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14.馬で遠出
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「馬に乗ったことある?」
キャロが乗馬服に着替えると、二人は厩舎に来ていた。
「ないわ。
この服も、あるなんて知らなかった。」
キャロライナが乗馬に行くと話すと、エイダはすぐにクローゼットから乗馬服を用意してくれた。
「じゃ、俺の相棒に乗せてやるよ。」
レオナルドは黒い毛並みの整った軍馬にキャロライナと自分が乗ると、走り出した。
軍馬の上は、スピードが速く、目線も高いことから、最初は怖がっていたキャロライナは、レオナルドにガッチリと支えてもらい、次第にリラックスして、景色を楽しんでいる。
王都を見渡せる小高い丘に着くと、レオナルドは軍馬から降りて、キャロライナを側に座らせ、軍馬に水をやる。
「ここは、王都を見渡せる俺の癒しの場所なんだ。
ほら、あそこに王宮も見えるだろ。
ここにいると、リーと俺達は、この景色を守るために、頑張ってきたなって、思えるんだ。
まあ、今も続いているけどな。」
王宮は王都の中心にあり、八方に広がるように道路は整理され、そこを中心に街が広がっているのが、一望できる。
レオナルドはキャロライナの隣に座る。
「この国は私が以前住んでいた国より、とてもいいところだし、その中でも、ここは空気がいいし、素敵なところね。」
キャロライナは丘から見える王都の街並みの景色を楽しむ。
「よし、ここなら誰もいないから、俺への不満を言っていいぞ。」
「私は、レオに不満なんてないわ。
むしろ、今は人生で一番充実感があるもの。
自分が少しは人の役に立てていると感じるから。」
「じゃあ、何で泣いた?」
「レオ、見てたの?
恥ずかしいわ。
私は今とても幸せだけど、レオは反対に、私がいない方が魔獣討伐をもっとやって、活躍できるのにって思って。
私に付き合って、治癒魔法をしてくれているけど、本来なら、あなたは魔獣討伐をメインでやって来たんでしょ。
でも、今は治癒魔法を使っているから、討伐には、ほとんど行けていないでしょ。
だったら、私は、いない方がいいのかなって思ったの。」
「人の気持ち勝手に決めて傷つくなよ。
確かに以前は魔獣討伐をメインでしていた。
でも、それは好きでやってたわけじゃない。
妹を何としても、不自由なく、暮らさせてやりたかったからだ。
だから、どんな時も歯を食い縛って、生きて帰って来た。
でも、今はもう、妹は好きな男と結婚して、子供もいる。
もう俺の役割はなくて、後は甥っ子を見れたら、それでいいかなぁって思ったから、捕まるかもしれないけど、オーブリー王国に行ったんだ。
甥っ子には会えたけど、まんまと役人に捕まって、その後のことはキャロも知ってるだろ。
でも、キャロと出会って、昔見た夢、治癒魔法で、病気治すっていうやつ叶ったんだよ。
骨折程度で、しょぼいけど。
リーも言ってただろ?」
「うん。」
「だから、キャロは俺の夢を叶える大切なパートナーだよ。
助手とか言って悪かった。
俺は今、自分のやりたかったことができて、毎日そんな自分に満足しているんだよ。」
「私は、レオの助手でいいの。
実際できてるのは、レオの魔力高めてるだけだし。
それでも、みんなに感謝されて、毎日幸せなの。
自分もできることがあるって思えて。
私はこのまま、ここにいてもいいのね。
それが、心配だったの。
今日は、レオの話を聞けて嬉しかった。
ここに連れてきてくれてありがとう。」
「俺は、自分の気持ちを言うのをやったことないから、今まで、キャロに何も言ってなかったけど、自分がいない方がいいとか、絶対に違うからな。
それに、わからない時は、俺の気持ち、ちゃんと聞いてほしい。
俺だって、リーに言われたら、渋々魔獣討伐にも行くけど、活躍できるからって、いつも命かけるの、しんどいんだよ、本当は。」
「うん、わかった。
レオも知っての通り、私、婚約者にも家族にも、見捨てられてるから、時々悪い方に考えてしまうの、多分。」
「まぁ、それは仕方ないな。
俺が何度でも、キャロへの気持ちを答えてやるから、話をしよう。」
「ありがとう。」
二人はしばらくぼんやりと景色を楽しんだ後、邸に戻り、日課の骨折を治す治癒魔法をかけに行った。
キャロが乗馬服に着替えると、二人は厩舎に来ていた。
「ないわ。
この服も、あるなんて知らなかった。」
キャロライナが乗馬に行くと話すと、エイダはすぐにクローゼットから乗馬服を用意してくれた。
「じゃ、俺の相棒に乗せてやるよ。」
レオナルドは黒い毛並みの整った軍馬にキャロライナと自分が乗ると、走り出した。
軍馬の上は、スピードが速く、目線も高いことから、最初は怖がっていたキャロライナは、レオナルドにガッチリと支えてもらい、次第にリラックスして、景色を楽しんでいる。
王都を見渡せる小高い丘に着くと、レオナルドは軍馬から降りて、キャロライナを側に座らせ、軍馬に水をやる。
「ここは、王都を見渡せる俺の癒しの場所なんだ。
ほら、あそこに王宮も見えるだろ。
ここにいると、リーと俺達は、この景色を守るために、頑張ってきたなって、思えるんだ。
まあ、今も続いているけどな。」
王宮は王都の中心にあり、八方に広がるように道路は整理され、そこを中心に街が広がっているのが、一望できる。
レオナルドはキャロライナの隣に座る。
「この国は私が以前住んでいた国より、とてもいいところだし、その中でも、ここは空気がいいし、素敵なところね。」
キャロライナは丘から見える王都の街並みの景色を楽しむ。
「よし、ここなら誰もいないから、俺への不満を言っていいぞ。」
「私は、レオに不満なんてないわ。
むしろ、今は人生で一番充実感があるもの。
自分が少しは人の役に立てていると感じるから。」
「じゃあ、何で泣いた?」
「レオ、見てたの?
恥ずかしいわ。
私は今とても幸せだけど、レオは反対に、私がいない方が魔獣討伐をもっとやって、活躍できるのにって思って。
私に付き合って、治癒魔法をしてくれているけど、本来なら、あなたは魔獣討伐をメインでやって来たんでしょ。
でも、今は治癒魔法を使っているから、討伐には、ほとんど行けていないでしょ。
だったら、私は、いない方がいいのかなって思ったの。」
「人の気持ち勝手に決めて傷つくなよ。
確かに以前は魔獣討伐をメインでしていた。
でも、それは好きでやってたわけじゃない。
妹を何としても、不自由なく、暮らさせてやりたかったからだ。
だから、どんな時も歯を食い縛って、生きて帰って来た。
でも、今はもう、妹は好きな男と結婚して、子供もいる。
もう俺の役割はなくて、後は甥っ子を見れたら、それでいいかなぁって思ったから、捕まるかもしれないけど、オーブリー王国に行ったんだ。
甥っ子には会えたけど、まんまと役人に捕まって、その後のことはキャロも知ってるだろ。
でも、キャロと出会って、昔見た夢、治癒魔法で、病気治すっていうやつ叶ったんだよ。
骨折程度で、しょぼいけど。
リーも言ってただろ?」
「うん。」
「だから、キャロは俺の夢を叶える大切なパートナーだよ。
助手とか言って悪かった。
俺は今、自分のやりたかったことができて、毎日そんな自分に満足しているんだよ。」
「私は、レオの助手でいいの。
実際できてるのは、レオの魔力高めてるだけだし。
それでも、みんなに感謝されて、毎日幸せなの。
自分もできることがあるって思えて。
私はこのまま、ここにいてもいいのね。
それが、心配だったの。
今日は、レオの話を聞けて嬉しかった。
ここに連れてきてくれてありがとう。」
「俺は、自分の気持ちを言うのをやったことないから、今まで、キャロに何も言ってなかったけど、自分がいない方がいいとか、絶対に違うからな。
それに、わからない時は、俺の気持ち、ちゃんと聞いてほしい。
俺だって、リーに言われたら、渋々魔獣討伐にも行くけど、活躍できるからって、いつも命かけるの、しんどいんだよ、本当は。」
「うん、わかった。
レオも知っての通り、私、婚約者にも家族にも、見捨てられてるから、時々悪い方に考えてしまうの、多分。」
「まぁ、それは仕方ないな。
俺が何度でも、キャロへの気持ちを答えてやるから、話をしよう。」
「ありがとう。」
二人はしばらくぼんやりと景色を楽しんだ後、邸に戻り、日課の骨折を治す治癒魔法をかけに行った。
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