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第1章
獣人の隠れ里1
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私達は今、王都から馬車で3時間ほどで到着するドルイド地区に向かっていた。其処は森の奥深くに、ドルイドの神聖な滝をよりしろに獣人の隠れ里があるから、きっと獣人であるアリスティナ姫の居心地が良いのではないかと考えたからだ。
馬車で揺られながら、アリスティナ姫を気遣った設計のその馬車は広い作りになっていて、小さな寝床が完備されており、獣人の隠れ家に到着するまではアリスティナ姫には身体を休めてもらう為睡眠を取ってもらう事にした。
なので、今アリスティナ姫は猫と共にその小さな寝床に横たわっている。
アレンとユラには今後の動きを相談する為にテリアの向かいに座ってもらった。
「あのね、今から行く所にあるドルイドの滝って、昔聖女様がそこで修行してたんだって。だから、その滝壺に沸いている泉の水を飲んだらたちまち何かご利益ないかな?」
テリアの申し出に、ユラが真剣に「それは効き目がありそうですね!」と頷く中、暫く黙っていたアレンが口を開く。
「何でテリア様はそのような事を知っているのですか?」
「聖女教育でね!聖女にまつわる事は教わってるのよ~。
尊敬した?」
胸を張って答えるテリアに、アレンは小さく首を振る。
「いえ、そちらの話では無くて。
獣人の隠れ里が其処にあると、何故言い切れるのですか?」
「(…ちょっとは尊敬して欲しいなぁ)
そんな事、皆んな知ってるんじゃないの?」
「知るわけないでしょう。何の為の〝隠れ里〟ですか。人目を避けて生活してるからでしょう。」
「…そうなんだ。何で隠れてるんだろう…?
照れ屋なのかな?獣人って。
でも子爵領の獣人達は全然平気そうだったのに地域柄なのかな?」
テリアの反応にユラは苦笑いをして、アレンは左手で顔の半分を覆って溜息をついた。
「……で、隠れ里を誰かに聞いたんですか?
信憑性あるものかを判断したいのでそれだけ答えてもらえますか?無駄足踏みたくないので。」
「やぁね!信用してないの?
猫が教えてくれたのよ。」
アリスティナの横で丸くなって寝ている猫に視線が集まり、アレンの頭には頭痛が湧き出て来たのは言うまでもない。
眉間にシワを寄らせるなと言う方が無理な話だ。
「まさか、テリアお嬢様はその猫が言葉を話したと言ってます?」
「そんな訳ないじゃない!」
「ですよね。安心しました。」
「私が猫の言葉を分かるようになって来たのよ。まだ単語少しだけど。
やっぱり言語を覚えるのは大切なのよね!」
途端に顔を覆って項垂れているアレンに、ユラは何かに耐えるように額から汗をだらだらと流しながら唇をひき結んで目を閉じて瞑想している。
(…2人とも馬車で酔ってしまったのかな?)
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尊敬した?」
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やっぱり言語を覚えるのは大切なのよね!」
途端に顔を覆って項垂れているアレンに、ユラは何かに耐えるように額から汗をだらだらと流しながら唇をひき結んで目を閉じて瞑想している。
(…2人とも馬車で酔ってしまったのかな?)
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