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第六節
人とは。悪魔とは。(14)
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あわよくば、楽に死ねる方法がないかと考える。
しかし、楽に死ねる方法はあるはずもなく。
死にたくないと考えてしまう。
不意に、私の口から小さく笑いが吹き出た。
死にたくないのは、今、正常な精神を保っているからだろう。
篠生のロープを手に持った。
天井の梁にロープをかけて、首を吊ろう。
これで何もかも、おさらばだ。
ロープを梁にかけた。
篠生は、自殺する為に、ロープを持ってきていたのだろう。
ロープの先端を鋭利に欠けた噴水のオブジェクトに縛りつけた。
きゅっきゅっと、引っ張り、ちゃんと縛ってあるかを確認する。
もう片方のロープの先端に輪っかを作る。
その時だった。
床に投げ飛ばされている老婆の分厚い本が、視界に入った。
そうだ。
全ては、老婆が、霧の中に悪魔が居ると言ったのが始まりだった。
梁から垂れ下がったロープを手から離し、分厚い本へ近づいた。
私は、その本に手を触れた。
ずしっと重い本を両手持ち上げる。
その本の表紙は、なめしが、良く効いた革素材でできている。
僅かに弾力のある表紙を指の腹で感じた。
きっと、古代文字や難しい文字で記されているに違いない。
そう想定しながら、表紙を開く。
私は、驚愕した。
本の一ページ目から、全く想定していなかった内容だった。
しかし、楽に死ねる方法はあるはずもなく。
死にたくないと考えてしまう。
不意に、私の口から小さく笑いが吹き出た。
死にたくないのは、今、正常な精神を保っているからだろう。
篠生のロープを手に持った。
天井の梁にロープをかけて、首を吊ろう。
これで何もかも、おさらばだ。
ロープを梁にかけた。
篠生は、自殺する為に、ロープを持ってきていたのだろう。
ロープの先端を鋭利に欠けた噴水のオブジェクトに縛りつけた。
きゅっきゅっと、引っ張り、ちゃんと縛ってあるかを確認する。
もう片方のロープの先端に輪っかを作る。
その時だった。
床に投げ飛ばされている老婆の分厚い本が、視界に入った。
そうだ。
全ては、老婆が、霧の中に悪魔が居ると言ったのが始まりだった。
梁から垂れ下がったロープを手から離し、分厚い本へ近づいた。
私は、その本に手を触れた。
ずしっと重い本を両手持ち上げる。
その本の表紙は、なめしが、良く効いた革素材でできている。
僅かに弾力のある表紙を指の腹で感じた。
きっと、古代文字や難しい文字で記されているに違いない。
そう想定しながら、表紙を開く。
私は、驚愕した。
本の一ページ目から、全く想定していなかった内容だった。
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