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第1章
そして場所は義弟の宮へ
しおりを挟む今テリアは第2王子セリウムのいる宮殿に訪れた。目の前にいる5歳の子供のために、そびえ立っている此処の宮は、自慢されただけあってデカかった。
王族ってすごい。アリスティナ姫のいる瑠璃宮はこんな規模ではなかったのに。
まるで…
「どう?立派な建物でしょう?」
テリアの考えを見透かすように、そう口にしたセリウムに、びくりと身体を揺らした。
「やぁ。ほんと豪華な建物ですね…」
(でも出掛けるのも、廊下歩くのもいちいち大変そう…だな…。まるで皇帝の住まいみたい。もしくはー…)
「ここねぇ、兄上に譲って貰ったんだ!」
「え?」
「だからね、2年前、兄上が此処をボクに譲ってくれたんだ。」
(…そんな事が可能なんだぁ…。カルロ皇太子も、此処は広過ぎて移動が面倒だったのかな。)
「成る程、カルロ皇太子って弟の扱いも雑なんだね!自分が嫌だからって、弟にこんなところ押し付けて!」
テリアの言葉に、セリウムの笑顔が固まった。しかしテリアは気付かない。
「私が言っておきましょうか?こんな移動の不便で無駄にでかい所、小さな子に押し付けるなって!
きっと昔もあいつは暴言吐いて自分勝手だった事でしょう。」
うんうんと頷いているテリア。
(そうかぁ、カルロ皇太子の日頃の行いを愚痴る仲間が欲しかったのね。)
後ろで聞いていたユラは目の前の王子の雰囲気が変わった気がしたので、少し緊張が走って身構える。
「本当に、噂で聞いていた通り、実に兄上にぴったりなお方だ。」
「え…やめてください…。私、相当嫌われてて、出会った当初ブチ切れてましたよ彼。」
「そうだね。感情的で、馬鹿で、愚かで出自も良くない。兄上は皇帝には向いていない。」
「そうですそうです!」
お。儀弟と気が合うかも。
「だからね、実質皇太子はボクなんだよ。この住まいを見たら分かるだろうけど。」
何を言っているのか分からなかったので首を傾げているテリア。
(ん?皇太子がカルロ皇太子で、第2王子がセリウム様で、実は皇太子が……こんがらがってきた。)
「……?」
「…ははっ。予想以上に頭悪くて大変だなぁ。ボク、馬鹿は嫌いじゃないよ?遊んでたら楽しいし。でも過ぎるとー…」
ほんの一瞬、目に鋭い殺気を感じる。
「直ぐに壊したくなっちゃうんだ。だから気をつけてね。」
「……」
(……。何となく、雰囲気が変わった?)
※気付くのが遅い。
「王宮は権力が全てだよ。弱い者は強い者の玩具。玩具は自覚して過ごさないとね。兄上もだけど、義姉様も。
だからちゃんとボクのご機嫌とってよ。」
「う、うん。」
兎に角よく分からなかったので返事をしておく。
テリアの脳には処理が難しい単語と文脈がずらりと並んだ事により、理解が追いつかなかったが、相手はまさか伝わっていないとも思わず話は進む。
「これからね、面白い遊びをしようと思って。
ボクの問いに答えてね!」
(ナゾナゾか、
ふぅ。困った。今の時点で大半の話がわからなかったわ。
出来ればかっこいいところ見せたいし、簡単なの出して欲しいな。)
頷いたテリアに、セリウムは笑顔で問題を出した。
「今からボクは毒を盛られます。
ではその犯人はどちらが良い?
1.義姉様
2.そこに居る義姉様の侍女
どっちが良いかはまず義姉様が答えてね。」
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