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20、紅茂/伊深村
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山を下り、一面に広がる田畑をしばらく歩いた先に、伊深村はある。
普段は山の上に住む私にとって、平らかな田が広がるのを間近で見ることは少ない。今は一面茶色の田圃だが、夏の初めごろには、青々としてそれは美しいことであろう。
その奥に見える集落の、ひと際大きな館が、父上のそれである。
門を過ぎ石畳を進むと、庭が見えてきた。
庭の前にはまだ若いしだれ桜と紅葉が植えてある。何十年か後には、色とりどりの落ち葉がこの石畳を染めるに違いない。
「紅茂、よう来たのう」
母上が庭先から出迎えた。
「母上。ここは誠に、美しい屋敷にございますな」
「木々に囲まれ、穏やかに余生を過ごしておる。山が近いゆえ、たまに狐なども顔を出すのじゃ。大殿には化かされるからやめよと言われるが、どうにもかわいらしゅうて、つい、餌などやってしまう」
母上は城にいらしたときよりも、ずいぶん生き生きしていらっしゃる。
様々な煩わしさから解き放たれ、笑みも増え、若々しくなられた。
「大殿は今、納戸で茶器の手入れをなさっておる。客間に案内いたしましょう」
母上はここへ来てから、何事も下々の者に任せず、できるだけ自分で雑用も行うようにしているのだという。まだまだ呆けてはおれぬと申されるが、その気配は今のところは全くなさそうであった。
客間は一見質素なように見えるが、松が描かれた襖、金の引手、彫刻の施された欄間などは、往年の佐藤の栄華を窺わせる。
母上が下がるのと入れ違いに、父上が参られた。
「これはこれは、奥方様。ようお越しくだされた」
「父上、おやめください。今日は奥方ではなく、娘として参りました。父上に置かれましても、お変わりございませぬか」
「いや、少し肥えた。このところ、飯がうまくての。帯がきつうてならぬ」
確かに、顎のあたりがややふっくらされたように見える。
「さようでしたか。今日は蓬の餅を持参したのです。正月にはまだ少し、早うございますが」
「おお、ありがたい。また肥えてしまうのう。さて、久しぶりにそなたに茶を点てるとしよう」
それから父上は納戸から持参した茶碗を拭き清めた。
幼い頃から何度となく、父上の茶を喫まされた。昔はその苦みに耐えられず、吐き出すことも許されず、涙を浮かべながら喫んだこともあった。そしてそれを喫んだ日は、必ずと言っていいほど眠れなかった。
奥方となった今では、父上の茶を喫むこともなくなった。されど、眠れぬ夜は増えるばかりであった。
喫み終えた後から父上の講釈が始まるのが常であったが、それが始まる前に、私は口を開いた。
「父上、火急のご相談がございます。先だって、信長様からご無体な沙汰が下ったのでございます」
「沙汰とは、どのような」
訳を話すと、父上は眉を寄せ、かつて当主であったときに時折見かけた、厳しい表情をされた。
「信長め…」
信長様のことを呼び捨てにした父上は、隠居によって何か吹っ切れたのか、歯に衣着せぬ物言いをするようになっていた。
「新五殿が今になって美濃斎藤家に帰順し、加治田衆を従え岐阜城を我が物にするとでも考えておるのか。そのようなことはありえぬ」
隠居したとはいえ、父上も殿の人となりには信を置いていた。
「我らを娶せたのは信長様にございます。利堯様に跡目を継がせるとは、我らは無用と言われているのと同じにございます。長きに渡り尽くしてきた殿をないがしろにし、寝返っただけの利堯様を重用するなど、筋が通りませぬ」
「美濃勢の中で一番に寝返ったのは我ら佐藤。我らの離反があったからこそ利堯殿も寝返ったのじゃ。信長は我らを骨の髄まで利用して、後は捨て置くつもりか」
父上にとって私はただの駒にすぎぬと、かつては思っていた。しかしいまや父上もこの斎藤家も、すべてが信長様の駒であった。
しかし駒なら駒なりに、抗うすべを探すことも出来よう。そう思ってここ伊深村へとやって来た。
「父上、私は一刻も早う子を作ります。子が出来たら利堯様の養子にして頂くよう、どうか頼んで頂けませぬか」
私の案に、父上は一層厳しいお顔をされた。長年美濃斎藤家に仕えてきた父上は、利堯様のことを多少はご存じのようだった。
「紅茂よ、利堯殿は凡庸じゃが人一倍自尊心の高いお方じゃ。弟と、かつての家臣筋の娘の子を養子として受け入れるとは到底思えぬ」
自尊心が高いというのは心外であった。私のいまだ知らぬ利堯様の本性なのであろう。
「ならば、殿ではなく利堯様を戦に駆り出すよう、父上から信長様におとり無し頂けませぬか」
父上は溜息をついた。
「利堯殿が戦で名を轟かせたことなど一度もない。信長も存じておるはず。それゆえ跡を継がせたいのよ。信長は戦に長けた新五殿を向後も自らの傍に置き、織田の戦に連れ出すつもりじゃ」
「それでは人質も同じにございます。我らは信長様のお味方であるというのに」
熱く弁じていた私と父上の耳にふと、鳥のさえずりが聞こえた。すぐ側にいる気配がする。
父上が立ち上がって襖を開けると、縁側に座る母上のすぐ隣から、丸々太った雀が一羽、飛び立っていった。
「やれまあ、襖の音に驚いてしもうたか」
母上が振り返って微笑む。
庭先には他の雀が集まっている。母上の足元で、しきりに何やら啄んでいた。
「この地の民がのう、粟をたくさん持ち寄ってくれる。食べきれぬゆえ、こうして時折雀に分けるのじゃ」
母上が長閑な様子で言った。
城ではあまり見かけることのない雀も、平地に近いここ辺りでは餌のにおいや場所を嗅ぎつけすぐにやって来る。
父上は母上に屋敷に上がるように言うが、母上は首を横に振って、言った。
「話は済んだのですか」
「いや、これからじゃ。そなたもここで共に聞け」
父上は私に目を移した。
「紅茂よ、よく聞け。そなた、利堯殿と契りを結べ」
「大殿!」
声を上げたのは母上であった。
「いまだ子が出来ぬ事はむしろ幸いであった。利堯殿とそなたが子を為せば、その子は斎藤家の跡継ぎとなる。佐藤の血を引く紅茂こそが、子を為さねばならぬ」
いかにも父上らしい考えであった。
「父上は私に、殿を裏切れと仰せになりますか。私は殿を、新五様をお慕いしておりまする」
えくぼの愛らしい殿の隆々とした腕に、何度となく身を任せたい。殿との子を為したい。殿とは似ても似つかぬ利堯様と子を為すことなど、考えたくもなかった。
「紅茂、そなたには酷な事だと重々承知しておる。されど、新五殿は未来永劫信長のものじゃ。そなたのものには決してならぬ。そなたが利堯殿の子を産み、武勇秀でた賢い子に育て上げ、その子と共に斎藤家を意のままに操る。さすれば、信長の鼻を明かせることもあろう」
「私はそのようなこと、望んではおりませぬ!私はただ、女子としての幸せを望んでおるだけにございます」
父上は何故、私の事を考えて下さらぬのか。どれだけ手を尽くそうとも、幸せにはなれぬのか。ここ伊深村へ来たことを、私は深く悔やんだ。
「紅茂…」
母上が、私の肩を搔き抱いた。
普段は山の上に住む私にとって、平らかな田が広がるのを間近で見ることは少ない。今は一面茶色の田圃だが、夏の初めごろには、青々としてそれは美しいことであろう。
その奥に見える集落の、ひと際大きな館が、父上のそれである。
門を過ぎ石畳を進むと、庭が見えてきた。
庭の前にはまだ若いしだれ桜と紅葉が植えてある。何十年か後には、色とりどりの落ち葉がこの石畳を染めるに違いない。
「紅茂、よう来たのう」
母上が庭先から出迎えた。
「母上。ここは誠に、美しい屋敷にございますな」
「木々に囲まれ、穏やかに余生を過ごしておる。山が近いゆえ、たまに狐なども顔を出すのじゃ。大殿には化かされるからやめよと言われるが、どうにもかわいらしゅうて、つい、餌などやってしまう」
母上は城にいらしたときよりも、ずいぶん生き生きしていらっしゃる。
様々な煩わしさから解き放たれ、笑みも増え、若々しくなられた。
「大殿は今、納戸で茶器の手入れをなさっておる。客間に案内いたしましょう」
母上はここへ来てから、何事も下々の者に任せず、できるだけ自分で雑用も行うようにしているのだという。まだまだ呆けてはおれぬと申されるが、その気配は今のところは全くなさそうであった。
客間は一見質素なように見えるが、松が描かれた襖、金の引手、彫刻の施された欄間などは、往年の佐藤の栄華を窺わせる。
母上が下がるのと入れ違いに、父上が参られた。
「これはこれは、奥方様。ようお越しくだされた」
「父上、おやめください。今日は奥方ではなく、娘として参りました。父上に置かれましても、お変わりございませぬか」
「いや、少し肥えた。このところ、飯がうまくての。帯がきつうてならぬ」
確かに、顎のあたりがややふっくらされたように見える。
「さようでしたか。今日は蓬の餅を持参したのです。正月にはまだ少し、早うございますが」
「おお、ありがたい。また肥えてしまうのう。さて、久しぶりにそなたに茶を点てるとしよう」
それから父上は納戸から持参した茶碗を拭き清めた。
幼い頃から何度となく、父上の茶を喫まされた。昔はその苦みに耐えられず、吐き出すことも許されず、涙を浮かべながら喫んだこともあった。そしてそれを喫んだ日は、必ずと言っていいほど眠れなかった。
奥方となった今では、父上の茶を喫むこともなくなった。されど、眠れぬ夜は増えるばかりであった。
喫み終えた後から父上の講釈が始まるのが常であったが、それが始まる前に、私は口を開いた。
「父上、火急のご相談がございます。先だって、信長様からご無体な沙汰が下ったのでございます」
「沙汰とは、どのような」
訳を話すと、父上は眉を寄せ、かつて当主であったときに時折見かけた、厳しい表情をされた。
「信長め…」
信長様のことを呼び捨てにした父上は、隠居によって何か吹っ切れたのか、歯に衣着せぬ物言いをするようになっていた。
「新五殿が今になって美濃斎藤家に帰順し、加治田衆を従え岐阜城を我が物にするとでも考えておるのか。そのようなことはありえぬ」
隠居したとはいえ、父上も殿の人となりには信を置いていた。
「我らを娶せたのは信長様にございます。利堯様に跡目を継がせるとは、我らは無用と言われているのと同じにございます。長きに渡り尽くしてきた殿をないがしろにし、寝返っただけの利堯様を重用するなど、筋が通りませぬ」
「美濃勢の中で一番に寝返ったのは我ら佐藤。我らの離反があったからこそ利堯殿も寝返ったのじゃ。信長は我らを骨の髄まで利用して、後は捨て置くつもりか」
父上にとって私はただの駒にすぎぬと、かつては思っていた。しかしいまや父上もこの斎藤家も、すべてが信長様の駒であった。
しかし駒なら駒なりに、抗うすべを探すことも出来よう。そう思ってここ伊深村へとやって来た。
「父上、私は一刻も早う子を作ります。子が出来たら利堯様の養子にして頂くよう、どうか頼んで頂けませぬか」
私の案に、父上は一層厳しいお顔をされた。長年美濃斎藤家に仕えてきた父上は、利堯様のことを多少はご存じのようだった。
「紅茂よ、利堯殿は凡庸じゃが人一倍自尊心の高いお方じゃ。弟と、かつての家臣筋の娘の子を養子として受け入れるとは到底思えぬ」
自尊心が高いというのは心外であった。私のいまだ知らぬ利堯様の本性なのであろう。
「ならば、殿ではなく利堯様を戦に駆り出すよう、父上から信長様におとり無し頂けませぬか」
父上は溜息をついた。
「利堯殿が戦で名を轟かせたことなど一度もない。信長も存じておるはず。それゆえ跡を継がせたいのよ。信長は戦に長けた新五殿を向後も自らの傍に置き、織田の戦に連れ出すつもりじゃ」
「それでは人質も同じにございます。我らは信長様のお味方であるというのに」
熱く弁じていた私と父上の耳にふと、鳥のさえずりが聞こえた。すぐ側にいる気配がする。
父上が立ち上がって襖を開けると、縁側に座る母上のすぐ隣から、丸々太った雀が一羽、飛び立っていった。
「やれまあ、襖の音に驚いてしもうたか」
母上が振り返って微笑む。
庭先には他の雀が集まっている。母上の足元で、しきりに何やら啄んでいた。
「この地の民がのう、粟をたくさん持ち寄ってくれる。食べきれぬゆえ、こうして時折雀に分けるのじゃ」
母上が長閑な様子で言った。
城ではあまり見かけることのない雀も、平地に近いここ辺りでは餌のにおいや場所を嗅ぎつけすぐにやって来る。
父上は母上に屋敷に上がるように言うが、母上は首を横に振って、言った。
「話は済んだのですか」
「いや、これからじゃ。そなたもここで共に聞け」
父上は私に目を移した。
「紅茂よ、よく聞け。そなた、利堯殿と契りを結べ」
「大殿!」
声を上げたのは母上であった。
「いまだ子が出来ぬ事はむしろ幸いであった。利堯殿とそなたが子を為せば、その子は斎藤家の跡継ぎとなる。佐藤の血を引く紅茂こそが、子を為さねばならぬ」
いかにも父上らしい考えであった。
「父上は私に、殿を裏切れと仰せになりますか。私は殿を、新五様をお慕いしておりまする」
えくぼの愛らしい殿の隆々とした腕に、何度となく身を任せたい。殿との子を為したい。殿とは似ても似つかぬ利堯様と子を為すことなど、考えたくもなかった。
「紅茂、そなたには酷な事だと重々承知しておる。されど、新五殿は未来永劫信長のものじゃ。そなたのものには決してならぬ。そなたが利堯殿の子を産み、武勇秀でた賢い子に育て上げ、その子と共に斎藤家を意のままに操る。さすれば、信長の鼻を明かせることもあろう」
「私はそのようなこと、望んではおりませぬ!私はただ、女子としての幸せを望んでおるだけにございます」
父上は何故、私の事を考えて下さらぬのか。どれだけ手を尽くそうとも、幸せにはなれぬのか。ここ伊深村へ来たことを、私は深く悔やんだ。
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