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第1章 追放からの
第2話 神官ニーナ
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……どうしようこれから……やっぱり父ちゃんや母ちゃん達が言ってたように僕に冒険者は無理だったのかな……村に帰ろうかな……
下を向いてトボトボと歩いているといつの間にか目の前に冒険者ギルドがあった。
ハハハ……この1年で一番来たとこだ。勝手に足が向いたのだろう……もう夜だし当然、冒険者ギルドはその扉を硬く閉ざしている。
ここでは仕事の受注を始め、パーティを組んだり、冒険者を探したりといったことができる。駆け出しもベテランも、この冒険者ギルドに来ることから始まる。
「あのぉぉ」
と若い女の人の声で話しかけられる。
顔を上げてはなり掛けられた方をみると、白い神官の服を着た、長い金髪の青い目をした美少女が僕に話しかける。
僕はその子をみて顔を伏せる。泣いていた跡が見えないように……
「すいません。ここが冒険者ギルドですか?」
「うん。そうだよ。でも夜だし空いてないから……」
「あーそりゃそうですねぇぇ……はぁ……」
とため息をつく。
「あなた、もしかして冒険者ですか?」
「元冒険者……かな」
僕がそう言うとその女の子の声のトーンが高くなる。
「すっごーい!! 私も冒険者になりたくて田舎から出てきたんですよ!! 父や母の反対を押し切って」
と嬉しそうに話す。
一緒だ……この子、僕と一緒だ。
「そうなんだ……いいパーティみつかるといいね……」
するとその少女の声は少し低くなる。
「私一応神官なんですけど、能力はE判定で……私が入れるようなパーティってありますかね?」
E判定か……正直キツイだろうな……錫ランクのパーティでもD判定は欲しいところだもんな……この子に現実を教えて上げるべきか……
僕が答えに戸惑ってモゴモゴしていると彼女が察したのかわざと明るめに答える。
「やっぱりE判定じゃ厳しいですよね! 」
F判定の僕がさっきパーティをクビになったばかりで、この子に希望を与えるようなことを言っては駄目なような気がした。
「……うん……」
「ですよね……でも私諦めません! 」
その声は明るい。僕は顔を上げて彼女の目を見る。その目は希望に燃えているように見える。
そして彼女は僕に話しかけてくる。
「どうして冒険者辞めたんですか? せっかく冒険者になれたのに」
どうしよう……彼女に本当のことを言ったほうがいいんだろうか……僕の能力が低くてパーティをクビになったって……
僕がその答えに戸惑っていると……彼女は僕にこう告げた。
「……なにがあったか知りませんけど。良かったら私とパーティを組みませんか? 私、田舎から出てきたばっかりだし、冒険者に憧れはあったけど右も左も分からないんで、あなたのような経験者とパーティを組ませてもらえれば100人力です! 」
え……僕をパーティに……いやいや……また口汚く罵られて捨てられるんじゃ……
「うーん。やっぱりEランクの私とはパーティは組めませんか……ですよね……そうですよね……」
急にいじけたように話し始める。
「い、いやそう言う訳じゃ……」
「だったらパーティ組んでくれるんですか?! 」
パッと明るい表情になる。
しょうがない……本当のことを話そう。
「実は僕はね……僕の能力はFランクなんだよ……それでさっきパーティを役立たずだ!っていわれてパーティをクビになったんだ……」
そう言って彼女にステータスカードを見せる。
彼女はそのカードをじっくりと見る。
「なーんだ私と変わらないじゃないですか! 私は信力がDになってるだけですよ。だったらパーティ組みましょう。EランクとFランクのパーティって面白いじゃないですか!」
面白い……か……
「しっかしひどいパーティですね。ブッザスさんをクビにするなんて。能力なんて最初から知ってたんでしょ? それを今になって役立たずって酷くないですか?」
「しょうがないよ……僕、Fランクだし……」
「約束します! 私とブッザスさんがパーティを作ったら絶対にブッザスさんをクビにすることしません。そんなこといい出した奴をクビにします! 」
真っ直ぐに彼女は僕を透き通るような瞳で見つめる。
その希望に溢れている瞳を見ていると僕が追放されたことなんてどうでもよくなって、この子とパーティを組んでみたいと思えるようになった。
「分かったよ……よろしくね……」
「あっ名乗ってなかったですね。私ニーナです! ニーナ・カーチス!」
「よろしくニーナ」
ニーナとこうして再びパーティを組むこととなった。
下を向いてトボトボと歩いているといつの間にか目の前に冒険者ギルドがあった。
ハハハ……この1年で一番来たとこだ。勝手に足が向いたのだろう……もう夜だし当然、冒険者ギルドはその扉を硬く閉ざしている。
ここでは仕事の受注を始め、パーティを組んだり、冒険者を探したりといったことができる。駆け出しもベテランも、この冒険者ギルドに来ることから始まる。
「あのぉぉ」
と若い女の人の声で話しかけられる。
顔を上げてはなり掛けられた方をみると、白い神官の服を着た、長い金髪の青い目をした美少女が僕に話しかける。
僕はその子をみて顔を伏せる。泣いていた跡が見えないように……
「すいません。ここが冒険者ギルドですか?」
「うん。そうだよ。でも夜だし空いてないから……」
「あーそりゃそうですねぇぇ……はぁ……」
とため息をつく。
「あなた、もしかして冒険者ですか?」
「元冒険者……かな」
僕がそう言うとその女の子の声のトーンが高くなる。
「すっごーい!! 私も冒険者になりたくて田舎から出てきたんですよ!! 父や母の反対を押し切って」
と嬉しそうに話す。
一緒だ……この子、僕と一緒だ。
「そうなんだ……いいパーティみつかるといいね……」
するとその少女の声は少し低くなる。
「私一応神官なんですけど、能力はE判定で……私が入れるようなパーティってありますかね?」
E判定か……正直キツイだろうな……錫ランクのパーティでもD判定は欲しいところだもんな……この子に現実を教えて上げるべきか……
僕が答えに戸惑ってモゴモゴしていると彼女が察したのかわざと明るめに答える。
「やっぱりE判定じゃ厳しいですよね! 」
F判定の僕がさっきパーティをクビになったばかりで、この子に希望を与えるようなことを言っては駄目なような気がした。
「……うん……」
「ですよね……でも私諦めません! 」
その声は明るい。僕は顔を上げて彼女の目を見る。その目は希望に燃えているように見える。
そして彼女は僕に話しかけてくる。
「どうして冒険者辞めたんですか? せっかく冒険者になれたのに」
どうしよう……彼女に本当のことを言ったほうがいいんだろうか……僕の能力が低くてパーティをクビになったって……
僕がその答えに戸惑っていると……彼女は僕にこう告げた。
「……なにがあったか知りませんけど。良かったら私とパーティを組みませんか? 私、田舎から出てきたばっかりだし、冒険者に憧れはあったけど右も左も分からないんで、あなたのような経験者とパーティを組ませてもらえれば100人力です! 」
え……僕をパーティに……いやいや……また口汚く罵られて捨てられるんじゃ……
「うーん。やっぱりEランクの私とはパーティは組めませんか……ですよね……そうですよね……」
急にいじけたように話し始める。
「い、いやそう言う訳じゃ……」
「だったらパーティ組んでくれるんですか?! 」
パッと明るい表情になる。
しょうがない……本当のことを話そう。
「実は僕はね……僕の能力はFランクなんだよ……それでさっきパーティを役立たずだ!っていわれてパーティをクビになったんだ……」
そう言って彼女にステータスカードを見せる。
彼女はそのカードをじっくりと見る。
「なーんだ私と変わらないじゃないですか! 私は信力がDになってるだけですよ。だったらパーティ組みましょう。EランクとFランクのパーティって面白いじゃないですか!」
面白い……か……
「しっかしひどいパーティですね。ブッザスさんをクビにするなんて。能力なんて最初から知ってたんでしょ? それを今になって役立たずって酷くないですか?」
「しょうがないよ……僕、Fランクだし……」
「約束します! 私とブッザスさんがパーティを作ったら絶対にブッザスさんをクビにすることしません。そんなこといい出した奴をクビにします! 」
真っ直ぐに彼女は僕を透き通るような瞳で見つめる。
その希望に溢れている瞳を見ていると僕が追放されたことなんてどうでもよくなって、この子とパーティを組んでみたいと思えるようになった。
「分かったよ……よろしくね……」
「あっ名乗ってなかったですね。私ニーナです! ニーナ・カーチス!」
「よろしくニーナ」
ニーナとこうして再びパーティを組むこととなった。
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