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第四十九話 後悔
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アングレは少し離れた場所で見守っていた。
崩れ落ちた壁、燃えたあとが残る黒く炭化した木材…そして、彼女が瓦礫の中で見つけたのはひどく汚れた自分の高校の制服とベッドなどの生活用品。
瓦礫の近くに備えられた花が全てを物語った。
彼女は思った。
自分は他人を救おうとして、自分の一番救うべきだった人を救えなかった。
そして、壊れたベッドに彼女は腰をかけた。
いつもは空気の読めないアングレだが、今回だけは何をすべきからわかった。
彼はゆっくりアメリアに近づき、後ろからハグしてあげた。
アメリアは振り返り、アングレの胸の中で大泣きした。
~1日後~
アメリアとアングレは役所に行き、母の行方を聞いた。近くの病院の死体安置所にあると聞かされて、二人はそこへ向かった。
ちなみに、アメリアはまだ軍服を脱いでおらず、大きなコートとマフラーで隠しているだけだった。
そして、病院に着いた二人はカウンターの受付に状況を説明し、一人の医師の付き添いで死体安置所へと向かった。
その医師は紙が挟まったボードを持っていて、アメリアから話を聞いた。
「本当に見ますか?」
「はい」
「しかし、我々のところに運ばれた時点でかなり…」
「つい最近まで戦場にいたので、そういうのは慣れてます」
「あっ、すみません」
「大丈夫です」
医師は死体をケースから引き出した。
そこには身体中が火傷に見舞われ、傷だらけのヤメリアいた。
「…母です」
「そうですか、ではこれから死亡調査票を書くので一緒に来てもらえますか?」
「はい」
それから1時間、アメリアは医師にいろいろ聞かれていた。その後、病院でのボランティアにも参加した。
夕方となった。
病院のゲート前でアングレはずっとアメリアを待っていた。彼は人へ無償で何かをしてあげることに興味などなかったのだ。
「大丈夫?」
アングレは心配そうにアメリアを見つめた。
「うん、心配しないで」
二人はどうすればいいのかわからなかった。
もう、二人共世界での自分の居場所を無くししまったのだ。
to be continued…
崩れ落ちた壁、燃えたあとが残る黒く炭化した木材…そして、彼女が瓦礫の中で見つけたのはひどく汚れた自分の高校の制服とベッドなどの生活用品。
瓦礫の近くに備えられた花が全てを物語った。
彼女は思った。
自分は他人を救おうとして、自分の一番救うべきだった人を救えなかった。
そして、壊れたベッドに彼女は腰をかけた。
いつもは空気の読めないアングレだが、今回だけは何をすべきからわかった。
彼はゆっくりアメリアに近づき、後ろからハグしてあげた。
アメリアは振り返り、アングレの胸の中で大泣きした。
~1日後~
アメリアとアングレは役所に行き、母の行方を聞いた。近くの病院の死体安置所にあると聞かされて、二人はそこへ向かった。
ちなみに、アメリアはまだ軍服を脱いでおらず、大きなコートとマフラーで隠しているだけだった。
そして、病院に着いた二人はカウンターの受付に状況を説明し、一人の医師の付き添いで死体安置所へと向かった。
その医師は紙が挟まったボードを持っていて、アメリアから話を聞いた。
「本当に見ますか?」
「はい」
「しかし、我々のところに運ばれた時点でかなり…」
「つい最近まで戦場にいたので、そういうのは慣れてます」
「あっ、すみません」
「大丈夫です」
医師は死体をケースから引き出した。
そこには身体中が火傷に見舞われ、傷だらけのヤメリアいた。
「…母です」
「そうですか、ではこれから死亡調査票を書くので一緒に来てもらえますか?」
「はい」
それから1時間、アメリアは医師にいろいろ聞かれていた。その後、病院でのボランティアにも参加した。
夕方となった。
病院のゲート前でアングレはずっとアメリアを待っていた。彼は人へ無償で何かをしてあげることに興味などなかったのだ。
「大丈夫?」
アングレは心配そうにアメリアを見つめた。
「うん、心配しないで」
二人はどうすればいいのかわからなかった。
もう、二人共世界での自分の居場所を無くししまったのだ。
to be continued…
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