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第1章
迎え4
しおりを挟む戸を開いて入ってきたのは父であるジミー・ロナンテスだ。
父は、フェリミアに視線をやると娘を気遣うように、駆け寄ってきた。
「ぉお、フェリミア。
本当に顔が青白く、震えているではないか、可哀想に。
今直ぐ爺を呼べ。」
爺とは、この子爵家に長年仕えてくれているお医者様だ。
父は使用人に指示を出して、私の部屋からフェリミアの部屋に運ぶと、ベッドへと横たわらせる。
「無理をする事はない。今日彼等は話をしに来ただけだから。また今度ご挨拶するといい。」
(前世では、そのご挨拶の日で話はまとまってたけどね。)
…でも、やはり父に話しておいた方が良いのかもしれない。妄言と思われてもいいから。
こんなに優しい父が、嫌がる娘を皇妃にするなんて思えないし…。
チラリとアレンを見るが、首を横に振られる。
「では、テリアだけでもご挨拶しておこうか。急いで身嗜みをユラに整えてもらいなさい。お客様を待たせているから、父は先に行っているよ。
また後でくるよフェリミア。」
後ろに立っていた私は、そう促されて覚悟を決めた面持ちで頷いた。
父が部屋出て行って、後に続こうと
踵を返し、部屋を出ようとすると、後ろから物音がして振り返る。
足が震えて思うように動かなかったのか、フェリミアが転んだのが目に入った。こんな妹を見るのは初めてだ。小さく掠れた声で「まって」を繰り返す。
「フェリミア!」
駆け寄りそうな私を、アレンが立ちはだかり、止めた。
「今駆け寄ったら、この状態のフェリミア様も連れて行かねばならなくなります。良いのですか?」
私を行かせたがらないフェリミア。確かにさっきの様子から、駆け寄ったら最後しがみ付いて離してくれなそうだ。
(優しいだけでは、この子は守れないのだわ。)
「アレン、フェリミアに付いていて。」
「御意。
…ーテリア様、今はこれが最善と思い送り出しますが、どうか無茶はしないでくださいね。」
それは、私が何かやらかさないか心配してるのかしら?大丈夫よ。いくらなんでも、宮殿からの使者を殴りつけたり、罵倒したりしないから。
〝任せて〟の意味を込めて、アレンの目を見てコクリと頷く。
部屋を出て行ったテリアの後に続いて出て行くユラと一瞬目が合ったアレンは、視線で語りかける。何を言っているのか理解したユラは、額から汗を流しながらもコクリと頷いた。
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