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第7章 ペンタグラム
第118話 父の思い
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初めて入った父の書斎、壁一面に本棚が置かれ、本びっしりと詰まっている。机の上にも本が乱雑に置かれ、その空間だけ時間が止まったように思える。
今にも父がその椅子に座り、俺に話しかけてくるような感じがする。
エリンは父の机の上に置かれた一冊の年季が入った革表紙の本を俺に渡す。
「あなたが着たらこれを渡すようにとリゲル様から」
エリンから渡された本は錠がついており、もちろん鍵が掛かっており開けることができない。
「鍵が……」
「その鍵は存在していません。魔法の力によるものです。ですので私達にも解除することができないんです」
そうか……魔法の力ということは……この剣を使って開けろということか。
本を机の上に置き、俺は剣を抜き、表紙に掛けられた鍵のみを斬る、少しの手応えで錠は両断される。そして本がひとりで開く。
その本の中身に目を落とす……
ラグウェル、我が息子へとの書き出しから始まった。
◆◇◆
ラグウェルへ、本当にすまなかった、父さんのことを恨んでいるだろう。わけも分からず世界の果てへ飛ばされたのだからな。良く無事で……良く生きていて……
(インクが滲み字が霞んでいる)
私は罪を2つ犯した。許されないことだ、一つはラグウェル、君を世界の果てへ飛ばしたこと、そしてもう一つはスピカに暗示を掛けたこと。
私達はどうかしていた、ラグウェルがいなくなったということを幼いスピカに伝えくなかった。スピカがお兄ちゃんと泣くのが耐えれられなかった。ここで一緒になって泣いてあげることが必要だったんだと今になって思う。
だが私達の取った選択はスピカに暗示を掛けることだった。兄はラグウェルは存在していないと……そしてその暗示を強固にするため、私達はスピカの前でラグウェルの話題をすること避け、部屋を塗りつぶしその存在を無き者にした。
いや……スピカのせいにしているが、私が君の存在を忘れたかった、いや元からいない者として扱いたかったのかも知れない……
自分のためにスピカの記憶からもラグウェルという存在をを奪ってしまった……私は父として許されざる人間なのだ。
ラグウェル、君がこれを読んでいるということは、私はすでにこの世を去っている、母さんも去年死文病で亡くした。私もフェルトと同じ病に罹かり、もってあと数ヶ月だろう。
私達が亡き今、スピカは恐らく導く者として担がれているとおもう。今、この国を蝕む病、死文病、決して治ることのない不治の病。その病から救い導く者としてスピカが選ばれたというわけだ。
この死文病の原因は龍脈の乱れによって体内の魔力が暴走し死に至ると言われている。そして今、この龍脈が安定しているのが十王国、王都ゲルニカ。
ラグウェルは幼い時にここ離れたから知らないだろうが、この国の政治は始祖の5家の合議制を取っていた。それがスピカが導く者になると、スピカの意思のみで国が動く。
そう十王国に攻め入ってゲルニカを力ずくで奪うことになるだろう……
私は、この病、死文病は龍脈などが原因ではない、魔力を持つことこそがその原因なのだと考えている。私達は進化した人間などではなく、停滞した人間なのだ。この国の外にいる者達こそ、魔法という庇護をすて進化した人間なのだ。
ゲルニカにペンタグラムの民を移しても死文病は克服できない可能性が高い。一時的には患者はいなくなるであろうが、根本的な解決にはならない。
私はなぜ、ラグウェルが魔力を持たずに生まれたのか考えたそれがこの結果だ。魔力を持たずに生まれた者は国に仇をなす。その言い伝えから、そんな子供が生まれると処分をしてきた。
過去の文献を紐解くと、魔力持たずに生まれたものと魔力を持つものが子を成すと、例外なく魔力がない子が生まれる。魔力とは自然に淘汰される存在なのだ……
800年前にペンタグラムが世界を侵略しようとした時に、魔力が一時的に無くなる病気が流行ったことある。この病気を使えば、現在魔力を持つ我々は死文病を克服できる可能性があるかもしれない。
ラグウェル……どうかスピカを止めてほしい。彼女が過ちを犯す前に……もう止められるのは兄である君しかいない。父の最後のお願いだ……君の存在を消しておいて、なおも父親面する調子のいい人間だな私は……
◆◇◆
俺は全てを読み終え、目を閉じる。
父さん……俺は父さんのことなんてこれっぽっちも恨んでなんかないよ。世界の果てへ行ったおかげでここでは会えない人にいっぱい会えたし、人間として成長することができたんだ。父さんに会わせたかったな。知り合ったみんなと……
俺は目を開き、そしてエリンに話しかける。
「スピカの元へ妹のところに連れて行ってくれ」
今にも父がその椅子に座り、俺に話しかけてくるような感じがする。
エリンは父の机の上に置かれた一冊の年季が入った革表紙の本を俺に渡す。
「あなたが着たらこれを渡すようにとリゲル様から」
エリンから渡された本は錠がついており、もちろん鍵が掛かっており開けることができない。
「鍵が……」
「その鍵は存在していません。魔法の力によるものです。ですので私達にも解除することができないんです」
そうか……魔法の力ということは……この剣を使って開けろということか。
本を机の上に置き、俺は剣を抜き、表紙に掛けられた鍵のみを斬る、少しの手応えで錠は両断される。そして本がひとりで開く。
その本の中身に目を落とす……
ラグウェル、我が息子へとの書き出しから始まった。
◆◇◆
ラグウェルへ、本当にすまなかった、父さんのことを恨んでいるだろう。わけも分からず世界の果てへ飛ばされたのだからな。良く無事で……良く生きていて……
(インクが滲み字が霞んでいる)
私は罪を2つ犯した。許されないことだ、一つはラグウェル、君を世界の果てへ飛ばしたこと、そしてもう一つはスピカに暗示を掛けたこと。
私達はどうかしていた、ラグウェルがいなくなったということを幼いスピカに伝えくなかった。スピカがお兄ちゃんと泣くのが耐えれられなかった。ここで一緒になって泣いてあげることが必要だったんだと今になって思う。
だが私達の取った選択はスピカに暗示を掛けることだった。兄はラグウェルは存在していないと……そしてその暗示を強固にするため、私達はスピカの前でラグウェルの話題をすること避け、部屋を塗りつぶしその存在を無き者にした。
いや……スピカのせいにしているが、私が君の存在を忘れたかった、いや元からいない者として扱いたかったのかも知れない……
自分のためにスピカの記憶からもラグウェルという存在をを奪ってしまった……私は父として許されざる人間なのだ。
ラグウェル、君がこれを読んでいるということは、私はすでにこの世を去っている、母さんも去年死文病で亡くした。私もフェルトと同じ病に罹かり、もってあと数ヶ月だろう。
私達が亡き今、スピカは恐らく導く者として担がれているとおもう。今、この国を蝕む病、死文病、決して治ることのない不治の病。その病から救い導く者としてスピカが選ばれたというわけだ。
この死文病の原因は龍脈の乱れによって体内の魔力が暴走し死に至ると言われている。そして今、この龍脈が安定しているのが十王国、王都ゲルニカ。
ラグウェルは幼い時にここ離れたから知らないだろうが、この国の政治は始祖の5家の合議制を取っていた。それがスピカが導く者になると、スピカの意思のみで国が動く。
そう十王国に攻め入ってゲルニカを力ずくで奪うことになるだろう……
私は、この病、死文病は龍脈などが原因ではない、魔力を持つことこそがその原因なのだと考えている。私達は進化した人間などではなく、停滞した人間なのだ。この国の外にいる者達こそ、魔法という庇護をすて進化した人間なのだ。
ゲルニカにペンタグラムの民を移しても死文病は克服できない可能性が高い。一時的には患者はいなくなるであろうが、根本的な解決にはならない。
私はなぜ、ラグウェルが魔力を持たずに生まれたのか考えたそれがこの結果だ。魔力を持たずに生まれた者は国に仇をなす。その言い伝えから、そんな子供が生まれると処分をしてきた。
過去の文献を紐解くと、魔力持たずに生まれたものと魔力を持つものが子を成すと、例外なく魔力がない子が生まれる。魔力とは自然に淘汰される存在なのだ……
800年前にペンタグラムが世界を侵略しようとした時に、魔力が一時的に無くなる病気が流行ったことある。この病気を使えば、現在魔力を持つ我々は死文病を克服できる可能性があるかもしれない。
ラグウェル……どうかスピカを止めてほしい。彼女が過ちを犯す前に……もう止められるのは兄である君しかいない。父の最後のお願いだ……君の存在を消しておいて、なおも父親面する調子のいい人間だな私は……
◆◇◆
俺は全てを読み終え、目を閉じる。
父さん……俺は父さんのことなんてこれっぽっちも恨んでなんかないよ。世界の果てへ行ったおかげでここでは会えない人にいっぱい会えたし、人間として成長することができたんだ。父さんに会わせたかったな。知り合ったみんなと……
俺は目を開き、そしてエリンに話しかける。
「スピカの元へ妹のところに連れて行ってくれ」
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