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第5章

半ば 続

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「侵入者だと!?」

 暗殺者アサシンの達の指揮官である40代後半である体格の良い少尉が怒鳴った。
 それもそうであろう、表玄関から堂々と侵入され、制圧され続けられており、この部屋も制圧されるのは時間の問題である。

「とっ、逃走ルートにオーガがいて逃げれません!」
「他のルートは!?」

 逃げれない事でどうしたらいいかわからず、パニックになって半泣きの部下が必死に伝えると指揮官である少尉は、近くに立っていた見ていた建物の見取り図の近くに部下を呼んだ。

「このルートか?」
「いっ、いえ一個のルートではなく全ルートにオーガがいるのです!」
「なっ!」

 部下から逃げ道が完全に塞がれた事を知ると、指揮官である少尉は、"ダイナマイト"と書かれた赤い細長い棒を取りに奥の部屋にフラフラと入った。
……、………、…………


  ~ 30分前 ~
 エリザベス達はコーヒーを飲んでいたケロベロスと合流すると、作戦を練っていた。

「これから突入するけど、堂々と敵の玄関から入りましょう」
「裏口の扉は恐らく警報がなる様に細工してあるでしょうからね……」
「今さっき戦闘魔法感知魔法バトルマジックソナーマジックをしてたけど、人にも掛けてるらしくてどの部屋にいるかが、わかったけど掛けてる魔法がね……」
「何を掛けてるんです?」

 全員がエリザベスを見ると、言葉に出さずともちょっと面倒な事になったと顔に出ていた為不安になった。

腐食魔法アンデットスキルなんだよ……」
「ッ!?」

 腐食魔法とは、いったん死んでも生き返り、殺した者を殺そうとする魔法である。この魔法は生前に掛ける事も出来るが、頭を撃たれると発動しない。
 また、発動した後に頭以外に攻撃を受けると防御力が高まる。

「それはかなり厄介ですね……」
「だから殺さずに気絶してもらう作戦で行こうと思う」
「でも、現在持っているライフルの弾では……」
「それは大丈夫だよ」

 そう言うとエリザベスは訳のわからない呪文を言うと黒い霧で覆われた魔方陣から、5発の弾丸が先端部が平たくゴムらしき物で出来た殺傷能力が低い実弾を各自に6クリップセットの30発を与えた。しかし、いくら殺傷能力が低いとしても多少のケガを負わす物には変わらない。
 そして、エリザベスは不思議そうに見る彼女達を3人1組のチームを作った。

「これは?」
「殺傷能力の低い弾丸を撃ち出す為の魔方陣が1発ずつ込められてるから音は静かだけど、打った反動は変わらないから甘く見ないでね……」

 ナユミが部下達の不安に気遣い、エリザベスに聞いた。

「それはわかりましたが、私が質問したのはこの編成ですよ……」
「今回は各部屋が音が反響しやすいから同時突入しないといけないからだよ」
「了解」

 そう言うとエリザベス達は、音をしないように気を付けながらも堂々と正面玄関から入り、玄関を支点に突入する班を仕向けた。

『ココに1チーム置くけど、ナユミ達2チームは1階のここから右2部屋に4人ずつ雑談してるから始末しといて』
『『『了解コピー』』』
『後は私に付いてきて』

 エリザベス達は意志疎通魔法エンパスを使っている。
 この魔法はエリザベスことが生きていた世界では、無線機と呼ばれる物に似た類いたぐである。
 違う点は発動者は全員で送りたい相手だけに送ったりするのが意思の切り替えで出来、伝えないと思えばすぐに伝えられる事である。
 各国の軍隊はこの技術を使った無線機が出来たらチャンネル合わせ等をしないで済む為、喉から手が出る程欲しいだろう……

「………でよ、少尉殿に無断でコッソリとここ抜き出してあのバケモノエルフの店で女と酒を頼んで楽しく遊んだのさぁ」
「お前よくそんな事出来たなぁ……で? どうだった?」
「少尉殿には見事帰ってくる時にバレ……」
「そこじゃ………」

 エリザベス2階の突入チームは2人がそれぞれの武器を手入れしながら雑談している部屋だけであったが、腐食魔法が掛かってなかったらエリザベスは確実に殺してやりたいと思った。

『何か不備とかない?』
『ありません』
『ナユミ達は?』
『こちらもありません』

 突入する前に弾がちゃんと発砲出来るか、玄関前でも確認したが念には念をと確認し直した。
 1階の突入チームと2階の突入チームはそれぞれ突入する部屋のドアの縁側ふちがわに号令が掛かるまで待機した。

『突入』

 エリザベスがそう言うと、一階の突入チームと同時に閃光発音筒を投げ入れた。
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