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チートじゃない
5 保護者の同意
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翌日、約束の時間に公園に向かうと、今日はハーフアップにしたアレグレットの隣に人影が見えた。流石に今日は護衛付きか~と思っていると。
「やっぱりヴィーだったんだな。こんな見たこともない処置をするのは名前を聞く前から君だろうとは思っていたが──とりあえずお礼を言わせてくれ。昨日は妹が世話になった。ありがとう」
プレストだった。お礼を言われているのに若干責められている気がするのだけれど、気のせいかしら。
というか、兄妹だったのね。プレストが面倒見が良いというか心配性なのは、脱走癖のある妹のせいなのかしら。
「お兄様、邪魔ですわ。ヴィヴィアーチェ様、改めまして昨日はありがとうございました。
お兄様とお知り合いだったのですね。私、お兄様からヴィヴィアーチェ様のお話を伺ってから、ずっと会ってお話がしたかったのですわ」
どうやらアレグレットの探し人は私だったらしい。先日の一件を聞いて話してみたかったとのこと。ただ、名前を聞いてなかったのと、プレストの話し方から年上だと思っていたとも言われた。──ある意味年上ですがね。
「とりあえず傷の具合を見せて欲しいので移動しましょう」
私は二人を連れてホームへ戻った。
昨日は緊急事態だったから仕方ないけど、お嬢様の傷の手当てを屋外でする訳にはいかないからね。
ちなみに犬に追われて転倒しただけあって、犬が大の苦手なアレグレットの為にポチはお留守番らしい。ポチは犬ではないけれど、苦手な方から言わせて貰うと同じ括りのようだ。
プレストからは「ポチはあれからすっかり回復して元気だよ」と改めてお礼を言われた。
ホームに戻りフラットさんに声をかける。
「あれ、プレスト──と、アレグレットじゃないか」
「フラットさん?」
流石にお兄さんの師匠ともなるとその妹ともお知り合いかしらね。
どうやらこの兄妹とフラットさんは昔からの知り合いらしい。
そうであるなら話が早い。フラットさんに簡単に事情を説明したところ、快く場所を提供してくれた。
アレグレットを椅子に座らせ、痛くないようにスライム素材を剥がすと、思った通り、傷に触れたところだけが白くふやけ、傷は湿潤していた。
私は昨日と同じように洗浄してスライム素材を貼り込んだ。
「やっぱりその素材は俺が採ってきたヤツだな。薬だったのか?」
どうやら先日のダンジョンでプレストがドロップした素材で、初めて見たので念のためとりあえず持って帰ってきたらしい。
私は薬とは少し違うが、傷からはきれいな滲出液が出ていてそれには傷を治す成分が出ていること、それがスライム素材にふれると白く膨らみ傷口に当たることで傷が乾燥しないように保護され、早く、しかもきれいに治るのだと説明した。
そう、前世で言うハイドロコロイドだ。キズ○ワーパット。擦り傷だけでなくやけどにも使えたし、大変お世話になりました。
そして、傷の観察を兼ねて、ある程度治るまでは毎日処置が必要とも説明した。ある程度落ち着いたら貼りっぱなしでも大丈夫だけどね。きれいに治したいなら尚更よ。
「ヴィー・・・初見の素材になんでそんなに詳しいんだよ──」
と、プレストが頭を抱えていたけど気付かないふりをした。
処置の是非に関しては、お嬢さんは一人(護衛と侍女はいるが)でこの街に来たらしく、この町での保護者であるプレストの事後承諾を貰ったので、問題は無くなった。
例え実験であっても──
「やっぱりヴィーだったんだな。こんな見たこともない処置をするのは名前を聞く前から君だろうとは思っていたが──とりあえずお礼を言わせてくれ。昨日は妹が世話になった。ありがとう」
プレストだった。お礼を言われているのに若干責められている気がするのだけれど、気のせいかしら。
というか、兄妹だったのね。プレストが面倒見が良いというか心配性なのは、脱走癖のある妹のせいなのかしら。
「お兄様、邪魔ですわ。ヴィヴィアーチェ様、改めまして昨日はありがとうございました。
お兄様とお知り合いだったのですね。私、お兄様からヴィヴィアーチェ様のお話を伺ってから、ずっと会ってお話がしたかったのですわ」
どうやらアレグレットの探し人は私だったらしい。先日の一件を聞いて話してみたかったとのこと。ただ、名前を聞いてなかったのと、プレストの話し方から年上だと思っていたとも言われた。──ある意味年上ですがね。
「とりあえず傷の具合を見せて欲しいので移動しましょう」
私は二人を連れてホームへ戻った。
昨日は緊急事態だったから仕方ないけど、お嬢様の傷の手当てを屋外でする訳にはいかないからね。
ちなみに犬に追われて転倒しただけあって、犬が大の苦手なアレグレットの為にポチはお留守番らしい。ポチは犬ではないけれど、苦手な方から言わせて貰うと同じ括りのようだ。
プレストからは「ポチはあれからすっかり回復して元気だよ」と改めてお礼を言われた。
ホームに戻りフラットさんに声をかける。
「あれ、プレスト──と、アレグレットじゃないか」
「フラットさん?」
流石にお兄さんの師匠ともなるとその妹ともお知り合いかしらね。
どうやらこの兄妹とフラットさんは昔からの知り合いらしい。
そうであるなら話が早い。フラットさんに簡単に事情を説明したところ、快く場所を提供してくれた。
アレグレットを椅子に座らせ、痛くないようにスライム素材を剥がすと、思った通り、傷に触れたところだけが白くふやけ、傷は湿潤していた。
私は昨日と同じように洗浄してスライム素材を貼り込んだ。
「やっぱりその素材は俺が採ってきたヤツだな。薬だったのか?」
どうやら先日のダンジョンでプレストがドロップした素材で、初めて見たので念のためとりあえず持って帰ってきたらしい。
私は薬とは少し違うが、傷からはきれいな滲出液が出ていてそれには傷を治す成分が出ていること、それがスライム素材にふれると白く膨らみ傷口に当たることで傷が乾燥しないように保護され、早く、しかもきれいに治るのだと説明した。
そう、前世で言うハイドロコロイドだ。キズ○ワーパット。擦り傷だけでなくやけどにも使えたし、大変お世話になりました。
そして、傷の観察を兼ねて、ある程度治るまでは毎日処置が必要とも説明した。ある程度落ち着いたら貼りっぱなしでも大丈夫だけどね。きれいに治したいなら尚更よ。
「ヴィー・・・初見の素材になんでそんなに詳しいんだよ──」
と、プレストが頭を抱えていたけど気付かないふりをした。
処置の是非に関しては、お嬢さんは一人(護衛と侍女はいるが)でこの街に来たらしく、この町での保護者であるプレストの事後承諾を貰ったので、問題は無くなった。
例え実験であっても──
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