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ビーズ細工・2
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自分のやってきた経験がスキルになるというのであれば、出来るだけ欲しいスキルにつながりそうな事を進めていくべきだろう。
そう考えたヴィオラは、こつこつ手芸を重ねた。
ニードルフェルティング、ワイヤーアート、パッチワーク、そして制作できるようになったテグスや細いワイヤーで、この世界の飾り石を使って小物を作ってみる。特に細かい、この世界の一般的な技術では対応が難しいほどの細く小さなものを選んで、特に精魂を込めた。
大体において錬金スキルは、個人の特性に合わせて成長しやすいといわれている。良くも悪くも、その行いが反映されるというのだ。ならば、自分の望む方向へ自分で方向付けが出来るのはありがたいと。そう思うことにした。
「まあ、そのおかげで私たちはいい思いをさせていただいていますけど」
困惑の表情でジョゼフィーヌは滑らかな頬に綺麗な細い指を添える。
久しぶりに時間をとってヴィオラの店を訪れた彼女だったが。待ち構えていたようなヴィオラに、ちょっと気圧され気味である。
「済みません、こちらの都合ばかりでしたね」
二人の間には、低いテーブルいっぱいに色とりどりの毛の塊が並んでいる。染色の練習に、ヴィオラが染めたものだ。店先にも可愛らしくかごに盛ったりして展示されているが、今のところ売れてはいない。
正直、ヴィオラもそうそう売れる品ではないことはわかっている、だがニードルフェルティングにはまっているジョゼフィーヌのことを思い出したのだ。
そして実は彼女の実家の領地は、羊毛の産地でもある。良質な毛糸を産することは他の魔女たちからも教わっていた。だからこそ、ジョゼフィーヌ自身もその原毛を使うフェルティングに親和性が高かったのかもしれない。
「あら、気にしないで。私も嬉しいわ」
ジョゼフィーヌはヴィオラの店を訪ねると大概両手いっぱいの原毛を買い込んでいく。彼女は大抵一人か二人の侍女を連れているから、そちらも何かしら買っていく(大概はちょっとしたお守りだの可愛い小物程度だが)ので、結構な上客である。
「それと、新しい針を作ったのでよかったらお持ちください」
ヴィオラが差し出したのは、今までより更に細く鋭利な、そして持ち手に気遣いのある針だった。
最初、ニードルフェルティングを始めたいと望んだジョゼフィーヌに渡したのは、ヴィオラが自分で使っていたものの予備だ。それほど良い品ではないが、そもそも他に比較できるものでもない、この世界ではヴィオラのオリジナルである。
それに比べるとこちらは、最初からジョゼフィーヌに合わせて持ち手も作られている。
「実は、あれから私も修行を積みまして。更に良いものを作れるようになったのです。こちらの方が使いやすくなっているはずです」
「まあ」
元は生成りと、それに合わせた鈍い色合いしかなかったのだが。今、ヴィオラが並べたのはもっと鮮やかで、そして何より色数がずいぶん増えている。濃い赤や青、生成りでなくしっかりした白にこちらもどっしりした黒。明るい黄色、水色に黄緑。
そう考えたヴィオラは、こつこつ手芸を重ねた。
ニードルフェルティング、ワイヤーアート、パッチワーク、そして制作できるようになったテグスや細いワイヤーで、この世界の飾り石を使って小物を作ってみる。特に細かい、この世界の一般的な技術では対応が難しいほどの細く小さなものを選んで、特に精魂を込めた。
大体において錬金スキルは、個人の特性に合わせて成長しやすいといわれている。良くも悪くも、その行いが反映されるというのだ。ならば、自分の望む方向へ自分で方向付けが出来るのはありがたいと。そう思うことにした。
「まあ、そのおかげで私たちはいい思いをさせていただいていますけど」
困惑の表情でジョゼフィーヌは滑らかな頬に綺麗な細い指を添える。
久しぶりに時間をとってヴィオラの店を訪れた彼女だったが。待ち構えていたようなヴィオラに、ちょっと気圧され気味である。
「済みません、こちらの都合ばかりでしたね」
二人の間には、低いテーブルいっぱいに色とりどりの毛の塊が並んでいる。染色の練習に、ヴィオラが染めたものだ。店先にも可愛らしくかごに盛ったりして展示されているが、今のところ売れてはいない。
正直、ヴィオラもそうそう売れる品ではないことはわかっている、だがニードルフェルティングにはまっているジョゼフィーヌのことを思い出したのだ。
そして実は彼女の実家の領地は、羊毛の産地でもある。良質な毛糸を産することは他の魔女たちからも教わっていた。だからこそ、ジョゼフィーヌ自身もその原毛を使うフェルティングに親和性が高かったのかもしれない。
「あら、気にしないで。私も嬉しいわ」
ジョゼフィーヌはヴィオラの店を訪ねると大概両手いっぱいの原毛を買い込んでいく。彼女は大抵一人か二人の侍女を連れているから、そちらも何かしら買っていく(大概はちょっとしたお守りだの可愛い小物程度だが)ので、結構な上客である。
「それと、新しい針を作ったのでよかったらお持ちください」
ヴィオラが差し出したのは、今までより更に細く鋭利な、そして持ち手に気遣いのある針だった。
最初、ニードルフェルティングを始めたいと望んだジョゼフィーヌに渡したのは、ヴィオラが自分で使っていたものの予備だ。それほど良い品ではないが、そもそも他に比較できるものでもない、この世界ではヴィオラのオリジナルである。
それに比べるとこちらは、最初からジョゼフィーヌに合わせて持ち手も作られている。
「実は、あれから私も修行を積みまして。更に良いものを作れるようになったのです。こちらの方が使いやすくなっているはずです」
「まあ」
元は生成りと、それに合わせた鈍い色合いしかなかったのだが。今、ヴィオラが並べたのはもっと鮮やかで、そして何より色数がずいぶん増えている。濃い赤や青、生成りでなくしっかりした白にこちらもどっしりした黒。明るい黄色、水色に黄緑。
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