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ビーズ細工・3
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「へえ、これは……」
レイチェルは机上に並べられたものを見て何か言いかけた口を閉ざした。
彼女に教えてもらった「妖精の罠」は、ごく柔らかい金属だ。軽くはないが、衝撃に歪みやすいので防具はもちろん、普通の道具にも使いにくい。
それならそれで、割り切って装飾に使ってみたらどうだろうと思ったのだ。
というわけでレイチェルに見てもらったのは、魔法街の他の魔女や魔法使いとも連携して作った護符を兼ねた装飾品だ。帯剣する時の剣帯につけるもの、或いは隠しに入れられる程度の小さなものや馬の鞍につけられるもの、など。
そして、以前のワイヤーアートに使ったものより細くなっている。一部は、ようやく出来た飾り石(小豆粒ほど)を通したりして装飾性も高めてみた。
「いかがですか、レイチェル様。……ちょっと可愛らしすぎたでしょうか」
ヴィオラが見た限り、レイチェルは所謂男装の麗人というやつだ。男性の騎士服で剣を振っているのが一番楽しく、かつ自分らしくいられるという類い。そして騎士たちをみてきゃあきゃあ盛り上がる女の子たちからも、絶大な支持を得ている。
男どものようにむさ苦しくなく、当然ながら欲情の眼を向けることもない。容姿端麗にして振る舞いは紳士的、いってみれば『理想の王子様』といった風情だ。
もちろん、学園では女子の制服を着ているし、夜会ではドレス姿も披露するが(実際細身ながらスタイルは明らかに女性のそれ)普段の私服はやはり男性。
本来貴族社会では女性はスカートという不文律があるものの、庶民は女性もズボンを履く。また本人がまだ学生で、正式なデビュタントを迎えていないこともあってお目こぼしされている、のが実情だ。
実際、スカートよりズボンの方が似合うし本人も好んでいる。そしてそういう格好だと、普通女性が身につけている装身具はあまりつけられない。
この世界の装身具は装飾のためだけでなく、魔法を込めた護符としての働きもある。それにレイチェルも、男の格好を好んではいるが、実は少女らしく綺麗なもの、可愛らしいものも決して嫌いではない。似合わないので諦めている、のが正直なところなのだ。
「これなら、レイチェル様の普段の格好にも学園でも合わせられると思うのですが……」
「うん、ありがとう、ヴィオラ。とても素敵だね、これはいいな」
レイチェルが手に取ったのは、細いワイヤーで飾り石を留めた提げ飾りだった。ベルトに提げても鞄につけてもいいだろう、小さめのデザインは可愛らしいが色彩は青系でまとめ、落ち着いた雰囲気もある。
そして本人が言うとおり、ちょっと中性的なレイチェルによく似合う。過分に女性らしくもなく、かといって男性的でもない。そのいいとこ取りという雰囲気が彼女を引き立たせていた。
「これなら遠慮なく買わせてもらうよ。……これからも、こういう品を作るのなら贔屓にしたいな」
「えーと、必ずしも私が作るとは言い切れませんが。継続はしていくつもりなので、またよろしくお願いします」
レイチェルは机上に並べられたものを見て何か言いかけた口を閉ざした。
彼女に教えてもらった「妖精の罠」は、ごく柔らかい金属だ。軽くはないが、衝撃に歪みやすいので防具はもちろん、普通の道具にも使いにくい。
それならそれで、割り切って装飾に使ってみたらどうだろうと思ったのだ。
というわけでレイチェルに見てもらったのは、魔法街の他の魔女や魔法使いとも連携して作った護符を兼ねた装飾品だ。帯剣する時の剣帯につけるもの、或いは隠しに入れられる程度の小さなものや馬の鞍につけられるもの、など。
そして、以前のワイヤーアートに使ったものより細くなっている。一部は、ようやく出来た飾り石(小豆粒ほど)を通したりして装飾性も高めてみた。
「いかがですか、レイチェル様。……ちょっと可愛らしすぎたでしょうか」
ヴィオラが見た限り、レイチェルは所謂男装の麗人というやつだ。男性の騎士服で剣を振っているのが一番楽しく、かつ自分らしくいられるという類い。そして騎士たちをみてきゃあきゃあ盛り上がる女の子たちからも、絶大な支持を得ている。
男どものようにむさ苦しくなく、当然ながら欲情の眼を向けることもない。容姿端麗にして振る舞いは紳士的、いってみれば『理想の王子様』といった風情だ。
もちろん、学園では女子の制服を着ているし、夜会ではドレス姿も披露するが(実際細身ながらスタイルは明らかに女性のそれ)普段の私服はやはり男性。
本来貴族社会では女性はスカートという不文律があるものの、庶民は女性もズボンを履く。また本人がまだ学生で、正式なデビュタントを迎えていないこともあってお目こぼしされている、のが実情だ。
実際、スカートよりズボンの方が似合うし本人も好んでいる。そしてそういう格好だと、普通女性が身につけている装身具はあまりつけられない。
この世界の装身具は装飾のためだけでなく、魔法を込めた護符としての働きもある。それにレイチェルも、男の格好を好んではいるが、実は少女らしく綺麗なもの、可愛らしいものも決して嫌いではない。似合わないので諦めている、のが正直なところなのだ。
「これなら、レイチェル様の普段の格好にも学園でも合わせられると思うのですが……」
「うん、ありがとう、ヴィオラ。とても素敵だね、これはいいな」
レイチェルが手に取ったのは、細いワイヤーで飾り石を留めた提げ飾りだった。ベルトに提げても鞄につけてもいいだろう、小さめのデザインは可愛らしいが色彩は青系でまとめ、落ち着いた雰囲気もある。
そして本人が言うとおり、ちょっと中性的なレイチェルによく似合う。過分に女性らしくもなく、かといって男性的でもない。そのいいとこ取りという雰囲気が彼女を引き立たせていた。
「これなら遠慮なく買わせてもらうよ。……これからも、こういう品を作るのなら贔屓にしたいな」
「えーと、必ずしも私が作るとは言い切れませんが。継続はしていくつもりなので、またよろしくお願いします」
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