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いつ死んでも良いようにエロいものは管理しておきたい
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それからしばらく後、気が付けば敵は全てアネッサが排除しきっていた。彼女はそのことを確認すると、ユウ達の方へと向き直る。
「ふむ……随分迷惑をかけてしまったようだな」
アネッサの言葉にユウは思わずため息を漏らす。
「本当ですよ……ところで」
そう答えつつ、ユウは脳内に浮かんだ疑問をアネッサへ投げかける。
「これらのスケルトンってもしかしてこの地に埋葬された戦士達の死体がモンスター化したものですか?」
アネッサはユウの質問に首を縦に振る。
「ああ。本来ならこういった場に埋葬される人達は聖職者によってアンデット化防止のための魔法が施されるのだが……先の大戦で戦死者の数もかなり増大しててな。そのため、聖職者の数が足りずに手が回らなくなっているのだ」
「なるほど……」
アネッサの説明にユウは納得する。
「じゃ、じゃあ……お父さんも……?」
二人のやり取りを聞いたティキが不安げな表情でアネッサを見る。そんなティキをアネッサは優しく宥める。
「大丈夫だ、ティキ。君の父上は国の英雄として亡骸には丁重に魔法が施されたうえで埋葬されている。仮にアンデット化するようなことがあるとしたら、第三者が施された魔法を解除するといったことでもない限り難しいだろう」
「そっか……良かった……」
ティキはアネッサの説明に胸をなでおろす。
(まさかこれ、フラグだったりしませんよね?)
(不吉なことを言わんといてくれます!?)
ルティシアの不謹慎な発言にユウは思わずツッコむ。
「……でも……」
そんな二人のやり取りを他所に、ティキがぼそりと続ける。
「でも……どした?」
そんなティキの反応を訝しみつつユウは問いを投げかける。
「お父さんだけ先に神聖魔法もズルいなって……。だって、スケルトンになっちゃった人達だって誰かの大切な家族なんでしょう?なのに僕の父さんだけ特別扱いだなんて……」
「……ティキ……」
ティキの予想外の真摯な悩みに、ユウはどう答えたものかと言葉に詰まる。その時、アネッサがしゃがみ込んでティキに目線を合わせる。
「ティキ、確かに君の父上は特別な扱いを受けている。そして、その一方で適切に埋葬されていないためにアンデット化してしまった者たちもいる。それは、人が他人に対して向けることのできる優しさには限界があるからだ」
「そんな……」
アネッサの言葉にティキは愕然とする。
「だからティキ……生きている君が、君の父上が受けた人々の優しさの分まで、世の中の人に優しさを向けるんだ。きっと、亡くなった君の父上もそれを望んでいる」
「……」
アネッサの言葉にティキは無言で頷く。
(流石元勇者パーティの一員。いいこと言いますねえ)
ルティシアはアネッサの言葉に頷く。一方でユウはアネッサの話を聞き、前世の自分のことを思い出していた。
(たしかになあ。しかし……死んだ人間の願い……か……)
前世で助けた子供達に自分は何かを望んだだろうか。残してきた家族や友人達に何かを望んだだろうか。そんな考えが脳裏を過る。
(特に何かを望んだりはしなかったな……)
しかし、ここで前世における重要な心残りがあったことを思い出す。
(……自室にあった大量のエロ同人、処分してなかったぁぁぁぁっ!)
前世に残してきた恥部を思い出し、ユウは頭を抱えながら心の中で絶叫する。
(うわっ、びっくりしたぁ!)
「ど、どうした……?」
「ユウ兄ちゃん?」
唐突なユウの大声にルティシアは驚く一方、無言で唐突に頭を抱えるユウにアネッサとティキは困惑する。
(とりあえず落ち着きましょう、ユウさん……今あなたは第二の人生を歩んでいるのです。一旦前世のことは忘れましょう。前世の人達が今、何を思ったところで現在の貴方には何も影響がありません。たとえあなたの本棚に大量の爆乳の女の子のエロ同人がいっぱいあろうと、それはちょっと『ああ、こいつは胸のでかい女が好きだったんだな』と前世の人達が思うだけです)
(うおおおおおおお、さらっと俺のエロ同人の主要ジャンル暴露してんじゃねぇぇぇぇぇっ!?)
ユウは再び脳内で絶叫し、悶絶する。その様子を見てアネッサとティキはさらに困惑を深める。
「ど、どうしちゃったの、ユウ兄ちゃん……」
「様子がおかしいぞ……」
(と、とにかく落ち着きましょうユウさん!二人が不審がってますよ!)
(ぐ、ぐぬううううううう……)
ルティシアに宥められて、うなりながらもユウは落ち着きを取り戻す。そして、アネッサとティキに脂汗を浮かべながらも笑顔で応える。
「い、いや……アネッサさんいいこと言うなあって思って感動したらちょっと涙がですね……」
「どうみても多量の汗を流しながら苦悶の表情で悶絶してたようにしか見えないのだが……」
「ま、まあいいじゃないですか!とりあえずティキもこれで納得しただろ!さあ、行こうぜ!」
様々な背景事情を悟られまいとユウは二人を促す。
(相変わらず焦ると演技下手ですねぇ……)
ルティシアは呆れるが、ユウは意図的にそれをスルーする。
「そ、そうか……」
「う、うん……」
アネッサとティキも困惑するが、仕方なくユウに同意すると、移動を開始した。
「ふむ……随分迷惑をかけてしまったようだな」
アネッサの言葉にユウは思わずため息を漏らす。
「本当ですよ……ところで」
そう答えつつ、ユウは脳内に浮かんだ疑問をアネッサへ投げかける。
「これらのスケルトンってもしかしてこの地に埋葬された戦士達の死体がモンスター化したものですか?」
アネッサはユウの質問に首を縦に振る。
「ああ。本来ならこういった場に埋葬される人達は聖職者によってアンデット化防止のための魔法が施されるのだが……先の大戦で戦死者の数もかなり増大しててな。そのため、聖職者の数が足りずに手が回らなくなっているのだ」
「なるほど……」
アネッサの説明にユウは納得する。
「じゃ、じゃあ……お父さんも……?」
二人のやり取りを聞いたティキが不安げな表情でアネッサを見る。そんなティキをアネッサは優しく宥める。
「大丈夫だ、ティキ。君の父上は国の英雄として亡骸には丁重に魔法が施されたうえで埋葬されている。仮にアンデット化するようなことがあるとしたら、第三者が施された魔法を解除するといったことでもない限り難しいだろう」
「そっか……良かった……」
ティキはアネッサの説明に胸をなでおろす。
(まさかこれ、フラグだったりしませんよね?)
(不吉なことを言わんといてくれます!?)
ルティシアの不謹慎な発言にユウは思わずツッコむ。
「……でも……」
そんな二人のやり取りを他所に、ティキがぼそりと続ける。
「でも……どした?」
そんなティキの反応を訝しみつつユウは問いを投げかける。
「お父さんだけ先に神聖魔法もズルいなって……。だって、スケルトンになっちゃった人達だって誰かの大切な家族なんでしょう?なのに僕の父さんだけ特別扱いだなんて……」
「……ティキ……」
ティキの予想外の真摯な悩みに、ユウはどう答えたものかと言葉に詰まる。その時、アネッサがしゃがみ込んでティキに目線を合わせる。
「ティキ、確かに君の父上は特別な扱いを受けている。そして、その一方で適切に埋葬されていないためにアンデット化してしまった者たちもいる。それは、人が他人に対して向けることのできる優しさには限界があるからだ」
「そんな……」
アネッサの言葉にティキは愕然とする。
「だからティキ……生きている君が、君の父上が受けた人々の優しさの分まで、世の中の人に優しさを向けるんだ。きっと、亡くなった君の父上もそれを望んでいる」
「……」
アネッサの言葉にティキは無言で頷く。
(流石元勇者パーティの一員。いいこと言いますねえ)
ルティシアはアネッサの言葉に頷く。一方でユウはアネッサの話を聞き、前世の自分のことを思い出していた。
(たしかになあ。しかし……死んだ人間の願い……か……)
前世で助けた子供達に自分は何かを望んだだろうか。残してきた家族や友人達に何かを望んだだろうか。そんな考えが脳裏を過る。
(特に何かを望んだりはしなかったな……)
しかし、ここで前世における重要な心残りがあったことを思い出す。
(……自室にあった大量のエロ同人、処分してなかったぁぁぁぁっ!)
前世に残してきた恥部を思い出し、ユウは頭を抱えながら心の中で絶叫する。
(うわっ、びっくりしたぁ!)
「ど、どうした……?」
「ユウ兄ちゃん?」
唐突なユウの大声にルティシアは驚く一方、無言で唐突に頭を抱えるユウにアネッサとティキは困惑する。
(とりあえず落ち着きましょう、ユウさん……今あなたは第二の人生を歩んでいるのです。一旦前世のことは忘れましょう。前世の人達が今、何を思ったところで現在の貴方には何も影響がありません。たとえあなたの本棚に大量の爆乳の女の子のエロ同人がいっぱいあろうと、それはちょっと『ああ、こいつは胸のでかい女が好きだったんだな』と前世の人達が思うだけです)
(うおおおおおおお、さらっと俺のエロ同人の主要ジャンル暴露してんじゃねぇぇぇぇぇっ!?)
ユウは再び脳内で絶叫し、悶絶する。その様子を見てアネッサとティキはさらに困惑を深める。
「ど、どうしちゃったの、ユウ兄ちゃん……」
「様子がおかしいぞ……」
(と、とにかく落ち着きましょうユウさん!二人が不審がってますよ!)
(ぐ、ぐぬううううううう……)
ルティシアに宥められて、うなりながらもユウは落ち着きを取り戻す。そして、アネッサとティキに脂汗を浮かべながらも笑顔で応える。
「い、いや……アネッサさんいいこと言うなあって思って感動したらちょっと涙がですね……」
「どうみても多量の汗を流しながら苦悶の表情で悶絶してたようにしか見えないのだが……」
「ま、まあいいじゃないですか!とりあえずティキもこれで納得しただろ!さあ、行こうぜ!」
様々な背景事情を悟られまいとユウは二人を促す。
(相変わらず焦ると演技下手ですねぇ……)
ルティシアは呆れるが、ユウは意図的にそれをスルーする。
「そ、そうか……」
「う、うん……」
アネッサとティキも困惑するが、仕方なくユウに同意すると、移動を開始した。
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