きえいる君へ

yamadatarou

文字の大きさ
上 下
1 / 11

いけない遊び

しおりを挟む
小さい頃、こんな体験したことありますか?

 「コックリさん、コックリさん、出てきてください・・・・。コックリさん、コックリさん、出てきてください・・・・。」

 誰もいないはずの教室にこだまする声、夕日が窓の外から差込み、そこにいる子供たちを照らしていた。一つの机を囲む4人の子供たち、机の上には「あいうえお・・・・」と書かれた白い紙、その上に5円玉を置き、4人の人差し指をそっと乗せる・・・。
 
 「コックリさん、コックリさん、出てきてください・・・・。」
 
 その言葉を呪文のように繰り返す・・・・、子供たちは大人に「やってはいけない」と言われている遊びをやっていた。すでにほとんどの生徒が帰った教室の中で・・・・。
 
 「ねぇ、もうやめようよ~。」
 
 4人の中で一番気の弱そうな男の子が、5円玉の上にある指以外の体をジタバタさせながら、絞り出すような声で言った。すると、向かい側にいる気の強そうな女の子が、

 「ダメよ!よけいな事言ったら、コックリさんが帰らなくなるって言ったじゃない!」

 と、目を吊り上げながら言い放った。
 
 「でも~・・・・。」

 気の弱そうな男の子は言い淀んだ。強く言われると逆らえない性格なのだ。しかし、彼は得体の知れない何かを全身で感じていた。

 「一哉、トイレでも行きたいのか?」

 気の弱そうな男の子の、右側にいた男の子が、やれやれといった表情をしながら言った。

 「トイレじゃないよ~、なんか・・・」
 途中まで言いかけて一哉はハッとして言いつぐんだ。気の強そうな女の子がこちらを睨んでいたからだ。右側にいた男の子も慌てて向き直っていた。

 「いい?じゃ、もう一度いくわよ。」

 気の強そうな女の子が気を取り直し、もう一度「コックリさん、コックリさん・・・・・」と言おうとした時、今まで押し黙っていたもう一人の女の子が、
 
 「ギ・・・ヌゥ・・・・。」

 と言った。「えっ?」と思い、残りの3人が彼女を見つめると、もう一人の女の子の顔が青ざめ、首を少しビクンとさせながらまた、

 「ギ・・・ヌゥ・・・。」

 と言った。瞬間、思い切り悲鳴を上げ逃げ出したい衝動にかられた3人だったが、声も出ない、体もまったく動かない完全な金縛り状態になってしまっていた。

 「ギシ・・・・ニュ・・・う・・・・。」

 首が少し曲がった状態でニヤリと笑う彼女、そして、今まで動かなかった5円玉が、急速に動き始めたのだ。かろじて首だけを動かした一哉、いや、自分で動かしたのではなく、得体の知らない何かに動かされたのかもしれない。白い紙の上を見ると、急速に動きまわっていた5円玉が、言葉を指し示していた。「オ・マ・エ・ラ ・コ・ロ・シ・テ・ヤ・ル」

「!!!!!!!!!!」

それを見た一哉は、自分で分かる程の血の気が引く感覚に襲われた。血が足のほうにいき、鉛に変化していく感じがする。

 (ぼく、死んじゃうの?みんな殺されちゃうの?)

 鼓動が高まり、頭の中が真っ白になってしまった一哉の体から、力が抜けていってしまう・・・。

 い・・・やだ・・・いや・・だ・・・・

 そんな思いとは裏腹に、一哉の体はあきらめに近い状態になっていく、どうしようもないことを体が感じてしまっていのだ。その時、体の力が抜けたせいか、首が少し動き、教室のすみに誰か?何か?があることを視界の端で捕らえた。目をそちらに移すと、確かに窓際の片隅で、女の人がいたのだ。彼女は、窓際に手をついて、 肩まで伸びている髪と、白い服にスカート、制服のようなものを着ていて、ねこ目のような大きな瞳と涼やかな眉の彼女は、魅力的な笑顔をこちらに向けていた。一哉はその姿に見とれてしまった。その姿があまりに美しく、今の状況とあまりににつかわないからだ。一瞬、自分の状況を忘れた一哉を、彼女は見つめながらクスリと 笑い、そして

「こんな遊びしちゃダメよ。」

 という言葉が、一哉の心に直接響いた。

 その後、意識を失い倒れた4人を、学校の職員が見つけ、4人は無事帰宅の途についた。

 
 それから、3年の月日が流れた・・・・・。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

どうして隣の家で僕の妻が喘いでいるんですか?

ヘロディア
恋愛
壁が薄いマンションに住んでいる主人公と妻。彼らは新婚で、ヤりたいこともできない状態にあった。 しかし、隣の家から喘ぎ声が聞こえてきて、自分たちが我慢せずともよいのではと思い始め、実行に移そうとする。 しかし、何故か隣の家からは妻の喘ぎ声が聞こえてきて…

壁の薄いアパートで、隣の部屋から喘ぎ声がする

サドラ
恋愛
最近付き合い始めた彼女とアパートにいる主人公。しかし、隣の部屋からの喘ぎ声が壁が薄いせいで聞こえてくる。そのせいで欲情が刺激された両者はー

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

処理中です...