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第十二話 彼の歴史

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上から水をかけるという考えが星野の心から湧いてきた。小さいバケツを持って水道に行く。水が満タンになる。
よし!と言い、星野は山へいる。
ボン!ビシャ~
バケツが地面に落ち、水が全部出てきている。
4人の小学生が山を蹴って破壊しているのだ。
「やめて!!!」
泣き叫びながら星野は小学生を叩く。それを見て小学生達は笑い、さらに山を蹴りその場を離れた。幼稚園児の星野は彼らに追いつくことさえできなかった。
「どうして?」
ズボンが溢れたバケツの水で濡れてしまい,砂が大量についている。
家へ戻った。全てを母に話した。味方になってくれると思った俺がバカだった・・・
「どうしてそんなことでなくの?汚い・・・みっともないわね」
そう言いながら母は星野の服を着替えさせた。ベットに横たわっても泣き続けた。誰もが敵だと思えた。
まだ幼稚園児の星野にできることは何もなかった。
小学生になると彼はあることを考え始める
「被害者は辛い、ならば加害者になればいいのだ」
そう言い、彼は小さいことの自分と同じように砂浜での子供の作品を次々と壊した。それでも物足りず、公園の遊具に大量の砂をかけて笑った。
しかし、彼がやったことはバレて、学校で仲間外れされるようになった。家では母の愚痴を聞くし、何かあったとき真っ先に星野を責める。
星野の精神状態は最悪だった。中学生になり、彼は全てをやり直そうと思い、インキャになることを決意する。近視でもないのにメガネをかけた。本を購入し、休み時間は読み続けた。その甲斐もあり、勉強は意外とできた。狙ってた高校に行くことにも成功。
そして、高校生になった彼は毎日パチンコ三昧の母から離れた。仕送りも、会うつもりももうない。父はいつも出張で帰ってくることは滅多にない。
「あいつがどうなろうと俺は知らねえし、知りたくもない」
自分の所持品で金になりそうなものは全部売った。そして、『ファ〇ク』と書かれた手紙を残して、星野は激安で激狭のマンションに住んだ。初めて、手に入れた自由だったのだ。
バイトと高校の日々で疲れていたが、今までの自分が全て悪いのような感覚から抜け出せて身軽になったような気分だった。
そして、良い大学にも行くことができて、そこそこいい会社にスカウトされて、人生は完全にイージーモードになった。まるで小さい頃のことが全て嘘のような感じがした。
目が覚めた。
「夢か?」
星野の目の前にはかつてないほどの広い草原と、その中を流れる渓流がある。
彼はこの救いようのない時代で生きていくしかない。
はあ、とため息をついた星野は起き上がり、渓流の水で体を洗った。この時代に来て初めての風呂だが、暖かい水はない。体に当たるのは冷たくてひんやりした水、それほど深い渓流ではなく澄んでいたため川底は見える。
渓流の隣にテントを建てた。
「死ぬのは諦めた・・・これからは、ここに定住だ!」
to be continued···
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