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弟に頭が上がらない
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バタン。
厠から出てきた主弓。
顔は青ざめ、頬はこけ、体はげっそりやせている。
「はあー」
肩で呼吸しつつ縁側に帰ってきた。
よろよろよろよろ。
「スピリット(もうカタカナで書こう)さんには兄妹いないの?」
「ああ、うちとは逆で姉がいるらしいぞ」
「スピリットさんが姉さんとくっついてくれれば兄さんは相手が私しかいなくなるわね?」
「ふふ、そうはいくかな?」
スピリットの家。
スピリットはソファーで寝転び、鼻くそをほじくりつつコミックスを読み、たまに大笑いした。
「ちょっとスピちゃん、洗物お母さんに頼まれてるでしょ?」
「やーだね、姉ちゃんやっといてよ」
「ちょっと、どうして私がやらなきゃいけないのよ?」
スピリットがタバコの箱を出した。
「あっ!」
「姉ちゃんの部屋の机に入ってたよ?」
「勝手に私の部屋に入ったわね?」
「お母さんにでもばらしてやろうか?」
「ううっ!」
「そんなわけで・・・」
スピリットは姉にエプロンをつけさせ、
「よろしく」
数秒後。
スピリットにつけさせられたエプロン姿で洗物をしている姉。
「やあ、がんばってる?」
スピリットが台所に入ってくる。
「何だ、ちゃんと汚れが落ちていないじゃないか。ちゃんと洗え」
皿を手にとって言う。
「ううっ」
スピリットが出て行った台所の戸をにらみつけ、
「くやしい!くやしいわ」
と叫んだ。
と、いうわけで弓の思いとは裏腹にスピリットが姉とくっつく確率はなさそうだった。
厠から出てきた主弓。
顔は青ざめ、頬はこけ、体はげっそりやせている。
「はあー」
肩で呼吸しつつ縁側に帰ってきた。
よろよろよろよろ。
「スピリット(もうカタカナで書こう)さんには兄妹いないの?」
「ああ、うちとは逆で姉がいるらしいぞ」
「スピリットさんが姉さんとくっついてくれれば兄さんは相手が私しかいなくなるわね?」
「ふふ、そうはいくかな?」
スピリットの家。
スピリットはソファーで寝転び、鼻くそをほじくりつつコミックスを読み、たまに大笑いした。
「ちょっとスピちゃん、洗物お母さんに頼まれてるでしょ?」
「やーだね、姉ちゃんやっといてよ」
「ちょっと、どうして私がやらなきゃいけないのよ?」
スピリットがタバコの箱を出した。
「あっ!」
「姉ちゃんの部屋の机に入ってたよ?」
「勝手に私の部屋に入ったわね?」
「お母さんにでもばらしてやろうか?」
「ううっ!」
「そんなわけで・・・」
スピリットは姉にエプロンをつけさせ、
「よろしく」
数秒後。
スピリットにつけさせられたエプロン姿で洗物をしている姉。
「やあ、がんばってる?」
スピリットが台所に入ってくる。
「何だ、ちゃんと汚れが落ちていないじゃないか。ちゃんと洗え」
皿を手にとって言う。
「ううっ」
スピリットが出て行った台所の戸をにらみつけ、
「くやしい!くやしいわ」
と叫んだ。
と、いうわけで弓の思いとは裏腹にスピリットが姉とくっつく確率はなさそうだった。
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