうして彼の隣にいるのだろう、と。
怪我をしたあの日から、何だかんだと居座ってしまい、その上、私がこうして彼の周囲をうろついても誰も何も言わない。侍女や兵士までもが、私に向かって挨拶をする始末で……彼の指示なんだろうけれど、断然変よ。何故こうなったのかしら?
「どうした?」
足を止めた自分をサイラスが見やる。
「その……私はあなたの友人でも何でもないし(むしろその逆よね)、怪我も治ったみたいだから、そろそろこの辺で……」
ああ、もう! だから、何でそんな顔をするのよ?
「組織の連中が私を始末しにやってくるのよ! 私の死体を見るまでは、絶対あきらめたりしないわ! そんなのをあなた、ずっと相手にするつもり?」
「なら、お前の死体も用意してやる」
「私の?」
「そうだ。私は自分の死を偽装してここを出る。ついでにお前の死も偽装してやろう」
そこではっとなった。そうだ、彼はここを出ると言っていたっけ……。
「……本当に行ってしまうの? 暁の塔ってところに?」
「ああ」
もっとずっと先だと思っていた現実を突きつけられ、なんだか落ち込んでしまう。もう少し、もう少しだけ、彼の仕事を手伝いたかった……。
だってここは夢の国だもの。
誰もが夢見る憧れの……。
サイラスの手が私の髪に伸びた。慈しむように頬に触れる感触が、何とも言えず心地よくて、うっとりと目を細めてしまう。どうしてだろう? いつのまにか、いつのまにか嫌じゃなくなってる。男なんか嫌いな筈なのに、どうして……。
「お前に付いてきて欲しいが……」
サイラスの声で、はっと夢から覚めたように、ぷいっとそっぽを向く。
「私は行かないわ」
意固地になっていると自分でも分かるが、どうしようもない。彼の姿が立派すぎて……どうしても二の足を踏んでしまう。
「どうしても駄目、か?」
「あなたは綺麗過ぎるのよ。私みたいな女は、あなたにはふさわしくないわ。もっと高貴な……それこそ聖女みたいな女が、あなたには似合うのよ」
やっとの思いで、自分の心を偽ってまで、そう告げたのに……。
その時目にした彼の表情は何と言えばいいのだろう、落胆したような、そんな感じで、さらにうろたえた。そんなにおかしな事は言っていないつもりだけれど……。
「魔人の血の狂気がどのようなものか、理解は出来なかったか……」
「え?」
「だとしたら、確かに連れて行かぬ方がいいのかもしれぬな」
身を翻したサイラスの背を自分は追えなくて……。
結局そのまま見送った。
魔人の血の狂気……。見たことがないからよく分からない。殺戮に狂喜するって言われても、今の彼からは想像も出来ないし……。優しくて勇敢な人格者だもの。
だったら見てみればいい。
そう、もう一人の自分が囁く。
大体彼の顔はいつだって反則なのよ。何で、私がこんなに悩まなくちゃならないの? そんな文句が胸の内から漏れる。
そもそも、私のどこを気に入ったっていうのよ? 貴族の女の華やかさなんか一つも無いわ。裏社会に生きてきたから、何をしても暗い影がつきまとう。明るい日の光の中を歩いたって、みっともないだけよ。
彼とは全然……違うと言おうとして、ふと気がつく。彼も冷徹な部分がないわけじゃないと。自分の周囲にいた連中と相通ずる部分もあったような気がする。闇に生きる者の一部を、サイラスも持っているって事だろうか?
あのサイラスが?
自分に向けられる眼差しが温かすぎて、見過ごしていたのかもしれない。
立ち上がり、私は急ぎサイラスの姿を探した。
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