ただ、愛を貪った

木曜日の夜

　彼女から、メッセージが来ていた。会社帰りに自分用のスマホを開くと、すぐに彼女からのメッセージに気が付いた。土曜日に会えないかという内容だった。会いたいと思った。あの家にいる時の、何とも言えない、息苦しさを発散させるにはちょうどよかった。また、彼女を苦しめたい。
　俺のことを思って、また泣けばいいと思った。彼女を乱暴に扱い、やめてというまで苦しまさせたいと思った。今度はもっと、もっと彼女を壊したいと。
　でも、駄目だ。日曜日は蒼汰に会うことになっている。きっと三葉は覚えているはずだ。三葉は蒼汰のことになると、止められない。彼女の息子を思う気持ちは狂気だ。もし、彼女が暴走したら、僕は彼女を止めないといけない。でも、もし土曜日に鈴村さんに会ったら、俺は三葉を置いて、鈴村さん、あなたの影を求めて、追いかけてしまう気がした。実際はそんなことはないのかもしれないが、会うべきではないと悟った。このほど良いストレスがかかっている状態ではないと、三葉を捨ててしまいそうだった。
　だから、本当は会うこともできたが、鈴村さんには会わないことにした。