人獣逆転

人間園

　「ほう、あれが人間という生き物か」
　「変わった生物だな、二本足で立っているぞ」
　動物たちが檻の中を覗き込んでいる。
　檻の中にいるのは
　「こらあ、出さんかい。われえ！」
　「こんな狭いところに閉じ込めやがって！」
　人間だった。
　「くそう、本来なら自由に野原を駆け回っているのに」
　「動物どもめ、こんなとこじゃどこにも行けやしない」
　人間たちは檻の内側から柵をがんがんたたいて叫んだ。
　「俺たちをさらし者にしやがって」
　「俺たちゃ見世物じゃねえ、出しやがれ！」
　人間たちの必死の叫びもむなしく、動物たちは好奇の目で人間たちを見るばかりだった。
　隣には黒人、そして白人が入っている檻もある。
　「人間にもいろんな種類がいるんだな」
　「まあ肌の色だけだけど」
　動物たちは人間を評した。　
　「ここはせめえなあ」
　「こら、俺たちを見て喜ぶな！」
　ここは人間園。