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第1章

悲しき物語2

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 アリスティナ姫が、いつ寿命がつきてもおかしくない?

 驚きと、おおよそ受け付けられない内容に、テリアはフリーズしてしまった。

 そんなテリアを見て、フェリミアは言葉を紡ぐのを恐れた。テリアが情に深くて優しくて、自分の事よりも大切な人の痛みに敏感な事を知っている。

だから、これ以上言うのは、テリアが可哀想だと目を瞑り口を引き結んだ。

けれど、自分の代わりに王宮に来てしまったテリアの身の安全を思うと、出来るだけ多くの情報を、全て知らせなくてはならないと心を強く持ち直す。

「テリアお姉様…、私が前世で初夜を迎えた日、アリスティナ姫が亡くなられた翌日でした。

アリスティナ姫を大切にしていたカルロ皇太子は式の間もずっと顔色が悪く

初夜で同室になった私に、刃を突き立てて言いました。

『アリスが望んでも生きられないのに、おまえのような、価値もない女が何故のうのうと生きている。』と。

この日からカルロ皇太子は殊更に周りに容赦が無くなり冷酷に、そして無慈悲になってゆきました。

私は、あの初夜の日から、彼の視界に入ったらいつか殺されてしまうと怖くて。いつも怯えていました。

ただ毎日が恐ろしくて恐ろしくて…。

だから部屋の外へも出る事が出来ず、周りの変化もわからず、王宮で何が起こっているかもしらず、気付けば全ての罪を着せられて処刑台の上に立っていました。

だから、テリアお姉様。」

フェリミアは涙を浮かべながら、唖然と聞いているテリアに言い聞かせるべく、言葉を続けた。

「聖女が現れる前に王宮から逃げられる手立てを私達も共に考えます。

その間、カルロ皇太子は変わります。信用してはいけません。

だけど、万一に備えて部屋から出なくなるなんて事もしてはいけません。
なるべく味方を王宮内で作るのです。」


「…フェリミア…。」

 そんな、辛い目にあっていたなんて…。

 なのに私の為に、使者が迎えに来ただけであんなに震え上がるほど拒否反応を起こしていた王宮へ、会いに来てくれて。

 逆の立場なら、確かに心配でしょうがなくなる。しかもフェリミアは自分の代わりに私が此処にくる事になったと自分を責めている。

「フェリミア、そんなに心配しなくても私は大丈夫よ。
それにね、こうなったのは私が浅はかだったから。貴方のせいでは無いわ。

候補から外れるなんて簡単と勘違いして、此処へきた結果よ。
そんなに自分を追い込まないで。」

 フェリミアが心を落ち着かせるように、なるべく平静を装って穏やかな声をだした。

 だが内心はかなりの混乱を極めていた。

 伝えられた情報が多すぎて、テリアの中では処理しきれなかった部分もある。
 しかし理解できた部分だけでも今後の王宮生活を考えると手が震えそうだ。







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