巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと

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挿話

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普段学生達が賑やかな日々を過ごしている学校が、今日は異様な緊張感に包まれていた。校舎の周りには回転灯を回す緊急車両が何台も止まっている。
校内に殆ど人はいないが、一ヶ所だけ、犇めき合っている場所がある。校舎の端にある階段の上だ。その踊場や下にも、制服警官や鑑識の作業員があふれ、物々しい雰囲気を醸し出している。
「……では、その女生徒が?」
「はい。……言っていることは良く理解出来なかったのですが……」
困惑の濃い表情で背広姿の刑事達に相対しているのは、自分もこの学校の制服を着た女生徒だ。すらりとスタイルも良くなかなか美少女で、ちょっときつめの顔立ちながら今は困り果てたような気弱い風情を漂わせる。
「知っている相手ですか?」
「顔と名前くらいは。隣のクラスの転入生で、佐藤天使アンジュさんです」
「……階段の下にいたのは?」
「下に人がいるのは気がつきませんでした。佐藤さんが飛び下りたのを見て、初めて下にいたのに気がついて……隣のクラスの、飯塚さんです」
階段から飛び下りた佐藤の、そのちょうど下にいた同級生は彼女の直撃を受けて殆ど即死だったという。佐藤は即死こそしなかったものの、やはり打ちどころが悪く死んでいる。
不幸な事故ではあるが、何故そんなことになったのか捜査は必要だ。佐藤が飛び下りた理由もはっきりしない。
「彼女は何と言っていたんですか?」
「その、今一つ意味はわからないんですが……『私が誰からも愛される主人公ヒロインになるためだから』とか何とか……」
「……」
語る女生徒も困惑顔だが、捜査員は更に困惑が深い。
ちなみにこの階段近くには防犯カメラがあって、佐藤が自分で飛び下りたことは早いうちから確認が取れている。その理由が対峙していた彼女にも捜査員にも全くわからない。

転入したばかりの佐藤はまだ親しい友人もなく、事情を知る者もなかったが。彼女の家族にも事情聴取した結果、当人が謂わば主人公症候群ヒロインシンドローム、自分を主役にした物語を自分の頭の中で描いていたことが判明する。見つかった日記もそれを裏付けた。
曰く、「私はこの世界に舞い降りた愛の天使」「素敵な男性にモテモテで困っちゃう、のが最終的な理想!」「そのためにはまず相手の印象に残らなきゃ」「手始めに、生徒会長の彼女面してる勘違い女にイジメられた、って訴えは効くかな?試してみよー」等々、かなり頭の悪い妄想垂れ流し状態だった。
階段落ちに居合わせた女子生徒が生徒会長の交際相手であり、佐藤自身しばしば転入したばかりのクラスで見目良い男子生徒にばかり馴れ馴れしく振る舞ってドン引きされていた辺りが説得力を与える。
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