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7、バーベキュー
しおりを挟む「おい、子分」
「へい、親分」
「子分の子分はどれくらいいる」
「まあ、ざっと200人くらいは」
「それだけいりゃあ、十分だ。やい子分、今度の日曜、海でバーベキューだ。俺もたまには子分孝行をしなきゃならねえ。200人、全部集めろ」
「ええ?本当ですかい?そんなこと初めてですぜ。でもまあ、ありがてえ話で。じゃ、200人揃えときますんで」
「おう、頼むぞ。一人残らず連れて来いよ」
(ザザア・・・、ザザア・・・)
「親分、こっちですよ、こっち!今日はすみませんねえ。ところで親分、ずいぶんと身軽ですねえ。で、肝心の、バーベキューの材料は?」
「そいつあ後だ。いいか、おめえら、今から海に潜って、なるだけ大きい石を拾ってこい。拾ったら、そいつで浜辺に窯を作れ」
「ピザでも焼くんですかい。たしかに窯があれば、二百人分のピザも直ぐに焼けやすね。おい、おめえら、すぐに潜って石を探せ。で、親分、肝心のピザは?」
「そいつあ後だ。準備が肝心だからな。おい、それが終わったら、貝殻を集めろ」
「貝殻?中身が入ってない、殻のほうですかい?ははあ、さてはたくさん拾った奴に、景品がもらえるってことですかい。やい、おめえら、貝殻を集めろ。で、親分、肝心の景品は?」
「そいつあ後だ。準備が肝心だからな。おい、それが終わったら、ありったけの10円玉をここに出せ。集まったらそれを窯で焼いて、溶けたら叩いて、銅板を作れ」
「銅板?そいつは何に・・・ははあ、食材を銅板で焼く気ですかい。たしかに銅板に太陽が当たればものすごく高温になりやすやね。やい、おめえら、10円玉を焼いて、叩け。で、親分、肝心の肉と野菜は?」
「そいつあ後だ。準備が肝心だからな。おい、それが終わったら、海に潜ってコンブとノリを獲ってこい」
「待ってました!でも、コンブとノリはバーベキューで焼くわけもねえ・・・ははあ、肉のお供に、スープを作るつもりですかい。やい、おめえら、コンブとノリを獲ってこい。で、親分、肝心のスープの鍋は?」
「そいつあ後だ。準備が肝心だからな。おい、それが終わったら、貝殻を砕いて焼け」
「貝殻を砕く?いくらなんでも、貝殻は食えませんぜ・・・ははあ、もしや食後の歯磨き粉として使うつもりですかい?まあ、歯は大事ですからね。やい、おめえら、貝殻砕いて焼け。で、親分、肝心のハブラシは?」
「そいつあ後だ。準備が肝心だからな。おい、それが終わったら、窯を崩せ」
「ええっ?まだ何も、食っちゃいやせんぜ」
「獲ってきたコンブの上に石を乗せて、山の上まで運べ」
「?どういうこって??」
「貝殻とノリを混ぜろ」
「??」
「混ぜたか。よし、これで漆喰の出来上がり」
「漆喰??」
「石を運んだら石垣を作れ。木で枠を作ったら、壁に漆喰を塗って、仕上げに銅板の屋根を載せたら、俺様の城の出来上がりだあ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<昆布>
コンブ(昆布)は、不等毛植物門褐藻綱コンブ目コンブ科 に属する数種の海藻の一般的な名称である。安土桃山時代には城建築の際に石を滑らせるための材料として使用していた。安土城や大阪城でもこの工法が使われている。(Wikipediaより抜粋)
<漆喰>
漆喰(石灰、しっくい)とは、水酸化カルシウム(消石灰)を主成分とする建築材料。
本漆喰:旧来漆喰とされてきたもの。現地にて昔ながらに海藻(フノリ)を炊いてのりを作り、麻すさ(麻の繊維)と塩焼き消石灰を混合して作られる。
貝灰石灰:消石灰の代わりに用いる。貝殻を焼いて酸化させて作る。
海藻のり:「のり」と呼称されるが、壁に使用される場合、漆喰へ混入される一番の目的は「接着」ではなく「保水効果」による作業性の向上である。さらに粘度調整効果も求められる。歴史的には布海苔、銀杏草、角叉などの海藻を煮炊きして抽出したものが使われていた。現在は加熱後乾燥、粉末化された粉末海藻のりが主流となっている。(Wikipediaより抜粋)
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