戦場の女神

第二十一話 大使館3

「クソが！」
ジャックが罵った。肩の関節が一瞬外れた。すぐ戻ったがクソ痛い。
「(何本か骨が逝っちまったかもな）」
ジャックは右肩を押さえながら、大使館の玄関に入ろうとした。民衆の喚き声がさらに大きなった。
だが彼らが何を言っているかジャックにわからない。
残念だが、玄関のドアには鍵が掛かっていた。
ジャックは何度もドアを蹴りやぶろうとしたが、大使館のドアだ。簡単には開かない。
その間にも民衆はさらに声を上げ興奮していた。
「うるせえあ！」
キレたジャックは空に向けて発砲、銃声を聞いた民衆は我先にとその場を去った。
「クソが」
ドアが開いた。武装した機動部隊がMP5サブマシンガンをジャックに突きつけた。
そしてヘレニム語で
「地面に伏せろ！国際法違反だ！」
「おいおい、俺にはヘレニム語はわからないぞ！」
「ん？スタラナ人か？」
少しの会話のあと、ジャックは機動部隊と共に、大使館内部へと入った。
一つの部屋の中で、ジャックは待機を命じられた。
部屋のドアの前には、一人の武装警備員が立っていて、ジャックを監視している。
ドアがノックされる。
警備員はドアについてる穴で外を確認した後ドアを開けた。
スーツを着た一人の男がファイルを持って部屋へと入ってきた。
そして、ジャックの座ってる椅子の前に座った。
「こんにちわ、私は在ヘレ大使のブロリーです。あなたの名前は？」
「私はジャックです。スタラナ空軍第47番飛行攻撃隊小隊の副隊長です。」
「兵士でしたか？ではジャックさん、あなたがここに来れた理由を教えてください。なぜ、スタラナ兵である。あなたがヘレニム軍服を着ているのですか？」
「俺は偵察を命令され、戦闘機で偵察していたところ敵の小隊を発見し、攻撃を行ったが撃墜されて、なんとか助かり、その後捕虜になったが、ご飯は何も与えられず死にかけたため。脱走した。列車に隠れて、パンなどを食べて、この軍服も調達した。で、ここに来たわけだ。」
「銃についてはどう説明します？それとどのように牢屋を脱走し、ここまで来たのかを具体的に？」
「銃は最初から持っていたものだ。そして、脱走などは銃を使って、それで列車から降りた後、何日かここら辺で潜伏して、ここに来た。」
「あなたには怪しい点があるんですよジャックさん・・・」
「は？何を急に？」
「何日間もの潜伏、そしてヘレニム軍が身体検査を行わなかったとは考えにくい・・・だが、スパイにしてはアホすぎる。あなたはおそらく本当のスタラナ軍人でしょう。しかし、今二つの可能性があります。」
「・・・」
「あなたがヘレニム側についたか、あなたに協力者がいるがその協力者の存在は言えない。そのどちらかだろう」
ジャックの額から大粒の汗が落ちた。
ブロリージャックに近づき、耳元で囁いた。
「どうなんですか？ジャックさん？」
to be continued...