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桜木 翔(かける)~王道、学園の王子様~
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冴えない私はいつものように廊下の隅を、一人で歩いていた。ああ、きょうも、いい天気だななどと、のんきに考えながら歩いていると、いきなり衝撃が走った。痛っ。
「ごめん!!ちょっと急いでるんだ。本当にごめんね。」
そう言って、その声の主は走り去ってしまった。私は、ついにそこまで影が薄くなったのかと自虐的なツッコみで心の中で笑った。まさか、こんな広い廊下で誰かにぶつかるとは思っていなかった。運動部はみんなこの時間は、部活が始まる時間らしく、終学活が長引いたクラスからこうやってよく走りこんでくる。しかし、どの人も華麗に障害物をよけるようにステップを踏み避けていくというのに。それに、私の前にも後ろにも生徒は歩いているなのになぜ私にだけ体当たりしてきたのだろうと本気で考えていると、後ろから黄色いが張りあがった。
「大丈夫?ケガしてない?」
そう、尋ねてきたのは紛れもなく王子だった。この五華孟学園、通称イケ学には王子と呼べれるイケメンが存在するのである。黒髪で、チャラいわけでもないけど、その甘いマスクに、この学校の女子はメロメロである。おまけに全国模試では成績上位者として名前がのるような秀才っぷりである。そんな王子が私に話しかけてきたのだ。もう、むしろ、話しかけてくださったと言った方がいいかもしれない。
そして王子は私に手を差し出してくれた。
「本当にごめんね。さっきのは、僕のクラスメートなんだよ。わざとじゃないんだよ。どうか許してあげてね。」
そういいながら、私の手をにぎり、私を立たせてくれた。ふらっとして転びそうになっても王子は優しく支えてくれ、大丈夫?と微笑んでくれた。そして、最後にその手の甲にそっと唇を当て、「では、またね。かわいい、お姫様」といった後、華麗なステップで廊下の奥へ消えていった。
それを見て、また女の子が騒ぎはじめる。「今の聞いた?お姫さまって!それに手の甲にキスも!さすが王子‼あの子、本当に運がいいわ。私もあそこにいたらよかったわ。すこしばかり、吹き飛ばされても、王子が労わってくれるんだもの‼」
私は手の甲を見て、うっとりとした。この世に本当に王子様はいるんだと確信した。身体を支えてくれた王子のシャンプーの香りを思い出し、胸が弾む。また、ここに来たら、運動部に突き飛ばされるかな。なんて、淡い期待を胸に学校を後にした。
次話、双子の幼馴染。
「ごめん!!ちょっと急いでるんだ。本当にごめんね。」
そう言って、その声の主は走り去ってしまった。私は、ついにそこまで影が薄くなったのかと自虐的なツッコみで心の中で笑った。まさか、こんな広い廊下で誰かにぶつかるとは思っていなかった。運動部はみんなこの時間は、部活が始まる時間らしく、終学活が長引いたクラスからこうやってよく走りこんでくる。しかし、どの人も華麗に障害物をよけるようにステップを踏み避けていくというのに。それに、私の前にも後ろにも生徒は歩いているなのになぜ私にだけ体当たりしてきたのだろうと本気で考えていると、後ろから黄色いが張りあがった。
「大丈夫?ケガしてない?」
そう、尋ねてきたのは紛れもなく王子だった。この五華孟学園、通称イケ学には王子と呼べれるイケメンが存在するのである。黒髪で、チャラいわけでもないけど、その甘いマスクに、この学校の女子はメロメロである。おまけに全国模試では成績上位者として名前がのるような秀才っぷりである。そんな王子が私に話しかけてきたのだ。もう、むしろ、話しかけてくださったと言った方がいいかもしれない。
そして王子は私に手を差し出してくれた。
「本当にごめんね。さっきのは、僕のクラスメートなんだよ。わざとじゃないんだよ。どうか許してあげてね。」
そういいながら、私の手をにぎり、私を立たせてくれた。ふらっとして転びそうになっても王子は優しく支えてくれ、大丈夫?と微笑んでくれた。そして、最後にその手の甲にそっと唇を当て、「では、またね。かわいい、お姫様」といった後、華麗なステップで廊下の奥へ消えていった。
それを見て、また女の子が騒ぎはじめる。「今の聞いた?お姫さまって!それに手の甲にキスも!さすが王子‼あの子、本当に運がいいわ。私もあそこにいたらよかったわ。すこしばかり、吹き飛ばされても、王子が労わってくれるんだもの‼」
私は手の甲を見て、うっとりとした。この世に本当に王子様はいるんだと確信した。身体を支えてくれた王子のシャンプーの香りを思い出し、胸が弾む。また、ここに来たら、運動部に突き飛ばされるかな。なんて、淡い期待を胸に学校を後にした。
次話、双子の幼馴染。
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